新興国市場に特化した革新的な投資企業Untapped Globalは、このほど、デジタル投資プラットフォームのパブリックベータ版を立ち上げた。Untapped社の先駆的なスマートアセットファイナンスによる投資モデルをこのプラットフォームで、一般に拡大するとの公約を掲げている。同社はこのモデルを用いて、ウガンダ、ケニア、南アフリカ、メキシコなど、世界で最も急速な成長を示す新興市場の起業家や中小企業に対し、収益を生む生産的な資産への融資を行っている。
TechCabalに届いたプレスリリースによると、Untapped Globalが3月にプレシードでクローズした1,030万ドルは、この新たなオファーの資金に充てられるということだ。リアルタイムのデータを基にした投資の見通しと情報をユーザーに振り分けるデジタル・プラットフォームを同社はすでに構築しおり、アフリカやその他の新興国市場への参入を目指す国内外の投資を可能にしている。また、このプラットフォームでは、投資家がリアルタイムで投資状況を確認できる。
プラットフォームの仕組み
このプラットフォームは、実在する取引所のように、投資可能な資産を投資家が閲覧して選択できる。KYCとアンチマネーロンダリング(AML)のコンプライアンスチェックを処理するサードパーティツールを統合した点についてもUntapped社は言及している。
「投資家にとって、こうした手順を踏むのは少し面倒ですが、米国SECの規則を遵守していることを保証するものなのです。」とUntapped Globalの担当者はTechCabalに伝えている。
オンボーディングプロセスを無事に完了したユーザーは、自由に投資を始めることが出来る。いつでも投資できるという簡便さがある一方、他のプラットフォームと同様に、満期については標準的なルールが適用される。つまり、投資した資金を引き出すには、満期まで待つ必要があるということだ。例えば、投資家が3ヶ月、6ヶ月、またはそれ以上の満期期間を選択した場合は、その期間が終了するまで資金を引き出すことは出来ない。
現在このプラットフォームはオンライン利用のみに限られているが、いずれモバイルアプリも構築する予定であるという。
このプラットフォームが個人投資家にまで展開されるのは、年末になる予定だ。急速なデジタル化が進むアフリカなどのフロンティア市場経済への投資を検討するには、今こそ理想的なタイミングであるとの見解をUntapped GlobalのCEO兼創設者であるJim Chu氏を示す。
アフリカ、アジア、ラテンアメリカなどの新興市場では、中小企業の資金調達に5兆2,000億ドルのギャップが生じています。
Untapped社を設立した目的は資金調達の機会から外されがちな市場の起業家に資金を届けると同時に、投資家の透明性を確保するためです。しかしそれは、世界における投資の民主化のほんの始まりに過ぎません。私たちのデータでは、1ドルの投資に対して、3ドル以上の価値が地域経済で生み出されているのです。
Untapped社への投資は、わずか300ドルから始められ、最大年率(APR)10%の受動的収入を得ることが可能だ。同社によると、年間収益ランレートは250万ドルとなり、資本に対して安定した利益を上げているという。
PagaからFlexClub、Asaakまで、Untapped Globalは、アフリカとラテンアメリカの12カ国において、クリーンウォーター、ソーラー、eモビリティ、包括的フィンテックなどの分野で活動する5,000人以上の起業家に融資してきたという。
ナイジェリアのフィンテック企業PagaのCEO、Tayo Oviosu氏は、Untapped Globalとのコラボレーションにより、アフリカ全域の中小企業がPOSシステムをより手頃な価格で利用できるようになったという声を寄せている。
Untapped社チームの目標は、10億人のために決済と金融サービスへのアクセスをシンプルにするというPagaの目標と一致しているのです。
生産的な資産のみへの投資に限るという点で、Untapped Globalのプラットフォームはニッチな存在と言える。そのような中でも、アフリカでは投資の民主化を実現する投資プラットフォームの台頭が相次いでいる。例えばGetEquityは、アフリカの一般人がアフリカのスタートアップに投資することを支援する。一方Dabaは、アメリカやヨーロッパの人々がアフリカのスタートアップに投資することを可能にしている。この傾向はエコシステムとして健全な形であり、起業家にとっても資金調達の選択肢が増えたことで、大きなメリットにつながる可能性を秘めている。
