Vietnam Investment Review

グローバル企業は今、ベトナムの火力発電所における石炭から液化石油ガス(LNG)へのエネルギー転換に関心を寄せている。

ベトナム北中部タインホア省で火力発電所を開発するコンタイン社は、「石炭からLNGへの転換プロジェクト」について最新の進捗状況を報告した。具体的な内容としては、クリーンな敷地の確保、アクティス投資ファンドとの資本協定完了、LNGを供給する英BP社や機器を提供する米ゼネラル・エレクトリック(GE)社といった海外グループとの提携模索等について述べられた。コンタイン社に関しては、7月11日にタインホア人民委員会が政府に対して同社の提案を検討するよう要請しており、今回の発表はその1カ月後の8月末に行われたことになる。

産業貿易省(MoIT)傘下のエネルギー研究所で副所長を務めたゴー・ドゥク・ラム氏は、次の通りコメントした。

石炭価格の高騰と“ネット・ゼロ目標達成”という政府方針にもとづいた“将来的な石炭火力発電所の削減”というロードマップを考慮すれば、コンタイン社のエネルギー転換は適切なものです。

同氏はまた、投資家にとって国家電力開発計画VIII(PDP8)は好機であると期待を寄せる。PDP8は石炭からLNGへの燃料転換の道を切り開くもので、予定通りに進まないプロジェクトや資本を調達に苦戦する事業にとっても有効となるという。

基本計画にエネルギー源としてLNGを追加するというのはそう簡単なことではありません。そのため、当局は今回計画を変更することにより、他の発電プロジェクトの前例となってしまうことを懸念しているのです。

投資家は、中部や南部のLNGプロジェクトよりも、北部への送電に便利なタインホア省でプロジェクトを立ち上げました。しかし、彼らはPDP8にLNGによる火力発電が追加されるという可能性を考慮してはいなかったのです。

石炭からLNGへの転換については原則として、運輸省とその関係各所が計画から電源構造、投資家の能力、技術的条件まで多くの条件を検討したうえで、政府が認可することになる。

あるアナリストはこう見解を語る。

たとえプロジェクトが認可されたとしても、投資家を選定するための入札プロセスを経る必要があります。ニントゥアン省では、同様のアプローチをカナLNG火力発電所プロジェクトで採用しています。

LNG火力発電プロジェクトはその特性上、多額の資金を要し、実施までに10年かかることもある。

石炭からLNGへの転換の流れは、経済不況やロシア・ウクライナ紛争にあおられるかたちで、2022年以降加速してきている。

エネルギー経済・財務分析研究所による最近の調査によると、各国が代替エネルギーに転換するなか、ガス価格の高騰と供給競争の長期化により、中長期的な需要が減少しているという。

気候変動データを分析するグローバル・エネルギー・モニターの最新報告書では、世界で開発中のガス火力発電容量692万kWのうち、約8,960万kW(13%)が石炭からガスへの転換および代替によるものと推定する。

石炭からガスへの転換・代替が最も多い地域は東アジアとなる(29.6GW)。一方、ヨーロッパでは19.7GW、北米では18.6GW規模の同転換プロジェクトが進められている。