2022年最初の4ヶ月において、2年以上低迷期を経て、ホテル・飲食業などのおもてなし産業の明確な回復が見られた。ホーチミン、フーコック、ニャチャン、ダナン、ハノイなどの観光地は、回復の恩恵を享受している。
3月に国境が開放され、ベトナムでのパンデミックに対する政策が大きく変化したことにより、ホテル・飲食業などのおもてなし産業は2022年後半に回復する可能性が高い。
インドシナキャピタルの上級副社長、Nguyen Ha氏は、「パンデミックが2年以上経過した後、ワクチン接種を受けた外国人観光客は何の問題もなくベトナムに戻ることができました。完全な回復は2023年まで難しいですが、この1ヶ月の動向はベトナムの観光産業にとって回復を期待させるものです。」と述べている。
4月上旬の大型連休には、空港や観光地は混雑し、航空会社は需要に対応するために増便を余儀なくされたほどである。
「夏から秋にかけて旅行需要がどのように推移するかが、真の試金石となります。企業も旅行予算を増やし始めており、国内のビジネス旅行もパンデミック前の水準に戻り始めるはずで、シティホテルにとっては明るい兆しです。」とHa氏は付け加えた。
3月は、手続き上の不安やCOVID-19の感染者急増の影響で海外旅行が伸び悩んだが、最近のデータでは、日本や韓国からの旅行者が多く訪れるようになっている。
不動産デベロッパーやホテル・飲食業などのおもてなし産業運営会社は、アジア諸国からの旅行者をターゲットにしたマーケティングに力を入れるべきであると、Ha氏は言う。
「ホスピタリティを重視するデベロッパーにとって、今年は待ちに待った年です。インドシナ鹿島は、2022年末にダナンに初のWink Hotelをオープンし、その数カ月後に別のホテルをオープンすることを計画しています。」とHa氏は説明する。「トンネルの先に光が見えていることは確かであり、旅行業界関係者にとっては喜ばしいことです」。
新たなゲストの歓迎
一方、IHGのブランドであるリージェント・ホテルズ&リゾーツは、4月19日、フーコック島にホテルを正式オープンした。先月行われたリージェント・フーコックのオープニングセレモニーで、IHGの東南アジア・韓国担当マネージングディレクターであるRajit Sukumaran氏は、ベトナムで実質的かつ持続的な成長を目指すグループにとって非常にエキサイティングな時期だとコメントした。
Sukumaran氏は、「私たちのホテルに滞在したいと思うより多くのゲストと、私たちと提携したいと思う不動産オーナーへのコミットメントを示すため、今後3-5年の間にベトナムでの物件を倍増させるつもりです。」と述べる。
Sukumaran氏によると、IHGは最適なブランドを適切な場所に提供し、旅行者が求めるホテルやリゾートを作り、都市や地域、コミュニティに経済成長をもたらすことに注力していくとのことである。
「ベトナムの観光業は必ずや復活し、力強く観光客が戻ってくると確信しています。世界のホテル業界の市場データを提供するSTRによると、2月の同国の客室稼働率は前年比47%増となり、非常に大きな転換期を迎えています。」と述べる。
ホーチミンやハノイなどでは海外出張客が多く戻ってきており、旅行ニーズの高まりが背景にある。
Sukumaran氏によると、宿泊客はパンデミック前よりも長期滞在し、スイートやレジデンスなど広い部屋を予約しており、滞在を最大限に楽しもうとしているという。
強固な基盤
DKRAベトナムのVo Hong Thang副所長は、2022年の第1四半期のリゾート不動産部門は、リゾートヴィラ、リゾートタウンハウス、ショップハウスなどのセグメントで、供給と消費の増加で活況を呈していると述べた。
2022年には、ダナン、ニャチャン、フーコックといった観光ブランドのある既存市場で観光客需要が回復し、強い復活の動きが見られると予想されている。
Thang氏は、2022年以降に観光不動産の合法投資と土地に関する法律の改正と補足を完了することが、リゾートとホテル、飲食業分野に明るい見通しをもたらすと付け加えた。
今年、建設省は利用者、所有者の法的利益を保護するために、コンドテル(*1)、オフィステル(*2)、およびショップハウスタイプの法的枠組みを制定する予定である。「これは、ベトナムにおける新しいタイプの観光施設の開発を加速させるための確固たる基盤の一つです。」とThang氏は述べた。
観光に関する前向きなシグナルとともに、継続的に整備されていた法制定の完了や、需要喚起と経済回復のため152億ドルの経済振興支援策など、多くの要因が今年のホテル・飲食分野と不動産市場全般に新たな機会をもたらしている。
Batdongsan.com.vnの南部地域のディレクターであるDinh Minh Tuan氏は、リゾート不動産が重要なセグメントになるだろうと述べた。
「都心の従来市場とともに、今後のリゾート・ホテル、飲食分野の不動産投資トレンドは、Quy Nhon、Ba Ria-Vung Tau、Phan Thietなど、大きな土地、資金、改善されたインフラシステムなど、より多くのインセンティブを持つ新しい市場に移行しつつあります。」とTuan氏は述べる。
コンドテル(*1) コンドミニアム+ホテルを一緒にした造語で、コンドミニアムとして購入したのちにホテル運営会社に部屋を貸して賃貸収入を得る投資
オフィステル(*2)住居とオフィスの機能を兼ね備えた新しいタイプの物件形態。ベトナムでは、居住の目的で建設されたスペースで事業を行うこと、具体的には会社設立登記をすることができないことになっており、無許可で事業を行っていた場合、業務停止に追い込まれることもあり、そのようなリスクを避けることができる。