Hello,

ワン・ダイレクションは実にいいバンドだったのではないだろうか。生まれ育ちが多様な思春期の十代の若者たちが寄り集まり、プロデューサーSimon Cowellの手によって5枚のヒットアルバムを生み出すまでの成功を収めたのだから。熱烈なワンダイ(1D)ファンは否定するだろうが、正式に解散しないまま、現在ソロ活動する彼らは順調にキャリアを積み重ねているように見える。 

ボーイズバンドと同様に、グループや組織を長期にわたって1つの屋根の下で団結させるということは、急斜面の山を登るようなものかもしれない。

利益の追求というもっともらしい動機もさることながら、その熱意を持続させるためにはXファクター(*1)となる心をときめかす何かが必要だろう。銀行や金融機関を才能ある人材と見立てるとして、このバンドを売れっ子にするためには何が必要であろうか。

APIとオープンバンキングを標準化仕様の下にアフリカの金融機関を統合する、そのために欠かせない要素は何かについてこれから話すことにしよう。

Stitchと統一PIPEs(Private Investment in public equity

南アフリカに拠点を置くStitchは、以前TechCrunchでも解説したように、シードファイナンスで$4Mを調達し、ステルスモードから脱した。

この資金調達の目的は、何を差し置いても、アフリカで台頭する製品、つまりフィンテックAPIを構築することである。

MonoOnePipePngmeOkraChenosis等はまだメディアの注目を集めてはいない。アフリカにおける金融サービスを切り離したり、再統合したりするBaaS(banking-as-a-service)イノベーターである彼らをクールな新進気鋭フィンテックとでも呼べばいいだろうか。

「目標は、アフリカの開発者がフィンテックに簡単にアクセスできるようにすること」と、Stitchの共同創設者兼CEOのKiaan Pillay氏はメールで述べている。

Monoの野望とどう関わっていくかに関心が注がれているが、間違いなく同じ方向に進むことをここで付け加えておきたい。Monoは素晴らしいと思うし、彼らが次に何を起こすのか楽しみでならない。」

 アフリカ版のPlaidとなるのは、少なくとも2つのスタートアップとなるだろう。同じことをしているフィンテックAPIは他にあるだろうか?

The spaceはまだ新しく、まとまってきてはいるものの、現状、基本的なフィンテックAPIと考えられるスタートアップの大きなしばりは2つある。

StitchMonoに類似したスタートアップは、個人や企業による顧客財務データの入手を可能にすることに注力している。もう一方のしばりには、OnePipeのようなスタートアップがいる。フィンテック以外の企業に特化し、統一標準化の下、簡略化されたバンキングサービスアクセスで直接銀行のAPIを呼び込むという手法である。

[ 以下の記事も読む: Monoが YCombinator の W2021 バッチにいる理由 ]

OnePipeの創設者兼CEOのOpe Adeoye氏は、「銀行に顧客を仲介すると喜ばれる」と私に言う。

彼らはバックエンドテクノロジーの構築やAPIの連携を確認するために、銀行とウイークリーミーティングやズームコールといった面倒なことをする余裕のない非テクノロジー系企業に焦点を当てている。

Adeoyeのチームは、Open Banking Nigeriaグループのガイダンスに従っている。

世界中のオープンバンキングイニシアチブと同様に、Open Banking Nigeriaは、金融サービス業界へ向けた共通のAPI標準化を図り、更なるイノベーションに拍車をかけようと意図している。The Central Bank of Nigeria(以下CBN)もこれを望んでおり、銀行がこの動きを受け入れるべき理由とその方法に関するガイダンスも公表している。

ナイジェリアのオープンバンキングの理想モデルは、英国のPSD2 (EU Payment Services Directive II)である。BarclaysHSBCSantanderRoyal Bank of Scotlandのいずれであっても、銀行側はライバルであるノンバンクに安全で標準化された形で顧客支払い口座へのアクセスを提供することを求められる。

アフリカ諸国以外では、英国が現在行っている方法でAPI標準化へ着手し始めている。ナイジェリアでは、CBNはいまだに利息を最大化する提案としてそれを銀行に売り込もうとしている。

