【ジャカルタ】-インドネシアのルフット・ビンサル・パンジャイタン海洋・投資担当調整大臣は5月30日、電池供給網関連プロジェクトにおいて、2026年までの投資金額が319億米ドルにのぼる見通しを明らかにした。
インドネシアは電気自動車(EV)用バッテリーの原料となるニッケルの資源が豊富であり、政府はニッケルの川下分野への投資を拡大することで経済成長を後押ししたい考えだ。
さらに電池供給網関連プロジェクトへの投資予想額を地域別にみると、カリマンタン地域で123.5億ドル(約17億2050万円)、北マルクは97.8億ドル(約13億6250万円)、スラウェシが98.4億ドル(約13億7090万円)にのぼる可能性があるという。
温室効果ガス排出量を懸念する投資家に配慮し、インドネシア政府はボルネオ島に位置する北カリマンタン工業団地を「グリーン」と銘打ち、水力発電による運用を計画している。同団地では複数の企業によるアルミニウム生産が予定されている。
パンジャイタン大臣は、北カリマンタン工業団地におけるバッテリー生産総容量265GW(ギガワット)の可能性について言及した。さらには石油化学や鉄鋼、アルミナ、シリコン産業などの企業受け入れもあると述べた。
石炭の供給量および使用量が多いことでも知られるインドネシアでは排出量削減に取り組むとともに、環境・社会・ガバナンス(ESG)の基準強化をすすめていくという。同大臣は、ESGに準拠しない工場は閉鎖も辞さない構えを示した。さらに、ニッケル酸化鉱からニッケルやコバルトを回収する「高圧硫酸浸出法(HPAL)」で発生した廃棄物を海に放出する「深海テーリング」を認めないと主張。廃棄物を有用な原材料に変えることを企業に奨励していくことを提唱した。