Vietnam Investment Review

ベトナムに進出した日系企業のうち、2021年度に黒字を計上したその割合は、前年度比4.7ポイント増の54.3%に達する見込みだ。

日本貿易振興機構(JETRO)は、アジア太平洋地域、およそ20地域に進出する日系企業4,600社(うち在ベトナム企業は700社)を対象に行った調査結果をこのほど発表した。

その調査結果によると、ベトナム進出日系企業の54.3%が2021年に黒字を計上する見込みで、前年度と比べ4.7ポイント上昇した。一方、赤字を出した企業の割合は28.6%、2020年度比1.5ポイントの減少を示したことになる。

在ベトナム日系企業の業績は、2021年に比べてわずかに回復を見せてはいるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、他の地域諸国から遅れをとっているというのが実情だ。特に、ベトナム中・南部にある日系企業の4割以上が工場の閉鎖を余儀なくされ、収益を悪化させている。

JETRO・ハノイ事務所長の中島丈雄氏は、長期化するソーシャルディスタンス等の対策が企業にとって致命的な障害となり得る、と懸念しつつも次の見解を示した。今後1〜2年の間にベトナムで事業拡大を目論む日系企業は55%以上(ASEAN諸国中、最も高い割合)に上り、現状維持42.5%、縮小・閉鎖はわずか1.9%であるという。

その市場規模と発展途上国としてのポテンシャルの高さから、海外展開を視野に入れる日系企業の進出先として、常に上位にランクされるベトナム。さらに、他の諸国と比べ、ベトナムの安定した政治や社会、労働力の質の高さには際立ったものがあると、中島氏は評価する。

日本の長期的な投資フローについて、中島氏は肯定的に捉えている。なぜなら、11月にベトナムのファム・ミン・チン首相が来日した際、日本とベトナム企業間で合意された多くは、金額に換算して数十億ドル規模に上るとの確信があるからだ。これは、日本がベトナムで新たな投資プロジェクトに着手する際の重要な前提条件になる筈である。

また、政府のサプライチェーン多様化支援企業としてリストアップされた日系企業39社が、ベトナムへの製造ラインの移転や設備準備を進めていることも、中島氏は明らかにした。ベトナムにおける、進出企業に対する有利で透明性の高い法整備や行政の仕組み作りなどを、日系企業はここ数年高く評価してきた。しかし、JETROによると、2020~21年にかけて、その評価も急激に低下しており、厳しいコロナ対策がそこに影を落としているということである。