Vietnam Investment Review

ベトナム計画投資省の外国投資庁(FIA)によると、2022年1〜10月期の外国資本の流入額は減少したものの、投資実行額は増加したという。

1〜10月期の新規認可された資本金、調整資本金、出資・株式購入の合計は224億6000万米ドルで、前年同期比5.4%減となった。

具体的には、新規認可案件数が1,570件、認可額は99.3億ドルで、前年比23.7%減となった。

一方、実際に払い込まれた投資実行額は174億5000万ドルに達し、前年同期比15.2%増となったことは明るいニュースである。年末までには220億ドルに達する見込みだ。

調整後資本金は単体で前年同期比23.3%増の87億4,000万ドル超となった。また、資本金調整のため10カ月間に追加認可されたプロジェクトは880件にのぼる。

10月下旬までに2,997件の出資および株式購入があり、金額ベースでは前年比から4.5%増の39億7,000万米ドルに相当する。

FIAのDo Nhat Hoang長官は、FDI認可額減少の背景として、厳しい新型コロナウイルス感染拡大防止策が敷かれたこと、および世界的な先行き不透明感が大きな要因であると強調した。

同氏は、「感染防止のための規制が厳しく、新たな投資機会を求める外国人投資家がベトナムに渡航しにくくなった」と述べ、そのため2022年初頭の新規認可プロジェクト数が抑制されたとみられている。

現在、地政学的紛争やインフレ圧力、サプライチェーンの混乱など世界的に先行き不透明なムードが広がり、大国、特にベトナムのパートナー国からの資本流入は縮小し、状況は未だ改善していない。

一方、この10カ月間、多くの大型プロジェクトで資本金の大幅調整が実施されたことは朗報である。たとえば、Samsung Electro-Mechanics Vietnamは2度にわたって増資(9億2,000万ドル、2億6,700万ドル)を実施している。

さらにSamsung HCMC CEも8億4,100万ドルの増資を実行。バクニン省、ゲアン省、ハイフォン省の電子機器・マルチメディア機器製造プロジェクトには、それぞれ3億600万米ドル、2億6,000万米ドル、1億2,700万米ドルの資金が投じられた。

これらの増資案件から、外国人投資家がベトナムの経済成長とビジネス環境に対して大きな信頼を寄せていることがわかる。

さらにFIAの調査では、同期間中に外国人投資家がベトナム経済の21セクターのうち18の分野に投資したことが判明した。このうち、外国からの投資が最も多かったのが、129億米ドルの資金が流入した製造業だという。

次いで、不動産が39億ドル、発電・配電が9億2800万ドル、科学技術活動が8億3,500万ドルと続いている。

また、新規の認可件数が最も多かったのは卸売・小売、加工・製造、科学技術活動で、それぞれ全体の29.9%、24.8%、16.7%を占めたことも特筆すべきである。

パートナー国別にみると、年間で103の国と地域からベトナムに資金が流れている。その筆頭はシンガポール(53億ドル)で、ベトナムへの外国投資総額の23.8%を占めた。

次いで日本が42億ドルで2位、韓国は39億ドルで3位となった。その他、中国、香港、デンマークなどがランクインしている。

金額ベースでは3番手の韓国だが、10カ月間の新規認可件数および資本調整を実施したプロジェクトの数では投資家リストのトップに位置している。