先頃開催された、洋上風力発電に関するワークショップで、経済成長のため経済的かつ環境に優しいエネルギー源を供給するという点で、ベトナムが秘める可能性は高い、という参加者からの声が聞かれた。
ベトナムが洋上風力発電を成功させるためには、何をすべきか?産業の発展を確かなものとして、必要な投資を呼び込むにはどうしたらよいか?世界が洋上風力発電で得た経験から、ベトナムは何を学ぶべきか?
3月16日、ベトナムの洋上風力発電開発に関するワークショップが開催された。共同議長を務めたのはベトナム中央経済委員会のグエン・ドゥック・ヒエン副会長と駐ベトナムデンマーク大使のニコライ・プリッツ氏。同セミナーでは業界標準や政策提言について議論され、前述した課題についても大いに意見が交わされた。
「洋上風力発電は、コスト効率の良いエネルギーで経済発展を支えるだけでなく、”2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする”というCOP26の目標達成をサポートするチャンスにもつながる。」とプリッツ議長はセミナー内でコメントした。
ベトナムの持続可能なグリーンエネルギーへの変革を強力に後押している国が、デンマークである。同国は洋上風力産業の発展に不可欠な、クリアで一貫性のある規制の枠組みを期待しており、その先駆けとなるのが、国家電力開発計画8(PDP 8)および独占的な洋上調査権の承認ということになる。
ここ数十年、ベトナムのGDP成長率は年平均約7%に達し、その結果エネルギー消費量と排出量が大幅に増加した。経済とエネルギー消費を切り離し、再生可能エネルギーに投資することで、より持続可能なエネルギー構造へと転換することが同国には不可欠である。
デンマークのエネルギー庁と世界銀行が共同制作した『洋上風力発電開発に関する報告書』では、「政府が大規模な実証プロジェクトを受注し、同分野を活性化させること」を強く勧めている。2030年までに年間7GWの洋上風力発電という目標を達成するには、今こそ政府が行動を起こすべき時なのだ。
Copenhagen Offshore Partnersの共同CEOであるHenrik Scheinemann氏は、ベトナムの風力発電産業を軌道に乗せる力を確信しているという。「ベトナムは、実績と効果のある再生可能エネルギー産業の確立に力を入れるべきですし、国のニーズとスキルに合った洋上風力産業を実現するため他の市場から学ぶことも大切でしょう。」
ベトナムには洋上風力発電産業に必要な条件が揃っている。長い海岸線と豊富な風力資源、そして比較的浅い海底は風車の土台設置に適している。開発支援に利用も移行も可能なサプライチェーンもすでに構築済みである。
1991年に世界初の洋上風力発電所を開設して以来、デンマークはその分野におけるパイオニアとして市場を牽引してきた。現在、同国は意欲的にコスト削減に取り組み、洋上風力発電は最も競争力のある再生可能エネルギーの1つにまで成長している。このことは、ベトナムにおける洋上風力発電産業のスピーディかつ大規模な成長への大きなモチベーションにつながることだろう。