Vietnam Investment Review

日本の投資家は、良好な投資環境を背景に、ベトナム北部ハイズオン省への進出を活発化させている。

Secretary of Hai Duong Party Committee Pham Xuan Thang (second from right) and Japanese Ambassador to Vietnam Yamada Takio (second from left) meet representatives from the Vietnam-Japan Friendship Association and Japan External Trade Organization. Photos: Ta Duan- Thanh Chung

5月30日に外国直接投資の可能性と機会に関する2022年日本ビジネス会議が北部ハイズオン省で開催され、投資家に対し、ハイズオン省の文化が紹介された。そこでは、ライチ祭やチューダウ陶器、ハイズオン省から日本や世界各地に販売されている地元の特産品なども紹介された。

4月上旬、ハイズオン省は在ベトナム日本国大使の山田滝雄氏との会談を行い、同省への投資促進について議論した。会談では、ハイズオン省党委員会のPham Xuan Thang書記が、日本大使館や日本貿易振興機構(JETRO)とともに、ハイズオン省の可能性を投資家や企業にアピールする機会をもつことを提案した。

山田大使は、ハイズオン省が日本企業に対してインフラ、人材、労働コスト、税制優遇措置等、地方としての競争力を示すよう提言した。さらに、大使はハイズオン省が信頼できる安定した長期的なパートナーとしての関係を強化するために、研修プログラムを開催することを希望した。

一方、Thang書記は、「人と人、企業と企業をつなぐ活動を続けていきます。現地でのプロモーションを中心に、さまざまなプロモーション活動に取り組んでいきます。日本企業には、投資プログラム構築のために、積極的にハイズオン省に協力し、潜在的な投資家を紹介する橋渡し役になるようお願いしたいです。」と述べた。

ハイズオン省計画投資局によると、同省には日本からの投資プロジェクトが65件あり、その投資額は14億ドルになる。日本は同省において、外資系プロジェクト数で13%、投資資本が16%と第2位に位置している。

日本の企業や投資家は、製造業、電子部品、機械部品、通信機器、鋳造・成形、自動車用電線など、ハイズオン省のさまざまな分野の工業団地(インダストリアルゾーン)でグリーンフィールド投資(*1)を行っており、各プロジェクトに平均して約2400万ドルを投じている。

これら日本の企業や投資家は、Sumidenso Vietnam Co, Ltd(1億2000万ドル以上)、Brother Vietnam Co, Ltd(2億5300万ドル以上)、UMC Electronics Vietnam(1億ドル以上)、Uniden Co, Ltd. (85百万ドル以上)など、ハイズオン省を生産拠点にするため多額の資金を投資した。

開発許可

ハイズオン省計画投資局のLe Hong Dien,局長は、日本のプロジェクトが効率よくスケジュール通りに実施されていることを強調し、「ほとんどの企業が、環境保護に関する政府の規制に沿って、近代的でクリーンな技術を採用しています。特に、このプロジェクトは給与や福利厚生が充実しているだけでなく、労働者のために健康的な労働環境を提供しています。」と述べた。

現在、日本の企業や投資家は、ハイズオン省で4万人の現地従業員を雇用している。

Sumidenso Vietnam Co, Ltdの栗原社長は、ハイズオン省には日本の投資家にとって大きな可能性があると指摘し、「例えば、ダイアン工業団地は、日本とベトナムのパートナーシップの重点分野でもあるインダストリアルゾーン開発、リゾートサービス、それら派生する裾野産業で、投資家を誘致する有望な場所です。」と語る。

「パンデミックは沈静化しているので、両者は一緒に新しい開発目標を考えなければなりません。日本企業は、ハイズオン省がよりよいプロジェクトを誘致するために、より柔軟なインセンティブを提供することを期待しています。」とも述べた。

ベトナム政府は、ハイズオン省のインダストリアルゾーン開発計画リストを承認し、18のインダストリアルゾーンが含まれ、総面積は3,517haとなる。計画によると、11プロジェクトが操業開始され、インフラ建設が施行されており、詳細計画面積は合計1,732haである。建設中のインフラは1,470haで、インダストリアルゾーンの平均稼働率は83%となっている。

同省は、760haに及ぶ4つの経済特区への投資と340haに及ぶ既存の経済特区の開発を首相に承認さた。このプロジェクトにより、ハイズオン省のインダストリアルゾーンの詳細計画面積は2,567haに拡大した。2022年、同省は新設・拡張されたすべてのインダストリアルゾーンの整地・建設工事を開始した。

さらに、同省はBinh Giang地区とThanh Mien地区でもインダストリアルゾーンの開発を計画しており、合計で9,230haになる。このうち約5,000ヘクタールは、近代的でクリーンな技術を持つ大規模なインダストリアルゾーンの投資家を呼び込むための工業用地の開発に充てられる予定である。また、ハイズオン省は、ハイテクパーク、統合型商業地域、新規産業振興とイノベーションセンターを中心とした工業団地の開発にも力を入れている。

さらに、同省は交通、都市、物流システムの包括的なマスタープランを策定し、地域の産業発展を支援している。

信用の獲得

ハイズオン工業団地管理局のTran Anh Tuan局長は、ハイズオン省は日本からの投資の重要性を強く認識していると述べた。同時に、ハイズオン省はDai An工業団地(第2期)、Tan Truong、Phuc Dien、Kim Thanh、Gia Locの工業団地など、他の工業団地への誘致を計画している。

現在、日本からの投資対象としている電気・電子分野以外にも、高品質なインフラ、エネルギー、それらに派生する裾野産業、物流、技術移転、人材育成など、数多くの潜在的な分野がある。また、農業、消費財生産、それらに派生する裾野産業、貿易、サービス業にも注目が集まっている。

2020年から2021年にかけて、ベトナム内での省競争力指数が47位から13位へと大幅に上昇したことからもわかるように、ハイズオン省は投資環境の強化において、大きな一歩を踏み出し、上位20都市・省にリストアップされている。

(*1)グリーンフィールド投資
外国に投資をする際に、新たに投資先国に法人を設立する形態の投資。

具体的には、外国(特に新興国・途上国等)において、今まで何も建設されていない、まっさらな土地の状態から、生産工場・オフィス建物・通信施設等の「ビジネス投資」や、発電所・水道施設・港湾施設・空港・鉄道等の「社会インフラ投資」などを行うことを指す。

※Green Field:緑の野原や未開発の土地