Disrupt Africa の2020年アフリカのテクノロジースタートアップファンドレポートには、11カ国、フィンテック企業99社が外部投資家から資金調達したと報じている。
このリストにはFlutterwaveのようにかなり確立されたスタートアップも含まれているが、大半は新しいベンチャーであり、2020年に事業を開始してからわずか6ヶ月後に資金を受け取っている企業もいる。
これらスタートアップは、最低限の要求事項で設立を許可されている。アフリカで製品を構築し、成長させるには時間がかかり、フィンテックは究極に厳しいチャレンジの1つであるにも関わらずだ。
しかし、2021年には、ユーザーに対する価値提供と共にこれらのスタートアップに対して審査の厳しさが増すことになるだろう。
アフリカのテクノロジーエコシステムが世界中の業界リーダーからこれまで以上に多くの関心を集めている中で、Paystackの画期的なセールスは、アフリカ人が世界のために何かを構築できるという認識を高めた。このPaystackのスクリーニングスタイルは理想的であると言える。
したがって、Paystackのようなポテンシャルを秘めた新たな企業を獲得するには、フィンテック企業の新興クラスをよく見定め、直ぐにユーザーを獲得できるものと、グローバルリーチの可能性を検証する必要がある。 現時点ではアフリカで絶対的に最高の(フィンテック)スタートアップとは言えないものの、彼らの製品とユーザーセグメントの側面は、その目的とアフリカのフィンテックを軌道にのせることへの好奇心をかき立てられる。
コネクター API:Okra, Mono, OnePipe
Fara Jituboh-Ashiruは、2020年にほぼすべてのフィンテックアフリカパネルに参加したことで、Forbesの表紙を飾った。 FaraがCEO兼CTOを務めるナイジェリアのスタートアップOkuraは、個人が銀行口座をレンディングサービスや銀行アプリに接続する手助けをし、口座引き落とし等ビジネスサービスを提供する。
このスタートアップのプラットフォームを利用する何百とある企業リストにはAccessバンク、Interswitch、uLesson等が名を連ねる。敢えて目立たないようにしているスタートアップとしては稀有で印象深い存在でもある。
Monoと OnePipe は、共にバンクコネクションビジネスのスタートアップである。Monoは企業によるデータ取得や支払いのために顧客口座へのアクセスを可能にし、OnePipeは銀行を他の銀行やフィンテックサービスとつなぐことに焦点を当てている。
Okraと同様に、Monoは企業の口座引き落としのための統合も行っている。Monoのユニークなサービスの1つは、顧客から企業が銀行明細を取得できる設定を可能にすることである。 これら 22社とは異なり、OnePipe は厳密にはビジネスソリューションを提供するスタートアップである。その名前が示すように、銀行と金融機関がデータを交換するための統合チャネルを構築したいと考えている。ナイジェリアでオープンバンキングのビジネスケースを創るのは果たして民間組織となるのだろうか?
銀行:Umba, Eversend, Brass
Monzo、Starling、N26、Revolutは、デジタルのみの現代的なソリューションを構築したことで評価されるチャレンジャー銀行の世界的な台頭のさきがけである。アフリカでは、2,3の候補企業がそのレースに参戦している。
Umbaはケニアとナイジェリアで限界に挑もうとしている。これは、無料銀行口座、無料簡易送金、全取引のキャッシュバックという公約を掲げて立ち上げられた。
これは、ナイジェリアの別のデジタルバンクで使われているモデルに似ているが、無料バンキングは持続可能なのだろうか。
ウガンダからは、Eversendが挙げられる。ホルダーがどこでもモバイルマネーや銀行口座にお金を送受信することを可能にするという「マルチ通貨eウォレット」を打ち出している。
昨年7月、Stone Atwine氏最高経営責任者(CEO)は、目標は単なる送金サービスではなく「金融サービスのためのワンストップショップ」を構築することだと述べた。それはセクターを越えて交差する製品の実験を必要とし、Atwine氏はそのチャレンジを享受している。
Eversendとは異なり、Sola Akindoluの Brassはまだデジタルバンクを目指してはいない。このスタートアップは、ナイジェリアのSME(Small and Medium-sized Enterprises)の当座預金プロバイダーであり成長パートナーでもある。口座はナイジェリアの銀行First City Monument Bankの支援を受けており、保証がされている。 Brass にサインアップする企業は、Mastercardのデビットカードを取得し、起業家の業績評価を支援する成長分析ツールを受け取れる。Akindolu氏の言によると、Brassが投げかけるのは、SMEが「自分たちでやりくりし、有効活用する」ことのサポートである。job banksが数年前にやり始めたことと同じように聞こえるが、何が変わったのだろうか。
クレジットインフラストラクチャー:CARMA, Pngme, Indicina
銀行がその役割を放棄するとなると、多くのフィンテックスタートアップが小売融資を扱う金融セクターの一部を引き継ぐことになる。
しかし、それは2020年の真のトレンドとは言えない。CARMA、Pngme、Indicina以前に、ブラジルにまでその存在を拡張したMigoがいたからだ。それでも、この3社には、アフリカの信用インフラビルダーの発展を予見できる何かがある。
ケニアに拠点を置くスタートアップCARMAは、「世界初のクレジットデータ市場」であると臆面もなく主張することで、アフリカの信用局のギャップを埋めるポジションにいる。正式なセクタークレジット浸透率がナイジェリアの成人人口の比率であるとすると2017年時点で5.3%以下であるナイジェリアのレースに参戦している。 PngmeとIndicinaは、クレジットモデリング、ローンオリジネーション、KYC、支払いなど、アフリカのクレジットビジネスへの野望を持っている。これら企業間で火花を散らして競うのはいいことだが、お互いに邪魔な存在になるのではという疑問は残る。
ペイメントと送金:Chipper Cash, OnePay, ZeePay
2020年のアフリカ最大の2つのフィンテック買収には、決済会社も含まれていた。MFS Africa, Beyonic, and Paystackが、アフリカの成熟した支払いエコシステム界への旗振りを担ったことは誇りである。
しかし、依然として残るのはアフリカにおける支払い問題であり、2~3社の企業が市場の断片だけを拾うだけでは、とても解決は望めない。大陸の隅々から湧きおこるソリューションが必要なのだ。
多くのスタートアップが今、その要求に応えようとしている。
Chipper Cashは2018年に立ち上げられ、ピアツーピアモバイル決済サービスを拡張して7カ国に拡大した。Chipperの無料転送というサービスを打ち出しているが、一体どうやって利益をあげるのかと疑問を招いている。
Chipper Checkoutは、それに対する答えのようだ。PayPalのプレイブックに従って、手数料ベースのビジネスに焦点を当てた製品を提供して国境を越えた取引をサポートしたいと考えている。疑問は、これまでそういったビジネスがうまくいったかどうかである。
モロッコでは、オフラインおよびオンラインビジネスのデジタル決済を可能にするために、OnePayが2020年第1四半期に立ち上がった。ガーナのZeePayは、オールインワン金融サービスハブとして設立されている。ガーナのInterswitchまたはMFS Africaは、10Mドル資金調達できれば、南アフリカとルワンダへのビジネス拡大も企てている。 ここまで紹介してきたのは、2021年に注目すべきトップ12のスタートアップであるが、各々今後の動きやレビューを、是非頻繁にチェックしていただきたい。この12社のサービスは、有用性、使いやすさという点でどのような第一印象を与えたのだろうか。