業界筋によると、Medius社はExpensya社を数億ドルで買収するだろうとのことである。
スウェーデンの事業経費管理会社Medius社が、チュニジアで設立されパリに本社を置くExpensya社を非公開で買収する意向であることが報じられた。それによると、この買収は「中南米地域(MENA)で最大級のもの」と伝えられている。
Expensya社は2014年、Karim Jouini氏(CEO)とJihed Othmani氏(CTO)によって設立され、ヨーロッパの企業向けに自動支出管理ツールを提供している。Expensya社の製品は、ルールと権限を設定して従業員の経費支出を合理化し、時間短縮を可能にする。SAP, Oracle and Dynamicsなど、一般的なERPアプリケーションと統合させることにより、あらゆる業務支出の可視化された管理を持続し、従業員の経費精算を簡素化することができる。
チュニジアで設立されたExpensya社は、パリに本社を置くが、オフィス業務のほとんどが発祥地のアフリカで行われている。昨年のTechCabal の報告によると、全従業員160名のうち、アフリカ以外で働く従業員はわずか50名に過ぎず、他はチュニジアの首都にある事業所で勤務しているという。
この買収前に、Expensya社は総額2,560万ドルを調達しており、直近では2021年4月に発表された2,000万ドルのシリーズBを実施している。プレスリリースによると、Expensya社は2021年からの2年間で経常収益を2倍以上に成長させ、100カ国に及ぶ6,000の企業と、70万人のアクティブな個人ユーザーを獲得したという。Expensya社は現在、チュニジア、フランス、ドイツを中心に200人以上の従業員を抱えている。
中規模企業のCFOは、あらゆる支出を効率的に管理する共通プラットフォームを必要としているのです。」と同社CEOのKarim Jouini氏は言う。「当社の従業員経費管理システムと決済カード、Medius のAP自動化プラットフォームを組み合わせることで、企業のあらゆる経費を一括管理することが可能になります。
2001年に設立されたMedius社は、スウェーデンの首都ストックホルムを拠点とする、クラウド型経費管理技術プロバイダである。
2017年、カリフォルニアに拠点を置くプライベート・エクイティ投資企業のMarlin Equity Partnersは、金額非公開でMedius社を買収した。この3月、同じくプライベート・エクイティ投資企業であるAdvent Internationalに、Mediusの少数株主持分を金額非公開で売却した。業界筋によると、MarinはMedius社の再評価額を下方修正後、少数株主の単独株式売却額は5億ドル近くになったという。それにより、実質的にMedius社が10億ドルの大台を超える価値を保持していたことが示唆された。
「Expensya社は、ヨーロッパを牽引する従業員の経費管理ソリューションを構築しました。」とMediusのCEOであるJim Lucier氏はプレスリリースで語っている。「創業者であるKarim氏とJihed氏、そして経営陣は、経費管理分野に変革を起こそうという目標を共有しています。」Medius社はExpensya社の技術を活用し、特に旅行事業者向けの経費管理自動化プラットフォームを強化したいと目論んでいる。International Data Corporationの財務アプリケーショリサーチ・ディレクターであるKevin Permenter氏はこう指摘する。
出張や経費のデータを財務関連部門間で共有できれば、出張実績や財務状況をマネジメントが総合的に把握できるようになります。Mediusが計画しているExpensyaの買収は、その意味でメリットがあります。
Medius社は、同業種または類似分野で事業を展開する企業を買収することより、自社の事業領域を発展させようと努めてきた。同社は2019年、英国の調達決済プロバイダ、 Wax Digital を買収している。さらに2022年には、米国を拠点とする買掛金およびクラウドベースの請求書処理企業のOnPay Solutionsも買収している。
今回の買収が実現すれば、チュニジア発祥のスタートアップ企業の数億ドル規模の取引としては、2件目となる。今年1月には、オックスフォード大学傘下のBioNTechが、やはりチュニジア発祥のスタートアップInstaDeepを6億8,000万ドルで買収した。これは、アフリカ発のスタートアップとして、過去最大の取引とされる。