BNPL(Buy-now-pay-later)とは、オンラインショッピングの際、無料、またはわずかな手数料で分割払いできる短期消費者金融サービスであり、今や世界のEコマース業界を席巻している。Afterpay、Klarna、Affirm、Zipなどの企業がこの動きの先駆けとなり、Apple、Square、PayPal、Visaなどの決済大手企業もBNPLに参入しようとしている。
信用取引が敬遠されがちなアフリカでは、BNPLのサービス展開は、その勢いがつき始めたばかりだ。アフリカの人々は、とんでもない高金利でローンを組んでいるので、無金利の店頭融資オプション、あるいは低金利であっても、BNPLが容易に受け入れられるであろうことは察しがつく。昨年9月、オーストラリアのZipが南アフリカのBNPL業者であるPayflexを買収したが、これはアフリカにBNPLサービスの機運が高まりつつあることを示唆している。
ネオバンク、決済サービスプロバイダー、従来型の銀行を含む多くの金融機関が、アフリカでBNPLサービスをすでに開始、または展開しようとしている。ナイジェリアを拠点とするマルチマーチャント・リワード・プラットフォームを提供するThankUCashは、今週、シード資金として530万ドルを調達したことを公表した。この資金の一部は、同社の一連のサービスに、BNPLインフラを追加するために充てられる予定である。購入時のキャッシュバックや加盟店からのオファーもそのサービスに含まれることになる。
多くの人が融資を受けていますが、それに伴う大きな問題は、本来の目的ではないことに借りたお金が費やされてしまうことでした。
そこで思いついた選択肢が、加盟店を集めて、直接決済サービスを可能にするインフラを構築する(BNPL)か、そのための電子マネーを自分たちで発行するか、という二択でした。
共同創業者兼CEOのSimeon Ononobi氏
消費者ローンを提供する会社がすでに存在していることを考慮し、ThankUCashはインフラ側で勝負することにした。「すでに展開している加盟店ネットワークがあるので、今後もこのネットワークを利用して加盟店を増やすべきではと考えたのです。」とCEOは述べた。
ThankUCashは、スーパーアプリで商品やサービスの代金を直接支払いできるよう加盟店と金融機関をつなぐ技術インフラを提供する予定だ。Ononobi.氏によると、同社は「数週間以内に」ベータ版を開始する予定だという。
ナイジェリアでは、既存のBNPLサービスの大半は、資産金融機関や、場合によっては加盟店自身がマニュアルで対応している。ThankUCashのプラットフォームは、ユーザーと加盟店のためにこのプロセスを自動化する。新興産業を支えるインフラを構築するというミッションに沿って、Ononobi.氏は現在、この分野のプレーヤーに一通りアプローチしていることを明かした。
ThankUCashの決済端末が設置された店舗から顧客がローンを申し込むと、生成されたコードが通知され、それをPOSマシンに入力して、加盟店に直接入金されるという仕組みです。このコードは、指定した店舗で、設定された融資額にのみ使用することができます。つまり、顧客は販売店から直接購入することになるのです。
Ononobi.氏
特にナイジェリアでは、高いインフレ率(現在15%以上)と購買力の低下により、高額商品を一括購入することが困難になってきている。だから、BNPLを導入することは、販売店にとって、売上を伸ばし、新規顧客の獲得につながることを意味する。
ThankUCashはすでにナイジェリアのフィンテック企業であるInterswitchとパートナーシップ契約を結び、彼らの加盟店をすべて取り込むことでネットワーク強化を図る。また、他にも7つの国営および多国籍銀行とも提携できるか協議中だ。「このインフラを誰にでも開放し、実際、そのプラットフォームを金融機関に提供することを構想しています。」とCEOは語った。
ThankUCashの親会社であるConnected Analyticsは、2018年にOnonobi, Suraj Supekar氏(最高技術責任者)、Madonna Ononobi氏(COO)、Harshal Gandole氏(エンジニアリング担当上級副社長)によって設立された。現在ナイジェリアの3大都市(ラゴス、アブジャ、ポートハルコート)で、約45人の社員を抱え運営されている。
同社は、2年間で60万人を上回るユーザーと1,000軒以上の店舗を獲得し、その取引額は8,000万ドルを超えると伝えている。今回の資金調達の一部は、ナイジェリア国内の他都市への事業拡大、ガーナとケニアへの進出、新たな送金商品の追加に充てられる予定だ。Ononobi氏によると、ThankUCashの最終的な狙いは、顧客の購買力を高めながら、中小企業や商店が成功するための持続可能なソリューションを生み出すことであるという。「私たちのビジョンは、加盟店がビジネスを続け、お金を稼いで幸せになってもらうばかりではありません。購入者にも消費することを楽しんでもらいたいのです。キャッシュバック、取引、BNPL、送金など私たちが提供するサービスをいつでも利用すればそれが叶うのですから。」と今後の展望を語った。
