アフリカ全土の小規模農家に農業保険を提供するケニアのインシュアテックスタートアップ、Pulaは、このほど、600万ドルのシリーズAラウンドをクローズした。自らを 「保険とデジタルソリューションのリスク管理に役立つエコシステムの中心的存在」と称するPulaは、2015年にRose GoslingaとThomas Njeruによって設立された。

小規模農家におけるテクノロジー浸透率が依然として低いアフリカでは、農家は気候変動、害虫種、作物病などの脅威に直面している。それにもかかわらず、なんの保障もなく、不安定な財政状況にさらされながら、これらのリスクを管理しているのだ。

アフリカでは保険への関心が薄く、2017年の大陸全体の保険の普及率は2.8%と推定されており、その中でも農業分野の保険普及率はさらに低い。そのため、好調な時期に万一に備えるよう保険に勧誘しても、加入に至るまで説得することが難しい状況である。

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The Pula way

Pulaには、干ばつ、日照り、集中豪雨など、農家が被る損失を補填する3タイプの保険商品がある。そのうちの1つ、天候インデックス保険は、農家が保険料を支払いした時点で保険に加入することができ、名前、電話番号、その他詳細は、のちに損失が生じて保険金を請求する際に利用できるようデジタル化され、Pulaのシステムに記録される。

従来の保険ではリスク査定のための農場訪問が必須であったが、Pulaはテクノロジーとデータを駆使した衛星画像を利用して、干ばつや豪雨の発生率を予測する。

Pulaの興味深い特徴は、農家に直接保険を販売しない点だ。その代わりに、銀行や種子販売会社と提携し、銀行が農家へ融資をする際に保険への加入を義務付けたり、種子を販売する際に種子会社が保険を包括したりして販売する。 この方法で、現在までにルワンダとケニアで18万5千人の保険加入者を獲得した。その加入者たちは「平均で半エーカー所有に対して2ユーロのプレミアムを支払った」と同社の創業者の一人であるRose GoslingaはTEDトークで語った。それこそがマイクロインシュアランスなのだ。これはスタートアップにとって魅力的なソリューションであり、投資家を惹きつけるに足る興味深いエピソードなのである。

このラウンドの参加者は?

2018年、PulaはRocher Participationsから受けた100万ドルのシード投資を終了した。Accion Venture LabOmidyar Networkの他にエンジェル投資家もそのラウンドに参加した。シリーズAラウンドではTLcom Capitalが主導し、Women’s World Bankingの参加も得られた。 新たに調達した資金は、同社が現在13カ国で展開している事業規模を拡大することに役立てられ、アジアやラテンアメリカへの進出も視野に入れている。

uLessonAeroboticsが合わせて2,440万ドルを調達し、Gro Intelligenceも8,500万ドルのシリーズBラウンドを終了したことからも、アフリカ大陸における投資活動が活況を呈す時代の到来を告げたものとみられる。