世界的なスタートアップエコシステム調査機関StartupBlinkによる「Global Startup Ecosystem Index」最新版で、ベトナムは前回より5位アップの世界第54位にランクインした。
東南アジア地域別では、ベトナムは6位から5位に上昇してフィリピンを上回り、この好調な勢いがこのまま続けば来年には4位のタイを追い抜く見通しである。
都市別にベトナムで唯一ランクインした2都市間では、今年に入ってからその格差が拡大している。国内1位のホーチミンは68ランクアップして111位まで上昇し、世界のトップ100に近づきつつある。昨年から勢いを示すこの急成長はホーチミンの活況の兆しと見てとれる。
一方、国内2位のハノイは31ランクダウンして222位と落ち込み、世界トップ200からも脱落した。「ハノイとホーチミンがイノベーション拠点となったことは同国のエコシステムにとって大きな収穫だが、今後、さらに多くの都市がこれに続くことが期待される。人口約1億人のベトナムで、ランクインが2つのエコシステムだけではまだ十分とは言えない。」と同報告書は伝えている。
ベトナムのスタートアップエコシステムは大きな可能性を秘めている。その主な理由としては、同国にはかなりの規模の経済市場があるということが挙げられる。たとえローカルスタートアップが国際的に成長しなくても、国内で十分に利益を生むことができからだ。
ローカルエコシステムの成長にさらに寄与する、ホーチミンの相当数の駐在員やデジタルノマドの存在も大きいと言える。
しかし、ベトナムが真のハブとなるためには、地域的・世界的に影響を与えるイノベーションを生み出さなければならない。
政府は、外国人投資家や外国企業誘致のため、税制優遇措置を講じている。2016年には、スタートアップエコシステムを更に加速させるため、2025年までの国内スタートアップエコシステムへの取組みを承認した。
一般的に「国家プログラム844」として知られるこのプログラムの開始以来、新規スタートアップ数とその収益双方が手堅い伸びを示している。2018年、政府は技術移転、投資、トレーニング、ベンチャーキャピタルファンドへのインセンティブなどを通じてスタートアップを支援する「中小企業支援法」を承認した。
StartupBlinkによると、ベトナムのスタートアップが投資家を惹きつける成長産業には、eコマース、フィンテック、フードテック、エンタープライズソリューション、ITサービスなどがあるという。MoMoやSky Mavisのようなユニコーンを擁するベトナムは、東南アジアのスタートアップ大国としてその姿を浮き彫りにさせつつある。