Vietnam Investment Review

2月15日、日本ベトナム経済フォーラムが開催され、両国のスタートアップ各社がさらなる協力の可能性について議論した。

10年前のASEAN諸国にはスタートアップという存在はわずかしか見られず、スタートアップの拠点と言えば専らシリコンバレーや中国、EUという時代であった。しかしその後状況は一変し、今やこの地域のスタートアップ数は大幅な増加を示している。特にベトナムのスタートアップエコシステムは急速な成長を遂げてきた。2022年、Startup Blink社が発表するGlobal Startup Ecosystem Indexで、ベトナムは前年の59位からさらに順位を上げ、世界54位にランクされた。

2015年に設立したベトナムのスタートアップAbivin社は、今やミャンマーやシンガポール、インドネシア、日本で事業を展開。運輸、電子、建設業界向けに企業統治のためのソフトウェアを提供している。

「日本は世界第3位の経済大国ですから、我々にとって潜在的な市場です。当社のソフトウェアなら、日本においても企業の人材採用活動の円滑化と生産性向上に役立つ筈です。」と、Abivinの創業者兼CEOであるPham Nam Long氏は期待を示す。

同じくベトナムのスタートアップで、メンズスポーツウェアブランドCoolmateを展開するFastech Asiaも2019年の設立以来、年間成長率が2倍から4倍に拡大するなど好調な業績を収めている。2022年の売上高は1,200万ドルに達し、日本のファンドからも出資を受けている。

CoolemateのPham Chi Nhu CEOは次の通りコメントした。「当社はアジア、フィリピン、インドネシアに展開しています。さらなる事業拡大を目指し、2025年にはベトナムやアジア地域で新規株式公開を行う予定です。」

今回の経済フォーラムでは、日本のスタートアップMedringもまたベトナム企業との提携に関心を示した。同社はベトナムの医療機関を支援する医療系SaaSおよびAIを開発するヘルステックのパイオニアだ。

「我々はベトナムのスタートアップとのパートナーシップを希望しています。当社ではより良い製品をベトナム市場に投入するだけでなく、輸出向け製品の生産も行う予定です。インドネシアで質の高いクリニックを立ち上げ、その後ベトナムでも同様の展開を視野に入れています。」と、Medringの創業者兼CEOの安部一真氏は意気込みを見せる。

日本市場から強い関心が寄せられ、日本企業との提携が進む中、両国の間にはいまだ立ちはだかる障壁もある。中でも最も深刻なのが、言葉の問題だ。「ベトナムと日本のスタートアップは早急に言語の問題になんらかの手を打つ必要があり、現地住民に適した製品とマーケティング戦略を開発するべきです。」とAbvinのLong CEOは提言した。