このほど、アフリカ最大のフィンテックインターオペラビリティ(相互運用性/相互接続性)ハブ、MFS Africaが、米国の決済ソフトウェア企業Global Technology Partners(GTP)を3,400万ドルで買収することが報じられた。

外国企業がアフリカ企業を買収、または、アフリカ企業が同大陸内企業の買収という話はよく聞く。しかし、アフリカの企業が外国企業を買収するという話はあまり聞いたことがない。

エジプト発祥のSwvlVolt LinesZeeloを買収したように、アフリカの企業がまたひとつ、大陸という枠を越えて買収に乗り出している。

この買収でMFSが実現すること

アフリカ最大のフィンテックインターオペラビリティハブのMFS Africaは3億2千万人以上のユーザーを擁し、35カ国以上の銀行、通信事業者、送金事業者を単一の統合ポイントで繋ぐ。

一方、GTPは、複数のプリペイドカードを1つの銀行口座に統合し、ユーザーのオンラインショッピングを可能にするプリペイドおよびモバイル決済のプラットフォームである。30カ国で50万人以上のユーザーがGTPのプラットフォームを利用している。

MFS AfricaGTPを買収することにより、MFS Africaが実現につなげることは次の2点とされる。ひとつはフィンテックがユーザーにプリペイドカードを提供できるようになること。そしてもうひとつはフィンテックの米国進出である。

「モバイルならではのユーザー体験を提供できない、あるいは、はなからその気がない海外のeコマースプラットフォームが主なターゲットなのです。」とMFS AfricaのCEO、Dare Okoudjou氏はこの買収についてコメントしている。

MFS Africaの買収戦略

MFS Africaの成長・拡大の秘訣は、その買収戦略にある。

大陸外での買収としては、フィンテック初となるが、同社はデジタル決済ネットワークの拡大を目指し、他にもアフリカのスタートアップ3社を買収している。 MFS Africaによると、2016年にアフリカへのエアタイム国際送金を専門とするSochitelを買収し、これによりアフリカに特化した最大の送金決済ネットワークが構築されたという。2020年には、中小企業向けに決済管理ソリューションを提供するウガンダのフィンテック企業であるBeyonicを買収。昨年は、Baxiに続く「ナイジェリア史上2番目の規模となるフィンテック買収」と呼ばれた。

こうした買収のすべては、アフリカ大陸全54カ国で事業展開し、5億人の人々と数百万の中小企業にサービスを提供するというMFS Africaが掲げるビジョンに近づくための後押しとなる。

今回の買収により、同社のサービスがさらに数百万のユーザーに及ぶことになるだろうと、CEOのOkoudjou氏は期待を寄せる。

同社はまたSpotifyとも契約を締結し、ケニア、ウガンダ、南アフリカにおいて、音楽プラットフォームの決済オプションとしてモバイルマネーの受け入れを公表している。