モロッコのeコマーススタートアップChari。同社は、アフリカフランス語圏の小売店向けFMCG(日用消費財)フルフィルメント業務デジタル化のため、Plug and Playから2度目の資金提供を受ける。

シリコンバレーに本社を置く、大手イノベーションネットワーク企業Plug and Playは、このたび、小規模小売業者とFMCGメーカーをつなぐ、モロッコのB2B eコマーススタートアップChariへの投資を公にした。その資金額は明らかにされていないが、今後発表されることになるクローズドシリーズAラウンドの一部であることをTechCabalにより確認されている。

Chariは、従来型の個人商店を自社のプラットフォームに取り込むことで、受注業務をサポートするとともに、ファイナンスサービスも提供する。昨年のチュニジアとコートジボワールへの進出以前にも、モロッコでは2万件以上のフードビジネスを展開してきたという。

Plug and Playの北アフリカ担当ディレクターであるAziz El Hachem氏は、Chariを新たな高みへと導く創業者たちへ期待を寄せる。

モロッコのスタートアップ・シーンは成長し続けており、より高度なレベルでの資金確保に動く企業が増えています。私たちは、このダイナミックなエコシステムの一員となることに大変意気込みを感じています。Startgateがモハメド6世工科大学と手がけた提携プログラム発足時の顔ぶれから、私たちがモロッコで最初に注目したChariに期待をかけています。創業者のIsmaelとSophiaは素晴らしい起業家であり、大いに成果を上げてくれるものと確信しています。

2021年の500万ドルの調達に続き、今回の資金調達がChariの一連の活動に拍車をかけることになる。2022年、同社は非公開のブリッジラウンドを実施し、Axa CreditとDiagoを買収した。そして2023年2月、Plug and Playの2度目の投資も与して、Chariは現在進行中のシリーズAラウンドの一環として、Orange Venturesから100万ドルを調達した。

Chariのビジネスモデルは、発展途上国のFMCG市場の大きな特徴となる、点在する従来型の小売店舗ネットワークを集約するという形である。消費市場の80%を占める店舗販売業は、Chariにとって大きなビジネスチャンスとなる。モロッコのスタートアップであるChariは、このソリューションによって、店舗運営や在庫補充管理に革命を起こすことを目指している。Chariは、自社のプラットフォームで小売店に低価格と即日配達を提供するよう求めるとともに、FMCGのメーカーが日々の売上を把握することを可能にするという。

「Chariは、モロッコにおけるFMCG製品のB2B eコマース・プラットフォームとして、すでにその地位を確立しており、市場において強い牽引力を発揮しています。また、地域プレーヤーとなる明確なビジョンを持ち、追加サービスを構築することにより、市場シェアの拡大や 組み込み型フィンテックなどで、さらなる収益源を生み出す機会を提供することができるでしょう。Chariはこのほど、モロッコ中央銀行から、VCが支援するスタートアップ企業としては初めて決済ライセンスを取得しました。」とプレスリリースには記載されている。

Chariのキャップテーブル(資産政策表)には、Y Combinator、Rocket Internet、Endeavor Catalyst、Harvard University Management Company、Orange Ventures、Verod-Keppleなどのグローバルな機関投資家がリストアップされている。昨年、TechCabalは、Chariがモロッコ初のユニコーンになりつつあると報じたが、買収や資金調達の発表が相次いでいることから察するに、その可能性はこれまで以上に高まっているようだ。