ヨハネスブルグを拠点に、テクノロジーを活用したヘルスケアをよりアクセスしやすく、低価格で提供するヘルスケア関連のスタートアップQuro Medicalは、グローバルヘルスケア企業で南アフリカ最大の私立病院チェーンのLife Healthcare(LHC)から非公開で出資を受けた。

2018年にVuyane Mhlomi氏とZikho Pali氏によって設立されたQuro Medicalは、在宅ヘルスケア企業であり、ヘルスケアテクノロジーを用いてリアルタイムデータを分析し、患者の健康をモニタリングする。救急病院の治療以外で常時、医者や看護師などの医療従事者のモニタリングを必要とする患者に、遠隔で必要なサポートを受けることができる選択肢を提供する。

Life Healthcareは、人を中心とした多角的なヘルスケアを提供するグローバル企業で、ヨハネスブルグ証券取引所に上場している。LHCは33年間、南アフリカの民間ヘルスケア業界で事業を展開し、現在、アフリカ南部で66の病院を運営する。また、海外にも積極的に進出し、世界10カ国で活動している。

LHCには豊富な医療知識と、そのサービスに信頼を寄せる多くの患者がいる。一方、Quro Medicalは、LHCがより早く、より効率的に患者さんにアプローチするための技術を強みとしている。

今回の投資は、Quro Medicalが前回110万ドルのシードファンドを調達してから約3ヶ月しか経過していない。先の投資と今回の資金調達の間隔が短いことは、スタートアップの成長と、南アフリカの人々におけるヘルステック業界への期待値を示している。

Mhlomi氏は、「前回ラウンドの発表以来、我々のプラットフォームにアクセスするためにサインアップした医師の数は約2倍になり、今回のラウンドでより多くの患者にサービスを提供できるようになりました。」 とTechCabalに語った。「この需要に対応するために、社内のリソースも増やす必要がありました。」

なぜこのパートナーシップが重要なのか?

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、世界中でバーチャル・オンライン指向が強くなっている。従来のやり方では通用しなくなり、あらゆる業界でデジタル化が進み、ヘルスケア分野も例外ではない。

Life Healthcare GroupのCEOであるPeter Wharton-Hood氏は声明の中で、「パンデミックの間、南アフリカの医療システムに継続的な負担がかかっており、デジタル対応できる在宅医療ソリューションの必要性が鮮明になりました。」と述べている。

今回の投資により、LHCは、患者に病院での診療と遠隔診療が可能となり、ハイブリッドなヘルスケアシステムとして、国内およびグローバル市場で積極的に展開していく予定だ。

Wharton-Hood氏は、「私たちの人中心のアプローチは、病院外のサービスでも患者様に貢献するための革新的な方法を考えることを促し、人生をより良くするという私たちの目的を果たし続けることにつながっています。」

「院内での治療は必要としないが、モニタリングが必要な患者への治療を継続しながら、さらに治療が必要な患者には院内のリソースを提供することができるようになりました。南アフリカの医療を向上させたいという共通の目標があるからこそ、Quro Medicalとの新しいパートナーシップは目的にかなったものになっています。このデジタルヘルスケアソリューションを患者様に提供できることを楽しみにしています」と述べている。

Quro Medicalの共同設立者/CEOであるMhlomi氏によると、データに基づいた観察・治療は、患者にとても良い結果をもたらす。「自分の家で、家族からのサポートを受けることができればさらに回復と治癒が促されます。」と言う。

Mhlomi氏によると、Quro Medicalは従来の遠隔診療より、良いシステムになるという。

「患者様は、自宅という治療に最適な場所で、24時間体制のモニタリングにより、安全かつ世界水準の治療を受けることができます。私たちは、LHC病院における豊富な経験とホームケアの専門知識を活用し、患者さんへ自宅での医療サービスを手頃な価格で提供できることを嬉しく思います」と述べている。

今回の提携は双方にとってメリットがあったが、最も大きなメリットは2つの医療機関の間でチェックイン・アウトができるようになった利用者である。Mhlomi氏は、今回の提携は初めての試みであり、「医療機関同士や医療機関とハイテク企業との間で協業意欲が高まる可能性がある」と話す。

さらに、今回のパートナーシップは、アフリカにおけるハイブリッドヘルスケアシステムの新たなトレンドの始まりになる可能性がある。Quro Medicalによると、今回の提携は、深刻なアフリカの医療問題を解決するために、他の企業と協力していくという当社の取り組みが実を結んだ結果だと考えている。今回の契約は、LHCが存在する他市場への進出も可能となるため、Quro Medicalの拡大計画にも役立てることができるとしている。