ベトナムで電子請求書受領管理サービスや経費精算サービスを提供するBizzi社は、プレシリーズAラウンドで300万ドルの資金を調達した。日本のフィンテック・SaaSのリーディングカンパニーであるマネーフォワードの他、ベトナムのVC(ベンチャーキャピタル)、Do Venturesとシンガポールに拠点を置くVC、Qualgroも出資を行った。

Bizzi社は、ベトナムの請求書処理自動化ソリューション領域のパイオニア的存在。AIとRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した同社の統合プラットフォームは、既存のERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)や会計ソリューションと連携させ一元管理を可能にするという特徴を持つ。ベンダーと顧客をつなぎ、請求書の支払い、領収書のスキャン、経費不正チェック、簿記などの財務プロセスの自動化を実現する。発売からわずか2年で、Grab、GS25、Circle K、Tikiなど100社以上の主要顧客企業と、4,000社以上のベンダーが導入している。現在、月間請求書処理額は3百万ドルを超える。
新型コロナウイルス感染症は、企業のビジネスプロセスに劇的な変化をもたらした。企業はさらなる効率化のため、クリエイティブなデジタルソリューションを導入せざるを得ない状況に陥ったのだ。その結果、あらゆる業界のビジネス・イノベーションにおいて、テクノロジー導入へ向けた動きが今現在も大きく加速している。また、ベトナム政府も、デジタル化を後押ししており、2022年7月1日から官民ともに電子請求書の発行を義務化する法令を施行し、デジタル化に向けて大きな一歩を踏み出した。
この状況下、業務の規模に関わらず、インボイス処理の効率化ソリューションを提供する先駆的存在がBizzi社である。同社は面倒な会計業務を自動化・簡略化することで企業のファイナンス部門をサポートすることに主眼を置く。RPA技術と機械学習により、請求書の処理時間を80%、処理コストを50%削減できる上、透明性や税務コンプライアンスの向上にもつながるとしている。
Bizzi社の共同設立者兼CEOであるNghia Vu氏は、「今回の資金調達で得た資金は、当社製品の機能強化と顧客のネットワーク開拓に投資する予定です。当面はベトナムを中心に展開することになりますが、同じような問題を抱える他の東南アジア市場への進出も視野に入れています。」と今後の計画を語った。
マネーフォワードのチーフストラテジーオフィサーを務める、菅藤 達也氏は次のように述べた。
Bizzi社は、何千もの企業のデジタル化の取り組みを支援し、大きなインパクトを生み出しています。当社は、マネーフォワードのクラウド事業で培ったノウハウを共有することで、同社がベトナム最大の電子インボイス受領管理サービスを提供することをサポートしていきます。
また、Do VenturesのゼネラルパートナーであるVy Le氏は以下の通りコメントしている。
インボイス処理のリモート管理を可能にするなど、Bizzi社のワークフローイノベーション支援には目覚ましいものがあり、ベトナムにおけるデジタル化の加速に大きく貢献しています。強力な事業推進力と現地市場についての洞察力を兼ね備えた同社の創業チームと、共に躍進を目指させることを光栄に思います。