Googleは先頃、アフリカの未開拓地域におけるスタートアップや女性起業家のビジネスを支援する2つの新たな取り組みを発表した。

このプログラムには、アフリカのスタートアップを対象としたBlack Founders Fundと、低所得層の女性起業家のスキル向上と資金調達を支援するGoogle.org助成金、各々300万ドルが含まれる。

後者については、Google社がTony Elumelu Foundation(TEF)に300万ドルの助成金を提供することで、サハラ以南のアフリカ女性を経済活動へつなぐ支援を試みる。TEFは、少なくとも5,000人の女性を対象に、起業トレーニング、メンターシップ、コーチング、ネットワーク参加や主要市場への参入方法などを提供する予定である。

加えて、ナイジェリア、南アフリカ、ケニア、一部のフランス語圏諸国の農村地帯で商売を営む、低所得層のアフリカ女性500人に、1回限りの補助金という形で資金を提供する。

Googleは、「このプログラムによって、これまで機会を得ることができなかった女性たちが、重要な起業および初期成長段階において、独立したビジネスを進める準備ができるようになるはずです。」とウェブサイト上の声明で述べている。

Black Founders Fundアフリカデビュー

The Google for Startups Black Founders Fundは、黒人コミュニティの発展を目的に、多様な人種のチームが率いる初期段階のスタートアップに助成金と技術支援を提供する。

2020年に始まったこのプログラムは、黒人起業家が直面する資金調達という壁を解消するため、一連の人種的公平性へのコミットメントの一環として行われ、米国、ブラジル、ヨーロッパで実績を上げている。

このほど、米国の大手企業は、このプログラムをアフリカへも拡大した。アフリカ発のスタートアップ企業は十分な開業資金もなく、エンジェル投資家も少ない。資金援助を受けることも困難な状況にあるのだ。

GoogleとBlack Founders Fund Africa(BFFAfrica)で提携しているCo-Creation Hub(CcHub)のCEOであるBosun Tijani氏によると、アフリカのスタートアップ企業の資金不足にはある要因が見られるという。

「需要という点では、広範に渡る課題を解決するためにベンチャーの数が増えています。ベンチャーの数が増えれば、資金調達の必要性も高まります。」と、Tijani氏はTechCabalに語った。

また、エコシステムから生まれた様々なサクセスストーリーのおかげで、投資家からの信頼性は向上しているものの、大きなビジネスへつながる可能性については懐疑的であると付け加えている。「このようなリスクが強調されることで、エコシステムへの資金提供の減少が度々見られるのです。」と述べた。

さらに、アフリカのベンチャーキャピタルが資金調達ラウンドを終了する数は、新興ベンチャーの数ほどには増えていない。保険会社、年金基金、財団等の機関は、その特性から、まだ初期段階にあるエコシステムの発展を支援しようとはしない。また、テクノロジーエコシステムへの投資促進に必要な政府の優遇措置も十分とは言えない。

こうした課題を踏まえ、Googleは、300万ドルの非希釈資金を投資可能なアフリカのスタートアップ50社のパイプラインに配分し、各企業に最大10万ドルの株式なしの現金提供を計画している。また、対象となった企業には、22万ドルのGoogle Cloud CreditsAd Grantsが提供されるほか、メンタリング、技術支援、スケーリング支援が行われる。

ナイジェリア、ケニア、ルワンダに拠点を置く技術コミュニティのハブCcHubと協力して、アフリカ全土から選ばれた50社に資金を分配する。

Tijani氏によると、CcHubのチームが選考プロセスから最終的な資金提供まで、洞察と技術的サポートを提供することで、積極的に関与していくことになるという。「CcHubチームが、この資金の恩恵を受けた企業の業績のモニタリングと評価を行うのです。」

応募可能なスタートアップ

Black Founders Fund Africa(BFFAfrica)による応募要領には、黒人創業者であること以外に次の条件が挙げられている。アフリカに本社あるいは法人があること、アフリカ及びグローバルマーケットへ向けたビジネス構築であること、雇用を創出していること、さらなる資金調達に値する成長を期待できること、インパクトを与えていること、初期の牽引力が証明されていることとある。

また、創業チームが多様性に富んでいるか、創業メンバーに黒人の経営幹部1名以上を擁しているか、黒人コミュニティを直接サポートしているか、成功に必要な専門知識を備えているか等が問われる(創業メンバーの経歴またはチームとしてのいずれか)。

更に、Googleは自社製品と互換性のある、市場に製品化されたテクノロジースタートアップや、テクノロジーが事業拡大の核となるビジネス(コンサルティングや非営利団体は除く)を求めている。

第1回目のアフリカ向けファンドは、ボツワナ、カメルーン、コートジボワール、エチオピア、ガーナ、ケニア、モザンビーク、ナイジェリア、ルワンダ、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ジンバブエの13カ国のスタートアップを対象としている。

「これらの国で、条件を満たす企業すべて、特に、女性によるスタートアップには奮って応募して頂きたい。」とTijani氏は述べている。

基金への応募は7月7日まで受け付けており、対象となるスタートアップ企業はgoo.gle/BFFAfricaにアクセスして今すぐ応募することができる。