Vietnam Investment Review

ベトナム第8次国家電源開発計画(PDP8)の目的は、再生可能エネルギーの開発を促進することにある。2050年までに、再生可能エネルギーの割合は67.7〜71.5%に達すると見込まれる。

5月15日、ベトナムのファム・ミン・チン首相は2021~2030年の国家電源開発計画および2050年までのビジョンを承認する首相決定第500号(QD-TTg)を公布した。

PDP8は、社会経済発展や工業化のニーズに合わせて国のエネルギー安全保障確保を目指した取り組みとなる。同計画には近隣諸国との間に電力網をつなぐプロジェクトも盛り込まれている。

これと並行して公平なエネルギー転換の実現に向け、グリーン転換の流れに沿ったインテリジェントインフラおよび高度な電力システムマネジメントの構築をすすめていくという。また、テクノロジーの進歩による排出ガス削減、そして再生可能エネルギーや新たなエネルギーを基盤とした包括的エコシステムの開発にも注力している。

同国内に十分な電力を供給することで国家のエネルギー安全保障を確保し、2021~2030年平均GDP成長年率約7%、2031~2050年に年率約6.5~7%という社会経済発展目標達成を支えていくことになる。

2030年までにはASEANで信頼性の高い電力供給国の上位4カ国に、電力アクセス指数の高さで上位3カ国に入ることが期待されている。また、オフィスビルや住宅の半数で自家発電・自家放熱の屋根上太陽光発電を利用できるようになるという。ただし太陽光発電はあくまで自家消費用で、国の電力システムへの売電は想定されていない。

PDP8は発電による温室効果ガス排出量を2030年までに2億400万~2億5,400万トン、2050年までに2,700万~3,100万トン削減することを目標に掲げている。また、2030年までにピーク時の排出量を1億7,000万トン以下に抑え、エネルギー転換パートナーシップを締結した国との合意内容を着実に履行していく意向だ。

経済社会および再生可能エネルギーの発展を目指し、発電から送電、消費までを管理する2つの地域間再生可能エネルギーサービスセンターの設立も計画されている。

再生可能エネルギー電源を開発し、輸出可能な電力の生産を推し進めることで、電力輸出量は2030年までに5,000〜10,000MWに達する見込みである。

PDP8では、電力網の構築や近隣諸国との連携、農村部における電力開発の方向性などの計画についても言及している。

2021~2030年における電源・送電網の整備にかかる投資総額は推計で1,347億ドルにのぼるとされる。さらに2031~2050年には3,990~5,230億ドルと見込まれ、そのうち電源に投じられる費用は約364~511億ドル、送電網への投資額は約350-3900億ドルとされている。

今回承認された決定によると、計画書類中のデータ・文書・図・地図・データベースの正確性、そして計画内容との一貫性については産業貿易省がその責任を負うことになるという。