国連開発計画(UNDP)はベトナムにおける持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け、政府の政策に則した優先すべき投資先として、6分野に渡る14業種を特定している。

UNDPはこのほど、「ベトナムSDGs投資家マップ」を発表した。これは政策立案者や投資家をはじめとする関係者向けに市場情報を提供するものである。SDGs達成という目的に沿った投資テーマやビジネスモデル(投資機会領域)へと、資本や企業活動を傾注するために、これが大きな指標となる。
ベトナムではこのマップを基盤に、SDGsの優先すべき分野への投資を計画し、利益を生み、環境および社会的成果を考案することになる。今回の投資マップ策定はCentre for Impact Investing and Practices(CIIP)およびUNDPの支援により実現した。CIIPとはテマセク・トラストによって設立された非営利組織である。
このマップは、ベトナム国内で最も資金を必要とするセクターと民間企業を結びつけ、技術革新の流れを促すために活用される。
投資機会マップでは、政府の政策に則した、資金を必要とする優先すべきSDGs投資先6分野のうち、教育、医療、食品・飲料、インフラ、再生可能エネルギー、金融サービスなど14の業種が示されている。
UNDP SDG インパクトは確固とした方法論をとることで、教育・ヘルスケア・食品・飲料、インフラ・再生可能エネルギー・金融サービスの分野で投資機会領域の特定に成功した。
さらに、同マップでは新たなビジネスモデルでなければ成功しない事業領域7種も特定されている。それは、成長性があり国の開発ニーズにも適合し、政府の政策をさらに推し進めることで民間部門への投資を促進する投資機会領域を指す。
「ベトナムSDGs投資家マップは、ベトナムへの持続的な投資を検討している人々に重要な市場情報を提供します。ベトナムのSDGs達成に貢献する影響力の大きいセクターに資本を呼び込むため、民間、公共双方のプレイヤーが利用できる画期的なツールなのです。」とCIIPのドーン・チャンCEOは胸を張る。SDGインパクトのディレクターであるファビエンヌ・ミショー氏は次の通り付言した。
民間セクターは変革の大きな役目を担うことになります。ベトナムSDGs投資家マップは投資家が最大のインパクトをもたらすセクターを特定しやすくすること、そのことによって同分野に資本を配分できること、を目標にしています。

ベトナムは30年以上途切れることなく経済成長し続け、個人投資家からの人気も高まってきている。しかし、社会経済的な課題は依然として残っており、パンデミックの影響もあいまって進展の足取りは重い。今後も民間資本や、民間を巻き込んだ金融投資はベトナムの持続可能な発展のためには欠かせない要素であると考えられる。
このような背景から、ベトナム政府は「国家行動計画2030」を通じて、2030アジェンダのSDGsを達成すべく全力で取り組んでいる。多くの規定文書で示されているように、科学、技術、イノベーションはベトナムの社会経済発展のための主要な推進力と見られており、SDGs達成のための大きな要因でもある。
UNDPベトナム駐在員のラムラ・ハリディ氏は、政府の科学、技術、イノベーションの発展に向けた財源強化への取り組みを高く評価するとともに、投資マップがその活動に貢献するだろうと期待を示した。
「まず競争力という点では、国営企業の改革を推進することで、ビジネス投資環境全体の発展を促すことが重要です。」と同氏は、科学技術分野の資金調達について提言し、次のように言葉を継いだ。
官民が適切な形でパートナーシップを組み実験的プログラムを実践すれば、リソースを活用することにつながります。ひいては公的研究機関と外資を含めた企業間の協力関係を改善することになるでしょう。