ベトナム国家銀行(SBV)は、新型コロナウイルス感染拡大による業況改善のため、銀行ローンを利用する企業を支援するインセンティブ政策の政令案について協議している。

多くの企業は、この政令が、企業の支援融資の利用促進につながることを期待している。
この政令は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた顧客を支援するために、債務の返済条件の見直し、金利や手数料の免除・減額について規定した2021年4月2日付の政令、 03/2021/TT-NHNNを改訂したものである。
改訂された政令には、主に2つの変更点があり、債務の見直し期間が当初予定されていた、2021年12月31日から2022年6月30日まで延長されることや、ロックダウン地域の顧客が対象となる、返済条件を見直しすることなどが含まれている。
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、生産や企業活動を停止せざるを得なかった多くのホーチミン市の企業は、銀行が債務を凍結することや既存債務の金利引き下げに期待していると述べている。
また、企業はこの困難な時期を乗り越えるために、銀行に対し、業況を考慮した金利と簡単な手続きで申し込むことができる新しいローン制度の展開を望んでいる。
ホーチミン市食品・食料品協会(FFA)の会長Ly Kim Chi氏によると、生産やビジネスを維持するためのコストが高すぎる現状があり、地元企業は生産の安定とサプライチェーンの混乱リスクを回避するため、早急に銀行融資を受ける必要があると述べている。
新型コロナウイルス感染症はすべての経済セクターに影響を及ぼしたため、Ly Kim Chi氏はSBVに対し、市内のすべての企業が少なくとも今後6ヶ月間は債務を支払う必要がないよう、債務支払いのリスケジュールを認めることを検討するよう提案した。
さらに、Ly Kim Chi氏は、(現行の制度は、)企業が支援策を受ける資格があるかどうか証明するための手続きが複雑で、多くの企業が銀行の支援策を利用できていないとし、企業がインセンティブを受ける資格があることを証明するための手続きや提出書類を簡素化する必要があるとも述べている。
FFAは、SBVに対し、食品や食料品など特定の産業に属する企業に対し、融資利息の免除・削減や迅速な融資を行うといった新たな融資策の対象へ加えることも提案した。
他にも、一部の企業は、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、2020年6月10日以降に発生した債務の見直しを検討するようSBVに提案している。政令 03/2021/TT-NHNNの規定によると、銀行は2020年6月10日以前に発生した債務の見直ししかできないため、それ以降に発生した債務は、企業が期限内に支払いができなければ、不良債権に分類される恐れがある。
また、不動産会社も資金繰りが悪化し、流動性を失うリスクに直面している。そのため、ホーチミン市不動産協会(HOREA)は、SBVに政令案の改正を提案した。
提案には、信用機関、国内の市中銀行、外国銀行支店が、債務返済のリスケジュール、利息・手数料の免除・減額、債務における信用格付けの維持や不動産会社への新規融資を検討することなどが含まれている。
これらの支援策は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた不動産業を含む企業が、借入コストや投入コストの削減、新たなローンを利用することにより、生産やビジネスを徐々に回復させるための時間を確保するために、効果的な支援策を提供できるとしている。
さらに、平均預金金利が著しく低いことから、HOREAはSBVが他の市中銀行に対して、貸出金利を年2%引き下げることを検討するよう要請し、預金金利と貸出金利を妥当な水準に設定することで、借り手と貸し手の金利の均衡を保つことを期待している。