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証券市場では外国人投資家による銀行への出資率の調整が行われている。一方で、アナリストによると、各銀行の戦略やビジネスプランにその時々で左右されるとのことだ。

例えば最近では、サイゴン・ハノイ銀行(SHB)が、2021年の株主総会で承認された株式募集・発行計画を遂行するために、外国人投資家枠を一時的に上限10%に制限すると発表している。

前回の株主総会では、外国人戦略投資家の所有率を資本金の20%以下にすると承認された。同時に、SHBベトナム証券保管振替機関(VSD)での外国人所有率を10%に制限した。

これにより、SHBは適切な能力を持つ海外の戦略的投資家を見つけ、選択することができ、株主、顧客、そしてSHB自身に最高の利益をもたらすことができると、SHBの代表者は語っている。

VSDはまた、SeABank(SSB)が外国人所有率を0%から5%へと最大に引き上げることを発表したばかりである。また、国内外の機関投資家や個人投資家を対象とした第三者割当増資を行わず、既存の株主に発行することを発表している。

2014年1月3日付の政令01/2014/ND-CPでは、外国人投資家がベトナムの信用機関から株式を購入する場合、外国人投資家による株式保有率合計がベトナムの商業銀行における資本金の30%を超えてはならないと規定している。

しかし、証券市場をよく見てみると、外国人投資家枠を上限まで上げている銀行は少なく、低く抑えている銀行の方が多いようだ。

専門家の説明によると、外国人投資家が利益を得るためだけに発行済み株式を売買する場合、この資金源は短期的なものに過ぎない。言うまでもなく、外国人投資家枠を最大レベルまで拡大すると、残り枠が徐々に減少することになり、資本動員計画に影響を与えることになる。

銀行の資本動員の主な目的は、中長期的な資本の増強、補足、、設定されたロードマップに沿った成長計画や戦略に貢献し、さらには労働安全率の向上を助けることである。

ベトナム投資開発銀行(BIDV)のチーフエコノミストであるCan Van Luc氏は、今年も銀行業界の増資圧力は高いままだと述べている。

過去10年間、銀行制度における総資産の平均成長率は10~12%で、信用残高も平均で年率14%増加した。

この成長に伴い、銀行は、ベトナム国家銀行(SBV)の規制に基づく自己資本比率に関して、自己資本を確保するための増資を余儀なくされている。

加えて、銀行はバーゼルⅡのリスク管理基準に基づき、最低限の自己資本比率を確保しなければならない。評判の良い格付け会社は、それを基にして信用格付けを評価し、業界の魅力を高めるのに役立つのである。

外国人投資家を見ると、銀行が外国人投資家枠を最大レベルまで開放していないことや、許容レベルの30%以下に制限しているにも関わらず、収益性の高い成長と良好な資産の質を維持していることにより、依然として銀行業界に関心を示している。

Guotai Junan Securities Vietは、銀行業界が現在進行中のパンデミック第4波の影響を受け、2021年第3四半期の信用成長がやや鈍化することは否定できないが、長期的には工業生産・輸出・貿易・観光が回復することで、銀行業界全体の成長を促す原動力となるだろうと述べている。

「デジタル・ベトナム」をテーマにした世界銀行(WB)の2021年8月のレビューでは、「デジタル・ベトナム、明日への道」と題して、2021年のベトナムの経済成長率の予測を約4.8%に引き下げた。

とはいえ、世界銀行のベトナム担当カントリー・ディレクター代理であるRahul Kitchlu氏は、次のように述べている。「下振れリスクは高まっているものの、ベトナム経済のファンダメンタルズは損なわれておらず、2022年以降はパンデミック前のGDP成長率である6.5~7%に戻る可能性が高いと考えています。」

これまでベトナムは、ムーディーズ、スタンダード&プアーズ(S&P)、フィッチの3つの格付け会社が同時に見通しを「ポジティブ」に引き上げた世界で唯一の国であった。

これは、外国人投資家が銀行の外国人所有権に注目し、期待する重要な根拠になっている。

特に、信用機関や銀行については、EU-ベトナム自由貿易協定(EVFTA)が発効すると、5年以内にベトナムの2つの商業銀行への出資比率を49%に引き上げることが公約されている。

この公約に入っていない国有商業銀は、BIDVVietinbankVietcombankAgribankの4行である。