ベトナム銀行業界が今、海外の大手銀行や金融機関をはじめとした外国人投資家から注目を集めている。
[ハノイ] 海外の大手銀行や金融機関をはじめ、外国人投資家からベトナムの銀行に注目が集まっている。
Southeast Asia Commercial Joint Stock Bank(シーバンク、SSB)は、株式総数の4.63%(割当完了時には3.7%以上)に相当する約9,500万株の第三者割当増資計画を明らかにした。その対象投資機関はノルウェー開発途上国投資基金(Norfund)になるとみられる。
シーバンクによると、売り出し価格は監査済みの2022年個別財務諸表に記載された「1株あたり12,861VND(約76円)」以上となる予定で、最高価格は1株37,032VND(約220円)となる見込み。同銀行は本取引で最低でも1.2兆VND(約71億4730万円)以上、最高で3.5兆VND(約208億4640万円)を超えた額を回収することになる。
[サイゴン] Hanoi Commercial Joint Stock Bank(サイゴンハノイ銀行、SHB)もまた、外国人投資家にとって魅力的な存在だ。ロイター通信は最近、民間ソースからの情報として「SHBは株式価値の20%を戦略的パートナーに提供する準備をすすめている」と報じている。関係者の素性は明らかにされていないものの、一部の情報筋によると、韓国と日本の複数の潜在株主がSHBと会談したという。
取引額は20億~23億米ドル(約2820億4700万~3243億5400万円)にのぼる見込みで、ベトナム国家銀行(SBV)の承認を得たのち、2023年か2024年初めに取引完了する計画だという。
現在、外国人投資家のSHB持ち株比率は7%程度で、国家銀行が定めた上限の30%を大幅に下回っており、外国人投資家にとって有望な機会であると考えられている。
これに先立ち、SHBは日本のMUFGグループの戦略的メンバーであるタイのBank of Ayudhya Public Co. Ltd.(アユタヤ銀行)へ、SHB Finance Co. Ltd.の定款資本の50%を譲渡している。これは両行が資本移転契約を締結して1年以上を経て実行されたもので、3年後には契約に従い、残りの50%の譲渡が続くことになる。
アユタヤ銀行は以前に一度、この取引に51億バーツ(約208億9930万円))を投じると表明している。
シーバンクとアユタヤ銀行の株式は、ホーチミン市場の「VN30バスケット」にも採用されている。VN30バスケットは、証券取引所(HoSE)の最高時価総額および流動性をもとに選定される優良銘柄のこと。関係者らは「VN30バスケットに採用されたことで、これら銘柄の魅力と価値はさらに高まることになるだろう。」と話す。
一方、Vietnam Prosperity Joint Stock Commercial Bank(VPBank、VPB)は日本の三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の三井住友銀行(SMBC)に対し、11.9億株以上を第三者割当増資で提供するという。これはVPBankの全株式の17.73%以上(割当増資完了後は15%)に相当する。
本取引は、国家銀行の承認を得て、国家証券委員会が必要書類をすべて受領したことを確認したのち、2023年の第3四半期または第4四半期に行われる予定である。
1株当たりの売り出し価格は30,159VND(約180円)となる予定で、VPBankは35.9兆VND(約2139億2860万円)以上を獲得し、定款資本を11.9兆VND(約709億1230万円)以上引き上げたい考えだ。本件は銀行業界の取引で最高額を記録するとみられる。
同様に、Joint Stock Commercial Bank for Foreign Trade of Vietnam (ベトコムバンク)、Lien Viet Post Joint Stock Commercial Bank(LPバンク)、Nam A Commercial Joint Stock Bank(Nam A バンク)のトップは、各銀行が外国人投資家に株式を売却することにより定款資本を増額する計画であると発表している。
ベトナム銀行協会のグエン・クオック・フン事務局長は、次の通りコメントした。
豊富な経験を持つ外資系銀行や金融グループは、収益性確保や国内信用機関のガバナンス能力向上のため、資金を投入する前に念入りに検討するでしょう。
多くの銀行が外国人持ち株比率の上限に達しているか、それに近いという状況にある。しかし、シーバンク、Nam Aバンク、バックアー銀行、BVBank、KienLongBankなど、まだ外国人持ち株比率に余裕がある銀行も存在する。「こうした要因もまたベトナムの銀行が外国人投資家にとって魅力なのです。」とフン事務局長は見解を示した。