スマートマニュファクチャリングが今や避けては通れないトレンドとなりつつある中、Ericssonは様々なステークホルダーと提携し、ベトナムメーカーによるスマートファクトリー実現の支援に乗り出した。
産業革命の渦中にあるベトナムの製造業界では、メーカーが相次いで自動化に向けて増資する傾向にある。目立ったところではTH Group、Vinamilk、Tan Hiep Phat、VinFastなどがその例としてあげられるだろう。5GやIoT(Internet of Things)が生産性をさらに向上させ、社会経済の発展と成長という次の波でうまく舵を切り、持続的に推進することを目指していく。
製造業界は、超低遅延、高帯域、高信頼性の通信を実現する5Gの可能性に賭けている。最高速かつ信頼性の高い接続を実現する5Gは、工場の生産能力を高め、製造工程の敏捷性を向上させ、有線依存から脱却した革新的な数多のユースケースを提供する。5G対応の施設には、至る所に設置されたセンサーが生産プロセスを監視し、データを収集する。そのデータは機械・生産管理者にフィードバックされることで、メリットにつながる。これにより、作業スピードの大幅アップ、メンテナンス能力の改善、安全性の向上が期待できることになるのだ。
専門家によると、スマートマニュファクチャリングは世界的に見ても必然の流れであるという。2022年に5Gの商用化が予定されているベトナムも、決して例外ではない。効率性をより高め、競争力を維持するために、工場や倉庫の業務は、IoTとデジタル化を活用する必要に迫られている。
最新のEricsson Industry Lab Future of Enterprisesレポートによると、メーカー企業の大半は10年以内に少なくとも80%が自動化され、ICT対応ツールの利用は今後5年以内に控えめに見ても2倍に増えると予想されている。ICT対応ツールには、AIソフトウェア、ビデオ認識、ARとVR、自動誘導車、エクソスケルトン(作業アシストデバイス)などがある。
メーカー各社は、長い目で見れば、あらゆる要素作業を自動化することが可能になり、経済的にも実行可能になると踏んでいる。4分の3の意思決定者は、自動化により生産速度が向上したことを認めており、68%がコスト削減につながった、あるいはつながると評し、71%が事故や破損によるケガのリスクを伴う危険な作業が減少したと評価する。
これまで産業界では、多岐に渡りプロセスを自動化してきたが、安全なワイヤレス接続はファクトリーオートメーションを強化し、ひいてはより大規模な産業オートメーションを実現していくことになる。そのデジタル基盤を構築することで、生産性とパフォーマンス向上を可能にするのだ。エストニアにあるEricssonの工場では、ARトラブルシューティングを用いて、平均故障検出時間の短縮と人間工学の改善、迅速な情報共有を組み合わせることにより、生産性が最大50%向上することを実証したという例がある。
Ericssonは、5Gのテクノロジーリーダーとして、ベトナムをはじめとするスマートファクトリー開発を積極的に支援している。業界の枠を超えたプレイヤーを含む戦略的な5Gエコシステムパートナーシップを構築し、魅力的なデジタル変革と新たな収益源を提供するモバイルサービスプロバイダと連携させることで、市場を牽引する必要性を同社は認識している。
Ericssonのセルラーテクノロジーは、効率性を大きく高めるARや自律型モバイルロボットのように、より柔軟で高度な運用でアジリティを実現する。そして、それはデータ分析および解析結果を情報化することで、インテリジェンスの提供につながる。
一例をあげると、製造工場の新たな波のひとつであるEricsson USの5Gスマートファクトリーがある。そのポテンシャルは、2023年までに年間1兆5,000億~2兆2,000億ドルが世界的な経済効果に加算されると目されている。
ベトナムにおいてEricssonは、他のスウェーデン企業や携帯電話会社の顧客と提携し、さまざまなスマートイニシアチブへの投資を計画している。世界の製造業の3分の2以上が2025年までにアジア太平洋地域に移転するとの予想で、そのビジネスチャンスへの意気込みはさらに強まる傾向にある。中でもベトナムは明らかにそのうちのかなりな獲得数を占めるとみられている。Ericssonは、ベトナムがグローバルにも、地域的にもスマートマニュファクチャリングハブとなるよう後押ししていく。
Ericssonは、将来の5G機能および広範なIoTエコシステムに備えて、ベトナムのモバイルネットワーク事業者と協力して、4G IoT機能をベトナム全土に拡大している。
私たちは、MobiFone、Vinaphone、Viettelと提携し、ハノイとホーチミンの特定の地域において、ベトナムの皆さんに5G体験を提供できることを誇りに思っています。Ericssonは、サービスプロバイダーが4Gから5Gへシームレスかつ効率的に移行できるような体制を整えています。
ベトナムのIT業界における当社の戦略的パートナーシップは、製造、農業、輸送、エネルギーなどの産業のDX化を目指すインダストリー4.0への取組み推進のためなのです。
Denis Brunetti氏、Ericssonのベトナム・ミャンマー担当社長
デジタル経済、産業のデジタル化、スマートシティ開発、ハイテク外国投資、労働生産性上昇率、サイバーセキュリティの波及効果の促進に着目して、ベトナムはインダストリー4.0国家戦略を推し進めていく。
5Gモバイルネットワークは、このビジョン達成に極めて重要な役割を果たし、国全体でのインダストリー4.0への取組み加速を促す後ろ盾となる。ベトナムは、まず主要都市部と高成長産業地帯に5Gを導入し、最終的には製造、輸送、エネルギー、ヘルスケア、農業などの主要産業にまでデジタル変革の恩恵をもたらすことを目指すという正しいアプローチを取っている。
ベトナムの外資系企業(FIE)にとって、加工・製造業は今や最も魅力的な分野となっている。ベトナム計画投資省の統計によると、ベトナムは5月20日までの1年間で117億1,000万ドル相当の外国直接投資を誘致しており、これは前年同期比の83.7%に相当するということだ。
18セクターのうち、外資系企業が最も多く投資したのは加工・製造業でその額は68億ドルに上り、同国の総外資投資額の58.2%を占めた。