アフリカのロックスター、フィンテックバンドの場合、この標準化は、統一PIPEsで繋ぎ合わせることができる銀行がある国でなければなし得ないだろう。アフリカ諸国のほとんどが新興国であることを考えると、その未来が訪れるまでにはまだしばらく時間がかかりそうだ。

しかし、賽は投げられた。少なくとも40に及ぶ組織Open Banking Nigeriaトレインに乗りこんだのだ。彼らは異なる背景を持つ異なるタイプの企業であり、アフリカをワン・ダイレクション(ひとつの方向)へインスパイアするような魔法を生むことに望みをかけている。

CABALより

2020年第4四半期のJumiaの収益レポートは、4,100万ユーロの収益、4,000万ユーロの営業損失、2億3,110万ユーロに値する膨大な商品量という興味深い数字を打ち出している。この数字の意味するところは何か? Muyiwaから解説を聞こう。

ガーナは、世界で初めて開催されたCOVAX(COVID-19 Vaccines Global Access)からOxford-AstraZeneca COVID-19ワクチン60万回投与分を受け取った。表現は悪いが、アフリカの巨人であるナイジェリアの自意識は、近ごろガーナへも波及しているようだ。

ナイジェリアといえば、誰が仮想通貨についてこのコメントをしたかわかるだろうか?「仮想通貨はブラックであって、ホワイトではない。なぜなら、目に見えない上に、透明性がない。」

答えはナイジェリア人である。

TC インサイト

ワーキングアライアンス

消費者向けのスタートアップを定義しようとすると、Cowrywiseのような投資プラットフォーム、Talaのようなデジタルレンダー、またはPaystackのような決済会社が手っ取り早い例として挙げられる。

しかし、大規模な顧客基盤を持つ銀行とコラボして、より良いサービス提供を可能にするOnePipeのようなAPIフィンテックは、消費者サービスのひとつとも言える。

ナイジェリアに拠点を置くOnePipeは、フィンテック企業と銀行のコラボレーションを可能にする取り組みで知られるAPIフィンテックスタートアップだ。フィンテックと銀行がコラボすればより強力なタッグとなるとOnePipeは見ている。

APIフィンテックのスタートアップは、一般的にアフリカのフィンテック分野では目新しいものであるが、OnePipeのようなビジネス向けのスタートアップとなればなおさらである。それでも尚、彼らの最終目的は、顧客にシームレスな体験を提供することなのだ。

OnePipeは自身をスーパーアグリゲーターと称し、それが意味するところはいたって明快である。銀行やフィンテックからサービスプロバイダーが利用する標準化されたゲートウェイまで、複数の金融サービスをAPIで統合する役割を担うのだ。

OnePipe の取り組みにはいくつかの障害がある。より良い顧客体験を提供する上でテクノロジーの重要性を認識している銀行は、コラボレーションのアイデアに対し、殊更オープンになってきている。

しかし、このコラボレーションはまだ十分に行き渡っているとは言えない。アフリカ諸国の多くは、コラボレーション自体が存在すらしないからだ。アフリカ大陸における元来のAPIフィンテックスタートアップがナイジェリアに集中しているのはそれが理由かもしれない。

もう一つの問題は、サイバーセキュリティリスクである。 ImmunoWebによると、フィンテックスタートアップの98%がフィッシング、ウェブ、モバイルアプリケーションのセキュリティ攻撃というリスクに直面している。 2019年には、世界中のサイバー犯罪攻撃で35億ドル以上が失われた。一部の評論家は、2022 年までに API に大規模な攻撃ベクトルが向けられることになると予想している。

それでも、消費者向けフィンテック業界はイノベイティブな活動の場になりつつあり、これまでとは一味違う、本質的なサービスを提供するOnePipeのようなスタートアップの参入に、投資家の関心は高まり、より世界的に脚光を浴びる可能性がある。

OnePipeはナイジェリアの金融機関を対象に絞っているが、同社がアフリカ大陸以外へ進出することを阻止するものは何もない。問題はこれらの国々の規制と協力体制が、ファシリテーターとなるか障害となるかにかかっている。

(*1) Xファクター

ワン・ダイレクションを初め、多くのアーティストを輩出したイギリスのオーディション番組