国際的な決済企業Visaが、このたび、ケニアのナイロビに新たなイノベーション・スタジオを開設した。
ケニア中央銀行総裁、Patrick Njoroge博士が開設の正式発表を行った4月6日のオープニングイベントには、サブサハラ・アフリカの大手銀行、金融テクノロジー企業、イノベーション専門家等が顔を揃えた。
サブサハラ・アフリカでサービス提供を開始するこのスタジオは、既に2016年からロンドン、ドバイ、シンガポールなど各都市でVisaが展開するイノベーションセンターのネットワークに加わることになる。世界で6番目に開設されたナイロビのこのスタジオは、アフリカでは初の施設となる。
このスタジオ新設は、イノベーションを追求し、世界中のあらゆる地域における消費者がフィンテック・パートナーにアクセスして商取引決済する機会を創出するという、Visaのコミットメントへの取組みである。
Visaのサブサハラ・アフリカ地域担当上級副社長兼ヘッドであるAida Diarra氏によると、同スタジオは、Visaの通常のカードと共にデジタルカードも発行することで同地域における市場拡大促進につなげるという。
「サブサハラ・アフリカは、ハイテクに精通した人口を抱える急成長中の地域です。この地域でデジタル決済の普及を進めるにあたり、私たちの願いは、消費者やパートナーとの協力関係を深め、アフリカ独自のニーズに対応したソリューションを開発することです。」とDiarra氏は述べている。

テクノロジーを基に築かれたブランドとして、Visaは今日ある電子決済の形にするための主要な技術進歩を牽引してきました。このイノベーション・スタジオは、そのレガシーを引き継ぎ、サブサハラ・アフリカが抱える喫緊の課題に対し、既成概念にとらわれない解決策を生み出すリーダーでありたいと願っています。
Visaはこれまで、ナイジェリアのフィンテック企業、Pagaと共同で、QRコードとNFC技術を導入した新規加盟店受入ソリューションを開発するなど、既存のイノベーションハブを利用してアフリカ市場向けの製品を考案してきた。
昨年は、ケニア最大の通信会社Safaricomと提携し、M-Pesaの2,400万人のユーザーと17万3,000の地元小売拠点が、Visaの6,100万の加盟店、30億枚以上のカードとリンクできるようになった。
アフリカ各地では、地元企業や多国籍企業、そして政府がコラボレーションによる新製品を開発し、国際競争力を維持するための手段として、イノベーションセンターを立ち上げている。Microsoftは先月、ラゴスにアフリカ開発センターの新オフィスを開設し、同社の製品エンジニアリング、エコシステム開発、イノベーションの各チームを受け入れることになった。2021年にはHuaweiもチュニジアにイノベーション・リサーチセンターを建設する意向を表明している。
ケニアでは、CiscoやPhilipsなどの企業も、ナイロビと同じ様なイノベーションスタジオを展開している。ケニア政府は、国内のイノベーションを推し進めるためにテクノロジーシティ「Konza City」を建設中だ。
Visa初となるアフリカイノベーション・スタジオの立ち上げを初めとした一連の動きは、斬新なアイデアの創造、開発、実施を促進し、アフリカの技術エコシステムを後押しするものとなるだろう。