アフリカの金融テクノロジー企業は成長機会に恵まれているとは言うものの、持続的な収益化への道筋は未だ見えてこない。

8月6日に発表されたMcKinseyのレポートによると、アフリカのフィンテックが、ケニアのように11の主要市場の金融サービス部門に深く浸透すれば、8倍の成長が見込めるという。この見通しは喜ばしいことではあるが、McKinseyのアナリストは、持続可能な収益への道筋がまだ見出せていないことに懸念を示す。

深刻化する大陸の分断もあって、厳しい市場で事業展開せざるを得ないアフリカのフィンテックだが、発展途上のセクターでありながら、著しい影響を及ぼすに至っている。こうした成功の背景には、フィンテック企業が顧客獲得のために、大幅に安い価格設定や完全無料サービスを日常的に行っていることがある。しかし、それで一時的に顧客を集めても、一過性の効果しか得られず、実は顧客ベースによるマネタイズにアフリカのフィンテックは苦戦強いられている、と同アナリストは指摘する。

アフリカのフィンテック企業は、収益化が困難なだけではなく、市場によっては、時として急速に変化する規制強化の度合いに対応しきれていないということもありそうだ。これに加え、通貨が弱く、変動しやすい経済圏で事業を展開するには、為替管理も容易ではなく、コンスタントな収益化へは大きな壁が立ちはだかるという。

こうした課題にもかかわらず、アフリカのフィンテックは目覚ましい成功をおさめ、金融サービスからの収益は毎年10%近く増加し、2025年には2300億ドルに達すると予想されている。大陸で最も成熟した金融市場である南アフリカが、この成長の牽引役を担っているという。

アフリカのフィンテックは、この分野に参入し、拡大する市場でシェアを獲得することによって、収益を800%成長させることが可能であると見られている。

McKinseyのアナリストのこのような報告からすると、アフリカ全土にチャンスが平等に与えられていると思われがちだが、実はそういうわけではない。このレポートでは、アフリカのフィンテックの成長を促進する鍵として、ナイジェリア、エジプト、南アフリカ、モロッコ、ガーナ、ケニア、タンザニア、ウガンダ、コートジボワール、カメルーン、セネガル等の国が挙げられている。

多くのフィンテック企業が直面している主な問題として、事業を展開するビジネス環境の脆弱性が指摘されている。これが原因で、アフリカのフィンテックによる金融サービス分野のシェアは、世界平均の5%や先進国市場のさらに高いそれと比べて、平均2~3%と低い。このことは、環境が改善されれば、フィンテックは1500億ドル規模のアフリカ金融サービス市場でより多くのシェアを獲得できることをうかがわせる。それは理に適ったことのように思える。しかし、ここで興味深いのは、フィンテック成長の牽引役である筈の南アフリカを除けば、金融サービスからの収益におけるシェアは、世界平均と同等か更にそれを上回る。この事実を紐解くと、南アフリカはフィンテックでは十分な力を発揮できないのか、若しくは、他のアフリカ諸国は金融サービス分野が成熟していないからこそフィンテックが発展するのか、そのどちらかと言えるだろう。