ナイジェリア中央銀行の承認に基づき、MFS Africaは、Capricorn Digitalと買収契約を締結した。Capricorn Digitalはナイジェリア国内に9万人の代理店ネットワークを有するナイジェリア最大級のデジタルソリューション配信企業であり、この度の買収は、金額非公開で行われた。
MFS Africaはアフリカ全土を網羅する有力フィンテック企業で、アフリカ大陸最大のデジタル決済ハブを運営している。35カ国以上の銀行、通信事業者、送金サービス企業と一元化された接続ポイントでサービスを提供する。
Paga、MTN mobile money、Ecobank、Safaricomなどがこのハブに統合されており、プラットフォームの切り替え手数料なしで、推定3億2千万人のモバイルマネーユーザーが、さまざまなデジタルウォレットを利用している。
Capricornは、中小企業向け自社ブランド「Baxi」を展開し、デジタル決済サービスのエコシステムを運営している。同社のソリューションには、公共料金の支払い、Airtimeの購入、有料テレビやデータ通信料の支払い、現金の引き出しや送金などナイジェリア人の日常的な支払い手続きをサポートするサービスが含まれる。
ナイジェリア国内の最も遠方の地域では同社の代理店や加盟店ネットワークで、BaxiBox POS、BaxiPay、Baxi MPoS Device、BaxiRIMSなどの製品販売を通じて、こうしたサービスを提供している。
過去5年の間で、MFS Africaの100%現金買収は今回が3回目となる。アフリカ最大の経済大国であるにもかかわらず、おサイフケータイの普及率が低い同国へ汎アフリカ決済サービスを提供することで、MFS Africaの存在感が増すことになる。Capricornの社名はMFS Africaへ変更されるが、主力商品であるBaxiの名前はそのまま残る。
両者とも取引額の公表を避けたが、Capricornの創業者兼CEOであるDegbola Abudu氏は、ナイジェリアのフィンテック分野としてのこの取引は、昨年StripeがPaystackに支払った2億ドルに次ぐ規模であるとTechCabalとの電話インタビューに答えている。
MFS Africaはベニス出身のDare Okoudjou氏が2009年、一方のCapricornはナイジェリア出身のAbudu氏がFolu Majekodunmi氏と共同で2014年に各々設立された企業である。
今回の買収により、マネーオペレーターと巨大な大衆マーケットに展開するエージェントネットワーク間の相互運用性で、より大規模な、汎用性の高い企業が誕生することになる。
汎アフリカ主義的な前進
Okoudjou氏によると、MFS Africaの大きなビジョンは、アフリカ大陸54カ国すべてに拠点を置き、5億人の人々と数百万社に及ぶ中小企業にサービスを提供することである。
「携帯電話やPOSさえあれば、アフリカや世界中の他の地域と十分取引できるはずです。」と同氏はTechCabalに語り、次のように続けた。
人々が互いに電話をかけ合うように通貨の制約なしに送金手続きができる、大陸で最も優れたリアルタイムの決済ハブを構築しているのです。
MFS Africaの大陸拡大計画では、Julaya、Maviance、Numidaのケースと同様に、マネーオペレーターとの提携や、アフリカ全土の他のフィンテック企業へのマイノリティ投資を行うことが含まれる。
しかし、Okoudjou氏は、長期的な目標を達成するために両当事者がより効果的だと判断した場合には、100%買収を選択するだろうと述べている。
なぜ買収なのか?
MFS Africaが2020年6月に金額非公開で買収したウガンダのフィンテック企業Beyonicのケースと同様に、Capricornとの交渉は、マイノリティ投資から始まり、100%買収へと発展した。
Okoudjou氏は、「Dee氏との交渉が進むにつれ、単なる投資としてではなく、100%買収によって実現できることがだんだん見えてきました。」と述べている。
さらに氏は、ナイジェリアの市場の特徴(モバイルファーストよりもオフラインの決済手段が多い)を踏まえ、「ナイジェリアでの存在感を強化する」必要性から、MFS AfricaがCapricornに関心を持ったとし、次のように説明している。
他の市場では、モバイルマネーオペレーター1、2社とのパートナーシップで、その国のデジタル決済ユーザーの60%に達することが可能です。
しかし、ナイジェリアではモバイルマネーはそれほど広く普及しておらず、その代わりにCapricornのようなエージェントネットワークが急速に成長しているのです。
例えば、MFS AfricaはBeyonicを通じてオンラインで中小企業にサービス提供できるが、Baxiはさらにナイジェリアやその他の地域でオフラインでの商取引サービスを可能にする。
一方のAbudu氏は、アフリカにおけるモバイルペイメントの未来を、少数精鋭のゲームに例える。単独で事業規模を拡大しようとすれば、資本の支出が増え、実行に移すまでに時間がかかるので、統合が前進への鍵となるという見方をしている。
「汎アフリカ的な存在である企業と提携するには良いタイミングであり、私たちの事業には相乗効果がもたらされると考えています。彼らは国境を越えた決済など、幅広い付加価値のある商品やサービスを提供しており、はアフリカ最大の市場のひとつであるナイジェリアの中小企業にアクセスできるようになるのです。」と語っている。
この市場の可能性にまだほとんど手をつけていない筈です。今回の買収は、この国の発展を迅速に進める多くの何かをもたらしてくれるでしょう。
買収完了後、MFS Africaは、Baxiを同社のデジタル・ペイメント・ネットワークの重要な装置となるノードとして、アフリカのモバイルマネー事業者と同様に、ユーザーの国を越えた支払いを叶える。
また、MFS Africaは、デジタル化されていない中小企業に向けたBaxiの提案を、既に足跡を残した市場の一部へ拡大展開する。
「比較的少ない資本で大きなビジネスを構築することができましたが、今度はナイジェリアだけでなく、アフリカ大陸全体で競争できるようになりたいと考えています。」とAbudu氏は語る。
MFS Africaとの契約により、Baxiがナイジェリアでの成功モデルとなったことで、他のアフリカ諸国に展開するためのレバレッジにつなげることができました。
MFS Africaは、送金、マイクロレンディング、保険などのフルサービスを提供するために必要な追加ライセンスを取得するために、ナイジェリア中央銀行やその他の規制当局と協議するとともに、国内でのビジネス提携先を模索する予定である。
