2021年ベトナムのM&A業界では、地域的な課題が無数にあるにもかかわらず、シンガポールが引き続き、大きなシェアを占めている。

先週、シンガポールの電力会社SPグループと、Bamboo Capital JSCの完全子会社BCG Energyは、ベトナムにおける屋上太陽光発電や、その他の再生可能エネルギープロジェクトへの投資を目的とした合弁会社を正式に設立した。
SPグループが49%、BCG Energyが残りの株式を保有する。この合弁会社は、2025年までに合計500MWの屋上太陽光発電プロジェクトの開発を当初目標としている。まずは、ベトナム南部および中部にある8つの商業・工業用地に設置された28MWの稼働中の屋上太陽光発電資産を取得する予定である。
SPグループは昨年11月、ホーチミン市にオフィスを開設した。同社は、持続可能なエネルギーとデジタルソリューションを活用して、ベトナムの顧客に付加価値のあるソリューションを提供。アジア太平洋地域における持続可能なエネルギーソリューションのリーディングカンパニーとして地位を確立することを目指している。
同様に、シンガポールのeスポーツメディア企業Ampverseは、先週、ベトナムを拠点とするeスポーツチームSBTC Esportsの支配的な株式を取得したことを発表した。この買収は、eスポーツの視聴者数が世界的に加速し続けている時期に行われている。
2018年にSBTC Esportsが発足して以来、ベトナムで最も魅力的なeスポーツブランドの1つを構築し、一番の人気チームというタイトルを保持している。SBTCは、League of Legends VCS Spring 2021シーズン全体で平均8万人以上のライブ視聴者数を記録し、ベトナムのどのチームよりも高い数字であった。
6月、シンガポールの不動産開発会社であるBoustead Projectsは、同社の完全子会社であるBP-Vietnam Development が、Khai Toan JSC(KTG)との間で、KTGとBoustead Industrial Logistics JSCの持ち株会社であるKBJSCの49%の持分を取得する案について合意したことを発表した。
Bousteadは、KTGとBoustead Projectsが共同で出資するベトナム開発ファンドである。様々な特別目的会社を通じて保有する13の産業用不動産資産で構成され、審査されたパイプライン内での更なる買収や開発の機会を通じて拡大していく。
Baker McKenzie社のパートナーであるSeck Yee Chung氏は、「パンデミックは世界的に多くの課題をもたらしましたが、それはベトナムも同様です。世界的な渡航制限や国内での閉鎖により、大きな被害を受け続けている分野があります。現在のパンデミックは、これまでのパンデミックより広範囲に発生しており、工業地帯の製造業や輸出業でさえ多数の生産労働者が感染し、隔離されているため、大きな影響を受けています。」と語った。
一方で、「とはいえ、中長期的な観点から見ると、シンガポールからの投資はこれまでも、そしてこれからも堅調に推移すると予想されます。」とも語っている。Chung氏はさらに、「移動手段の制限や社会的な距離を置くなど、現在の厳しい措置に加え、ワクチンの輸入や配備が前月より多く実施されていることから、状況の好転が予想されますが、もちろん、問題はそれにどれだけの時間がかかるかです。」と加えた。
それまでの間、ベトナムはワクチンの輸入と配備にあらゆる努力を続けるべきだと、Chung氏は言う。
シンガポールの投資家は、1990年代にベトナム経済が開放された初期段階から、Sofitel PlazaやSomersetブランドのサービスレジデンスなどの商業施設や工業地帯を含む不動産プロジェクトで大きな存在感を示し、ベトナムで活発に活動してきた。
ここ数年、多くのシンガポール企業がM&Aにより、ベトナムへ進出し続けている。シンガポールは昨年、529件、21.6億ドルの取引を行い、ベトナム市場における最大の買収者となった。投資計画省のデータによると、今年7月現在、シンガポールの投資家による出資や株式購入は193件、5億6,658万ドルにのぼる。不動産、生産、工業地帯、物流、インフラ・エネルギーなど、シンガポールの投資家を惹きつける分野は数多くある。
「これは、ベトナムの地理的な位置、教育を受けた人口と労働力、整備されたインフラ、そして特に多くの多国間貿易協定に加盟していることから、東南アジアの主要なサプライチェーン構成要素に適した立場であることを反映しています」とChung氏は述べ、「ベトナムでは、特に金融サービス、テクノロジー、消費財、小売などのサービス分野で、シンガポールからの継続的な投資が期待されています」と強調した。