アメリカのスタートアップアクセラレーター、Y Combinator(YC)による2021年冬のプログラムに36社が参加した。その中で、アフリカ発スタートアップのひとつであるナイジェリアのフィンテックスタートアップ、Monoはオープンバンキングと簡略化された金融口座管理に利用できるAPI(Application Programming Interface)を開発している。
Abdulhamid HassanとPrakhar Singhにより2020年8月に設立されたMonoは、立ち上げからわずかひと月後には、Lateral Capital, Rally Cap Ventures, Golden Palm Investment, Ventures Platformから50万ドルの投資を受けて、プレシードラウンドをクローズした。
Paystackでプロダクトマネージャーを務めたHassanは、2019年に同社を去り、データサイエンス企業であるVoyanceに入社した。その後ほどなくして、Hassan とSinghはナイジェリアのデジタル企業に、ある隔たりが生じていることをつきとめた。それは、従来の銀行から顧客データへのアクセスに困難が生じているという実態であった。
そこで思いついたのが、顧客の銀行口座へのアクセス、明細取得、定期的な支払いの口座引落し設定ができるビジネスツールであり、それがMonoを立ち上げるきっかけとなった。
Carbonと Flutterwaveの現ユーザーをリストアップして、ナイジェリアのみならず、ガーナとケニアにまでそのプレゼンス拡大を進める予定である。
YCのかの有名なプログラム、バッチ(*1)に前回参加したナイジェリアのスタートアップ、Paystack、BuyCoins、54Gene、Kobo360等22社以上とMonoは肩を並べることになる。
2020年夏のバッチでは、アフリカからの参加は、株式取引アプリ、ThndrとMarketforceを各々開発したエジプトとケニアの2国に過ぎなかったが、今や、ナイジェリアのスタートアップは、アフリカの約40社におよぶYCポートフォリオの中でも群を抜き、それに次ぐその両国(エジプト、ケニア)でさえナイジェリアには遠く及ばない。
Monoは YCから株式7%の対価として125,000ドルの投資を受け、創業者、投資家、顧客のグローバルネットワークにYCのポートフォリオとして公開される。新型コロナ(COVID-19)パンデミックの影響で、例年とは異なり、冬のバッチはオンライン開催となる予定である。
YCパートナーとのオフィスアワーやシリコンバレーの有力者とのハングアウトなど主な活動も、ビデオ会議の形で行われることになるだろう。
500kドルのプレシードラウンドからアクセラレータプログラムを経た125kドルのラウンドまでの資金調達への道は、YCがアフリカのスタートアップエコシステムを殊の外重要視していることのあらわれであるが、それにしても、Mono設立からYCへたどり着いたスピードの速さには、目覚ましいものがあると言えよう。
3ヶ月に渡るプログラムは、3月23日のバーチャルデモデーで幕を閉じる。その1日がかりのイベントで、Monoはバーチャルルームから投資家へ向けて1分間のピッチを行うことになる。そして、そのビジネスモデルが気に入られれば投資を受けることができるのだ。
アフリカスタートアップへのYCからの早い段階での投資は、依然として貴重な資金源であることは言うまでもないが、Monoの場合、それは世界への扉を開く鍵を握る以上の意味も持つのだ。
YCの支援を受けた企業は現在3,000億ドル以上の評価価値を受けており、そこには AirBnBやDoorDashなどの上場企業からStripeやInstacartなどのスーパーユニコーン企業も名を連ねる。このネットワークへのアクセスは、そのまま世界中の機関投資家やベンチャーキャピタリストから資金を得るためのゲートウェイへとつながる。
MonoのYCとの旅においては、そのプレシード投資家もその恩恵に浴すことになる。
事情通によると、3ヶ月間のプログラム終了後に待ち受けるシードラウンドでは、スタートアップ企業に高い評価を与え、投資家への長期的リターンを増やすことにもつながるということだ。
2021年に注目すべきアフリカのフィンテックスタートアップ12社、そのうちのひとつがMonoである。
(*1) バッチ Batch
YCは毎年1月〜3月と6月〜8月に資金調達を目標としたブートキャンプを行う。その各ブートキャンプを冬のバッチ、夏のバッチと呼ぶ。
