スタートアップ企業、銀行、様々な業種のグローバル企業間における戦略的提携のおかげで、アフリカでフィンテック業界が成長を見せている。McKinsey & Companyによると、現在、しかるべき提携ビジネスモデルは少なくとも次の5タイプに種別されるという。
1)関係構築型
イノベーションを迅速に市場に取り込む必要のある銀行は、フィンテックの技術に乗ることで、ゼロから関係構築する手間を省くことができる。
2)流通型モデル
デジタル専用銀行(例えばKuda)は従来型の銀行と提携し、支店での預金、ATMでの引き出し、カード発行などのサービスを提供する。最近認可された株式取引アプリChakaは、証券会社のパートナーと協力することにより、ユーザーに投資オプションを提供できるようになった。
3)戦略的投資型
Visaが行ったInterswitchへ20%の出資など
4)ジョイントベンチャー型
2つの事業者が共通の製品を共同で開発
5)完全買収型
この1年で最もよく知られた実例は、PaystackによるStripeの買収
いずれの提携タイプであっても、目的は成功すること、これに尽きる。スタートアップ企業にとっての長期的な成功とは、好条件での利益回収や新規株式公開(IPO)となるだろう。一方、直近の目標は、単独では達成し得ない速度で、成長を促進させることにある。
しかし、両者が同じ志と目標を持っているからといって、それだけで自動的にうまく事が運ぶというわけではないのが業務提携というものだ。
容易ならざる業務提携
McKinseyのパートナーで、西アフリカ金融サービスプラクティスの責任者であるMayowa Kuyoro氏は言う。
成功を当たり前と思わず、双方に十分な心構えと準備をする必要があるのです。
リソース、文化、コンプライアンスなどにについてよく調整することが鍵となる。
Sterling BankのCEO、 Abubakar Suleiman氏はそれについて常に思いを巡らしている。定期的に提携のオファーを受ける立場上、Suleiman氏は、自身が多くの対話をもつことに前向きであると自負している。しかし、Suleiman氏はこう問題点を指摘する。
私たちは、利益を共有できると思うからこそ、パートナーシップを結ぼうとしているのです。それなのに、解決したい問題が明確でないことの方が多いのです。
Suleiman氏曰く、提携の話し合いは、まずは問題とその解決能力を明確化するとより効果的に進むという。そして、提携を制度としてではなく、能力という観点でとらえたアプローチをとるべきとの持論を展開する。
例えば、規制問題でパートナーを必要とするスタートアップ企業は、この課題に最も有能に取り組むことができる経験豊富な相手を選ぶべきということだ。この相手が大手銀行であろうと何であろうとそこに変わりはないはずだ。
何を議論すべきか?
とはいえ、両者にふりかかる見返りの多寡は軽視できない問題である。
「すべての人にとって経済的にうまく運ぶようにすることが重要なのです。」とPagaの共同設立者兼CEO、Tayo Oviosu氏は語る。
2010年代にPagaがInterswitchと提携し、当初こそ両者に利益をもたらしたものの、程なくして先細りになってしまった経験を同氏は例に挙げた。結果としてPagaは、ナイジェリアの他の課金サービスプロバイダーすべてと直接つながりをもつことが最善との判断に至ったことで、見直しの必要性に迫られることになった。
アフリカ43カ国で事業を展開し、送金サービスを提供するRia。同社のアフリカ担当オペレーションディレクターRobert Kotei,氏によると、スタートアップ企業や国境を越えて事業展開する企業は、業務提携を求める多国籍企業にとっては、より関心の高い存在となり得るという。
しかし、スタートアップ企業が強力な提携パートナーを獲得するためには、粘り強く自社の実績を積み上げる必要があるともいう。
Tomilola Majekodunmi氏は、2019年に「ajo」と呼ばれる拠出型貯蓄ネットワークのデジタル化を目指すスタートアップ企業Banklyを立ち上げた。その際、同社にとって、どのようなパートナーが必要かというジレンマに直面していたが、目標実現のために、通信事業者との連携を講じた。
それがうまくいかなかった原因のひとつには、パートナー候補がすでにBanklyの提案するようなサービスの直接提供を視野に入れていたことがある。また、提携に向けた独自のメリットもお互い見出すことができなかったのだ。
「大手企業にとっては、私たちは小規模で若すぎたから、フェアで理に適ったパートナーシップを結ぶことができなかったのです。」とMajekodunmi氏は当時を振り返る。そこで、Banklyは2年がかりで代理店ネットワークを構築し、現在ではナイジェリア全土に15,000店を展開するまでに成長した。
多くを求めないパートナーシップ
MTNのモバイル金融サービス担当ゼネラルマネジャーElsa Muzzolini氏は、比較的小規模な新興企業との提携に難しさがあることを認める。彼女によると、それには次の3つの要因が絡んでいることが多いと言う。
- 取引完了までの期間について当事者間で予想が異なる場合がある。
- 当初合意したスコープに乖離が生じること。
- 進んで意思決定に取り組む適切な担当者を見つけることが容易でない。
これらの要素が整って初めて、業務提携はうまく機能する。しかし、スタートアップ企業には、典型的な業務提携に伴う正式なステップを踏むことなく、協業の道を探ってほしいとMuzzolini氏は望んでいる。
もう少し手軽な形の提携方法はないものでしょうか?弊社のAPIを活用してみてはどうでしょう?そのうち数字が増えてくるようであれば、共同ブランドなどの話が持ち上がるかもしれませんよ。
