日本貿易振興機構(JETRO)は、再生可能エネルギー、観光、製造業などの分野におけるクアンビン省の強みと立地の将来性を高く評価している。
6月25日に開催された、クアンビンの振興計画と投資促進に関する会議において、在ハノイ日本貿易振興機構(JETRO)の中島丈雄首席代表はクアンビンの強みについて高く評価した。
クアンビンは約100万人の人口を擁し、10の経済区と工業地帯を有しており、ホンラ海港やドンホイ空港などの優れた物流インフラが整備されている。
「クアンビンは、風力発電や太陽光発電等再生可能エネルギープロジェクトの展開には最適と言えます。再生可能エネルギー分野における生産および貿易には、今後大いに期待できるでしょう。」と中島氏は述べた。
また、世界遺産やレクリエーション資源を活用することにより、この地域が魅力的な観光地に発展する大きな可能性を同氏は見出しているともいう。
「外資系企業による投資は、都市部から地方都市へと広がっており、そこに数多くのチャンスがあると見込んでいます。」とJETROの担当者は語る。
つまり、日本企業がベトナム現地に対して強く期待するのは、何よりもコスト競争力であると中島氏は指摘する。JETROの調査によると、賃金や調達コストの上昇などが、現在のベトナムのリスクだという。
日本企業は常に低コスト生産の可能性を模索しています。ハノイ近郊で生産し、ハイフォン港経由で海外市場へ商品を輸出するよりも、クアンビンの方が有利な理由を知りたいのです。
在ベトナム日本企業のうち約4分の3が人材育成を推進すると回答しており、またASEAN企業のうち約3分の2が同様の回答をしている。
現在、日本で働くベトナム人は50万人近くにのぼる。彼らは経験を積んでベトナムに戻り、指導的役割を果たし、その後、日本や他国に渡り、より重要なポストに就くことになる。
「外資系企業は、特にクアンビンの若者が、このような人材供給サイクルに乗ることを期待しているのです。」と同氏は言い切る。
さらに、持続可能な購買活動が世界中で活発化するに従い、各企業も生産プロセス全体で環境保護に取り組まざるを得なくなってきている。ベトナムに進出している日系企業のうち67%は、今後の予定も含めて、二酸化炭素削減キャンペーンを事業活動において取組み始めることを表明している。環境に配慮しない製品を販売することが難しくなることは間違いないだろう。
「今後、ベトナムが高い付加価値を持つ製造業のハブとなるためには、化石燃料の消費を抑えるだけでなく、安定した電力を確保することが極めて重要になります。」と中島氏は提言する。
日本企業はベトナムにおける増産活動に向けた取り組みを強化している。世界経済の不安要素と消費意欲の減退により、対外直接投資額は前年比で減少している。その一方で、投資案件数は、前年を上回るペースで増加している。
「自動車、電力、電子部品セクターの数多くの輸出関連企業が、生産の一部を中国や日本からシフトさせています。これは、ベトナムの重要性がさらに増していることを物語っているのです。」と、氏は断言する。
さらにベトナムは、研究開発と高付加価値製造のハブとなりつつある。フジキン、パナソニック、大阪大学などの企業は、この地域をベトナムにおける技術開発拠点にしようとしている。
「約30%の企業が従来の一般的な製造業に専念する一方で、約35%の日本企業は付加価値の高い製品を生産するようになるでしょう。」と氏は付け加えた。