今年5月、アフリカのクロスボーダー決済アプリを提供するChipper Cashが、シリーズCで1億ドルを資金調達した。その際、CEOのHam Serunjogi氏は現在の評価額を明らかにしないながらも、同社がアフリカで最も価値のあるスタートアップであるとコメントした。これは、アフリカのテック企業エコシステムに様々な反応を引き起こした。
それから5ヵ月が経過した今、Chipper CashはシリーズCの延長で、20億ドル強の評価額で1億5,000万ドルの調達を公表した。そのことから察するに、Serunjogi氏の主張はあながち間違いではなかったと言える。
今回の投資は、世界最年少のビリオネア、Sam Bankman-Fried氏が設立した、今最も注目すべき暗号資産取引所、FTXが主導した。
評価額が20億ドルを超えたChipper Cashは、ナイジェリアのInterswitch、Flutterwave、Opay、エジプトのFawry、汎アフリカ技術ハブを立ち上げたAndela、セネガルのWaveに続き、今やアフリカで7番目のユニコーン企業としての地位を確立した。
2018年に、モバイルアプリでアフリカ大陸における無料クロスボーダー決済サービスを提供するためにSerunjogi氏とMaijid Moujaled氏が設立したChipper Cashは、ガーナ、ウガンダ、ナイジェリア、タンザニア、ルワンダ、南アフリカ、ケニアの7カ国で事業を展開している。
最初のシリーズCラウンドで1億ドルを資金調達後、5月には英国に進出し、同国からアフリカへのピア・ツー・ピア(P2P)送金を強化した
先月、同社は競争の激しい米国市場にも参入し、同国からアフリカへの送金をナイジェリアとウガンダで開始したことが報告されており、近い将来、さらに多くの国へも進出することになっている。
また、南アフリカ、ウガンダ、ガーナといったアフリカ諸国から、米国への送金も来年には開始する予定である。
Chipper Cashは、今年の初めにTwitterと提携し、アフリカのユーザーを対象としたTip Jar(投げ銭)支払い機能を提供することにより、ソーシャルペイメント市場にも乗り出した。
Tip Jarとは、Twitterユーザーがプラットフォーム上で直接「チップ」を現金で受取ることができる機能で、今年初めにサービスが開始されたものである。
Chipper Cashは、FTXによるアフリカ大陸で初の投資先となる。
この動きは、FTXがChipper Cashの過去3年間の成長と、暗号資産分野への関心に一定の評価を示したことが窺える。
Chipper Cashは、世界中400万人以上のユーザーを誇る。
今回の投資により、FTXはChipper Cashと提携し、メール送信のように、手軽に送金できるようになり、アフリカ大陸を超えた地域まで暗号資産の導入を加速させることになる。
「近年のアフリカの経済成長にもかかわらず、アフリカ大陸での送金手続きにはまだ時間がかかり、かつ割高です。当然のことながら、暗号資産は草の根的に受け入れられ、その意味でもアフリカは最も成長の早い市場なのです。」とFTXのCEOであるBankman-Fried氏はTechCrunchに語った。
このパートナーシップ提携の結果、Chipper CashはFTXの製品に統合される。FTXはアフリカでのサービス規模を拡大し、アフリカのユーザーはChipper Cashを通じて暗号ウォレットに資金を供給できるようになる。
「当社とFTXがそれぞれの強みを共に拡大していくことは、両社にとって魅力的なユースケースとなるでしょう。FTXは暗号資産の分野で最も革新的な仕事をしているので、彼らと一緒に仕事をすることが楽しみでなりません。」と、Serunjogi氏は期待を寄せる。
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