10月22日、Muhammadu Buhari大統領による#EndSARS抗議活動に対する厳しい演説は、ナイジェリア人の移住プラン、通称ドリーミングJapaを棚上げしてしまった。

そこで、テクノロジー開発者を海外の仕事につなぐナイジェリアのスタートアップ、WeJapaは、信頼回復を強調したツイートで、世の中のムードを利用した。

創業者のFavour Ori氏が行った不正行為については、必ずしもビジネスに損害を与えたとは限らないと調査報告書で結論付けられたものの、WeJapaは再びそれを覆そうとしている。ツイートに対して寄せられたコメントから察するに、その投稿は概ね好意的に受け取られたようだ。わずか6週間前には多くの人の怒りを招いたスタートアップにとって、これは特筆すべきことである。

テクノロジー業界の闇が浮き彫りになったことで、Ori氏は悪役として知られるようになった。Ori氏の不正に対しての申し立ては、お粗末な判断と契約不履行という点に向けられていたが、非情さや権力乱用、詐欺といった疑いもあると見て、警鐘が鳴らされたのだ。

しかし、Ori氏とWeJapaは、ビジネスの運営方法に若干の変更を加えることを条件に、2度目のチャンスを与えられている。現在、この事件が解決済みとされている限り、アフリカのテクノロジー業界が成熟に向けて前に進むためには心しておくべき課題が、少なくとも2つはあるだろう。

歓迎すべき好例

WeJapaの調査を信用する人は少ない。インターネット企業Tizetiの最高経営責任者(CEO) Kendall Ananyi氏に対するセクハラ疑惑において、当初の申し立ては、その調査内容が一見して不透明であるということであった。

しかし、すっきりしないTizetiの一件へ向けられた世間からの不信感と反発から学んだWeJapaのアドバイザーは、公正なプロセスを公にする戦略を選んだ。そのおかげで、非常に若いスタートアップであるWeJapaが、外部からの声の影響というものに対してよりオープンになれたようだ。

外部からの声に反応したのはWeJapaのみならず、Microtractionもまたそのひとつであった。WeJapaに財政支援をした矢先の8月に苦情が殺到し、一投資企業として、素知らぬふりをすることが到底できないのは明らかだったからだ。

スタートアップを支援した他の投資企業やアドバイザーと共に、同社は率先してクレームの調査会社を捜すことに尽力した。

Calmhill [partners]は、有用性、類似問題の処理経験、そして業務範囲の理解という点で適った何社かの中から選んだのです。」と、MicrotractionのパートナーであるDayo Koleowo氏は語った。

Microtractionの役割は、独立した調査とプロセスが守られ、担当調査官がWeJapaの投資家や主なステークホルダーと関係を持たないようにすることでした。」

確かに、Calmhillの選択は必ずしもTwitterで疑念を払拭したわけではなかった。Calmhillが指名されて調査を引き受けたことをその数週間後にツイートしただけに過ぎない、と評論家の何人かは指摘した。事実、それは彼らの初めてのツイートであった。

しかし、そのこと自体がプロセスを順調に運ぶことの妨げにはならなかった。エグゼクティブサマリーには、妥当な水準の調査能力を示す調査目的、日付、数字、詳細等がきちんと述べられている。

Koleowo氏によると、「WeJapaの投資家として、調査の独立性に違反した」との疑いでCalmhillが調査開始後は、Microtractionはそれ以上関与しなかったということだ。

Ori氏に対して申し立てをした開発者の中には、Microtractionが手を差し伸べて支援したことをTwitterで肯定している者もいる。詳しくは語らないが、問題は「解決済み」とツイートしている。

これは、TizetiによるAnanyi氏への調査後、未回答のままにされた疑問の数々への不満が生じた状況とは段違いの、良い例として数えられるべきである。Ananyi氏を告発したテクノロジーコンサルタントのKelechi Udoagwu氏は、彼女の事件に対して「独立した特別調査委員会」は存在しなかったと主張している。

セクシャルハラスメントの調査は、最高レベルの真摯な姿勢と厳しさを要するより深刻な問題であるので、それが事実だとしたら恥ずべきことである。彼女の主張は、Tizetiと法律事務所であるOlumide Sofowora が行った調査よりも透明性が高く、敵対的ではないプロセスを踏んだという点で信用に値する。

セクシャルハラスメントの告発は、職場でのいじめや契約上の過失よりも社会的に大きな意味を持つ。有罪の場合、被告人は大っぴらに嘆き悲しむこともできないし、社内の別のポジションへ異動することもできない。それぞれのケースの正確な判断は、十分な証拠に基づいていなければならない。

しかし、その十分な証拠とは、しばしば良いプロセスの産物であり、それはTizetiでは起こらなかったようだ。WeJapaの調査は稀なケースではあるが、エコシステムにおける歓迎すべき是正と言えよう。

成長のチャンス

しかし、WeJapaが危機を乗り越えたというわけではない。このレポートは、唯一のアントレプレナーシップによる運営と思われたスタートアップにとっては、極めて不利な内容である。

Calmhillの勧告には、価格設定モデル、開発者との明確な契約、作業タイムラインの規定など、事業運営における変更の必要があることが強調されている。しかし、WeJapaの最も明らかな変化は、Ori氏をスタートアップのCEOからCTOへ配置転換したことであった。

これは、Ori氏が以前のように開発者と直接関与することがなくなることを意味するが、では、なぜOri氏はまだ事業に携わる必要があるのだろうか?

「Ori氏は、この種の起業のために必要な知識を有するエンジニア起業家なのです。」とは、MicrotractionパートナーのKoleowo氏の弁である。

スタートアップの新たなCEOであるHauwa Aguillard氏も、「エンジニア起業家という点が好都合なのです。彼のソフトスキルを積み上げながら、現時点でその強みに着目することはWeJapaにとって正しい決断です。」とKoleowo氏と同じ心情を代弁している。

元CEOはソフトスキルの向上とCTOの任務に集中し、他のチームメンバーが開発者とやり取りすることになる、と続けて述べた。

この経験は意思を伝えることの重要性について教えられる瞬間であった、とAguillard氏は確信している。

「私たちは若いスタートアップであり、このような事件の再発を防ぐために、学習プロセスを導入することにやぶさかではありません。学んだことや軌道修正を隠し立てもしませんし、ナイジェリアのテックエコシステムにそれを役立てるという、より強いメッセージにつながると信じています。」 彼らが本当に学んだかどうかは、いずれ明らかになることだろう。