ジェンダー格差への意識が世界中で高まるなか、ファンド業界でも各国の指導者や投資家、企業の経営陣を中心に、資金調達における多様性、そして男女格差是正への動きが加速している。人口が世界第二位のアフリカ大陸では、中小企業の40%を女性が経営している。しかしそうした企業のうち、ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達しているのはわずか1%にとどまっており、この地域の歩みは遅い。一方、ある調査によると、女性が起業した企業は男性起業家と比べて収益率が高く(投資額あたり2倍以上)、より優良な投資先であることが分かっている。現在、サハラ以南のアフリカではジェンダー格差によって年間950億ドルものコストがかかっているという。こうした状況を受け、現地では女性が経営する中小企業に資金調達の機会を提供するため、女性に特化したアクセラレータをはじめとするイニシアチブが数多くローンチされている。最近では、創業9年のアクセラレータであるGrindstoneと若者を対象にした育成プログラムを提供するNaspers Labsが提携し、女性向けアクセラレータ“Grindstone X Program”を共同で立ち上げた。

Grindstone X Programは南アフリカの女性に特化したアクセラレータである。女性が主導する中小企業向けに専門知識や有益なネットワーク、資金、市場へのアクセスを提供することで、より投資価値が高く成長性のある企業に育て、イグジット確立を上げることを目的としている。3年間のプログラムを通じて、1年ごとにコホートが入れ替わる。南アフリカで女性が起業した企業から、Grindstoneが毎年優良な10社を選定し、3年で総計30名の女性経営者を支援していく流れだ。大きなインパクトを目指し、Grindstoneはアフリカ系や有色人種、インド系の創業者、さらには若者や障害者、低所得地域の住民を優先的に採用する予定だという。

GrindstoneのパートナーであるKeet van Zyl氏は新設されたアクセラレータついて次のように述べている。「南アフリカでは、まだ多くの女性起業家の才能が眠ったまま見過ごされていて、我々は創造力を膨らませながら彼女たちの能力を広く発掘しないとなりません。Naspers Labsのような革新的な企業と、Grindstoneのようにスタートアップの成長支援で実績のあるプログラムによる実のあるパートナーシップで、各社のビジネスに好影響を与えられるよう、状況に合わせて創業者を支援していきます」。プログラムの中身はオーダーメイド式で、ビジネス戦略の見直しや市場参入計画、資金調達の準備やネットワーキング、さらには優れたコーチ陣によるビジネスコーチング (Grindstoneのプログラムを経て成功した企業を含む) といった個別指導や、Naspers Labs からの資金援助も行われる。Naspers Labs のMapule Ncanywa代表は「我が国の優秀な女性創業者がGrindstoneX プログラムに応募してくださることを光栄に思います」と今回のパートナーシップへの意気込みを語っている。

Naspers Labsは、主に若い女性が経営する零細企業の発展を支援しています。我々が協力して女性創業者の潜在能力を引き出すことで、テクノロジー業界と経済の成長を支援していきたいと思います。