Vietnam Investment Review

12月19日、「ベトナムベンチャーサミット2022(Vietnam Venture Summit2022)」が開催され、政策立案者や投資ファンド、スタートアップ、専門家が一堂に会し、ベトナム国内外における投資動向について議論を交わした。

計画投資省、国家イノベーションセンター(NIC)、ゴールデンゲート・ベンチャーズが主催した同サミットには政府首脳をはじめ、国や地方機関、国際機関の代表者、アジア地域および国際的な投資ファンドが出席した。

また、各国の研究機関やインキュベーター、イノベーション支援エコシステム、専門家や有識者など、関係各所の代表者があまねく顔をそろえた。

ベトナムベンチャーサミットは2019年の初開催以来、「起業家精神とイノベーションの促進」というモットーを掲げ、東南アジアのスタートアップエコシステムとベンチャーキャピタルのグローバルコミュニティをつなぐことを目指している。

グエン・チ・ズン計画投資大臣のスピーチで幕を開けたサミット2022のテーマは、「Shifting Global Capital Flows(世界経済の流れをシフトする)」。大臣はスピーチの中で、今年はマネーだけでなく、知識や技術、創造的イノベーションを含む「グローバルな資本」が大きく変化したことに触れ、今回のサミットがそれを反映するものであること、そしてそれがこのテーマを選んだ理由だと述べた。

さらに同大臣は、イノベーションの過程で生み出された製品やサービスの知識や技術こそが、金融投資の価値の尺度であることを強調。サミットにおいては東南アジア地域や世界の流れの中で真にイノベーティブなスタートアップの動向や機会を特定できるよう、バリューフロー(価値の流れ)をより深く、包括的に検討することを提言した。

NICの調査によると、2021年、ベトナム国内のスタートアップは165件の取引を通じて14億ドルの資金調達に成功。取引件数、金額ともに2019年の126件、8億9,400万ドルを大幅に上回っている。この勢いは2023年まで続くと予想され、GDP成長率は6.7%に達する見込みだ。Golden Gate Venturesの創業者兼マネージングパートナーであるヴィニー・ローリア氏も登壇し、次のように語った。

過去10年間、ベトナムの平均成長率は約7%にのぼっており、その大きな要因がテクノロジーとイノベーション部門の拡大です。実際、ベトナムのハイテク産業は年率20%で成長しており、世界でもトップクラスです。

さらにこう言葉を継いだ。

この国にはテクノロジーに精通した若者がたくさんいます。彼らは学ぶこと、革新することに意欲的なのです。そして、ビジネス構築に対してもそうである点が最も意義深いことなのです。

先日、国際通貨基金(IMF)が発表した予測「ベトナムとインドネシアがASEANの成長を牽引する」にローリア氏は言及したうえで、今後数年間はこうした市場が世界の成長を牽引する原動力になると示唆した。

「比類なき成長を遂げる国、高度な技術と教育を受けた人々、起業家精神を育むコミュニティ、国際経験豊かな資本の蓄積、これらすべての要素を組み合わせることで成功の方程式が完成します。」とローリア氏は自信をのぞかせる。

ベトナムベンチャーサミット2022はベンチャーキャピタルによる多角的な視点を踏まえた、ベトナムや東南アジアでのスタートアップエコシステムの情報発信を支援している。ベンチャーキャピタルと企業が関係構築するよう、専門家も交えて投資についてオープンに情報を共有する機会でもある。さらに政府に対してベンチャーキャピタルの開放、有益かつ透明性の高い投資環境の構築、持続可能性に向けたスタートアップへの投資活動の推進など、率直な提言も行われた。

イベントでは、第一線で活躍する講師陣による基調講演やパネルディスカッションのほか、スタートアップ向けに国内外のベンチャーキャピタルとのネットワーク拡大を支援する場も設けられた。