メコンデルタ地域のハウザン省(Hau Giang)は、より多くの投資家を呼び込むために、投資環境の改善に力を入れている。ハウザン省人民委員会のDong Van Thanh委員長は、同省がメコンデルタ地域における投資先有望地と見られている理由について、ベトナム・インベストメント・レビューのインタビューに答えた。
政府はメコンデルタ地域の開発について、幅広い方針と政策を打ち出している。ハウザン省の優位性はどういった点にあるのか?
メコンデルタ地域は政府から大きな注目を集めている。政治局は、2030年までの地域の社会経済発展・防衛と安全保障の確保、及び2045年に向けた展望に関する決議第13号NQ/TWを2022年4月2日に採択した。
グローバルに見ると、各国のサプライチェーンをベトナムに移転する動きが活発化している。国内では、多くのサプライチェーンチェーンが南部の開発拠点からメコンデルタ地域に移転している。
グローバル企業や地元企業による多くのサプライチェーン移転と拡大する投資意欲をきっかけに、ハウザン省を含むメコンデルタ地域は、飛躍のための大きなチャンスと環境に湧いている。
メコンデルタ地域の中心に位置するハウザン省は、Kien Giang、Ca Mau、Bac Lieu、Soc TrangなどSoc Trang南部の地方と、メコンデルタ地域や国内の他の地域との橋渡しをしている。
ハウザン省は地域間を繋ぐ高速道路だけではなく、3つの高速道路(Can Tho-Ca Mau、Chau Doc-Can Tho-Soc Trang、Ha Tien-Rach Gia-Bac Lieu)の合流点でもある。
これらの高速道路が完成することで、ハウザン省とCan Tho国際空港、首相が計画を承認したTran De Deepwater港、及びその他の地方を結ぶことができるようになる。それにより、特に工業、都市、貿易サービスの分野で地域の経済発展を後押しする多くの機会が生まれることになるだろう。
道路、水路、空路による輸送接続がスムーズであることはハウザン省の強みとなる。複数の輸送網の発展が、物流コストの低減と供給リソースの最適化を実現し、その結果として地域の主要な物流センターへと発展するであろう。
今後、省内の多くの地区や町は、市場・生産地域・物流センターへのアクセスという点で最適な開発地域となり、農業や食品加工における製造工場の開設地、また地域全体をカバーする物流センターとして理想的な場所となるだろう。
こうしたことから、ハウザン省は重要な拠点となりつつある。今こそ、投資家にとっては、この地域、特にハウザン省での事業を進めるのに最適な時であるといえるだろう。
省の投資誘致戦略に照らし合わせて、どんな分野に優先的に資金を投入し、開発するのか?
昨年11月より、社会経済の発展・地方予算の補填・人々の生活向上のために、工業・農業・都市・観光を戦略的開発4分野として位置付けている。そのため、同省では、この4つの分野への投資誘致に特に力を入れている。
具体的には、近代産業の育成、先端技術や環境に優しい技術の導入、雇用の創出、予算財源の確保、地域資源にあった加工産業の育成、地域の自然条件に合わせた持続可能な農業の再構築、グリーンでスマートな都市システムの開発、質の高い観光業の発展、省が投資開発に有利な製品を選択することが課題とされている。
その方針に基づき、ハウザン省はハイテク分野や地方財政に大きく貢献するプロジェクトへの投資誘致を目指している。また、波及効果のあるプロジェクトやビジネス、地元の資材やサービス業者を活用するもの、地元の労働者に安定した雇用をもたらすもの、利用土地面積が小さく環境への影響が少ないものを優先的に選んでいる。
活用できる土地が少ないことが、この地域への投資誘致における大きな障害の一つとなっている。省はこの障害にどのように対処してきたか?
2004年にハウザン省が設立された後、社会経済発展の可能性を秘めた好立地に、地元の工業地帯 (IZ) と産業クラスター (IC) の建設計画を実行してきた。
現在、Song HauとTan Phu Thanhの2つの工業地帯の稼働率は80%に達している。この10年間で、同省は合計1,700haを超える8つ工業地帯の計画策定と、5つの新しい産業クラスターの設置を計画してきた。600ha以上の工業地帯のインフラ整備投資に三社が登録しており、これらのプロジェクトは2025年までに実施される予定である。豊富な投資家ニーズに応えるため、土地基金は巨大なものとなっている。
最近の投資家や企業との会合で、省のトップは、具体的な行動を通じてビジネス環境を育成するというメッセージを伝えてきた。そのメッセージは、これまでにどのように実現されてきたか?
投資家や企業に最高のサービスを提供するため、ハウザン省は2つの「迅速な」要素と3つの「良い」要素からなる行動スローガンを掲げている。すなわち、用地整備と投資手続きを迅速に行い、良い機会・良い政策・良いインフラを提供することである。
投資手続きにかかる時間を短縮するために、ハウザン省人民委員会は投資促進運営委員会の設置に関する決定、第326号/QD-UBNDを2月に制定した。ハウザン省書記が委員会の長を務め、委員は各地方機関のトップが就任する。
同委員会は、投資決定手続きに要する時間を50%以下に大幅に短縮でき、投資家や企業の利益に資する大きな転換点となると評価されている。
また、ハウザン省は、行政手続きの迅速化、人々や企業向けのサービス品質向上のためにITアプリケーションを強化し、分野や部門を超えた電子政府およびデジタル変革モデルを効率的に展開している。加えて、同省はトップリーダーを集めた用地整備の運営委員会を設置している。同委員会は、用地整備の障害に迅速に対処し、プロジェクトの実施を押し進めることを最重要目標としている。
*ハウザン省は他省の後塵を拝しており、開発を加速させる取り組みを迫られている。2021年から2025年にかけては、地域経済を拡大し、国の平均を上回る成長を目指すことを最重要目標に掲げている。その後の10年間で、ハウザン省は地域のGDP成長率を8-10%にすることを目指し、州の財政に5億6500万ドル以上寄与することを目標としている。