ベトナム政府は、電力プロジェクト、特に再生可能エネルギー(RE)への民間投資誘致のため開かれた仕組みを構築している。

このほど、ベトナム工商省(MOIT)は、再生可能エネルギープロジェクトの開発を促進する法的枠組みを、他省庁と共に提案したことを伝えた。地域のエネルギー開発においてすべての経済分野を奨励し、有利な条件を作り出すというインセンティブ・メカニズムを構築することで、党と政府の方針を実施に向けることになる。
MOITは、風力、バイオマス、廃棄物発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー電力を、固定価格買取制度(FIT)に基づき20年間にわたり販売するという仕組みの承認を最近首相に要請したばかりだ。
2020年までに稼働した風力、太陽光、小水力発電を除くBOT(建設・移転・運営)方式およびIPP(独立系電気事業者)の電力プロジェクトの容量は7,355MWとなり、62,250MWの全電源容量のうち11.8%を占めている。BOTおよびIPPにより実施されている火力発電プロジェクトは、合計27,250MWであった。
再生可能エネルギーについては、2020年12月31日時点で、総設備容量の25.3%を占め、その内訳は、太陽光発電16,420MW(8,673MWの集光型太陽光発電と7,755MWの屋根型太陽光発電を含む)、風力発電514MW、バイオマス発電382.1MW、廃棄物発電9.43MWとなる。
MOITの概算によると、再生可能エネルギーによる電力量は、2019年は5兆2,420億kWh、2020年には10兆9,940億kWhに達し、高価格ディーゼル電気の大幅な削減の一因となっている。
ベトナム電力の予測によれば、石油電力実数データを集計して比較したところ、ディーゼル電力は、2019年に21.7億kWh、2020年に42億kWhと各年減少を示し、約10兆8,500億~21兆ドン(4億7,100万~9億1,300万米ドル)の節減になったという。
MOITの電気・再生可能エネルギー部門ディレクター、Hoang Tien Dung氏は、次のように述べている。「再生可能エネルギーは、5~6月の負荷増大に伴い、電力不足に陥ったベトナム北部への電力供給を積極的にサポートしました。」
「再生可能資源は、2021~2025年の全期間に渡り、電力の安定供給に役立てられています。再生可能エネルギーは、社会経済の発展や人々の日常生活に必要な電力供給を確保し、ベトナムにおける温室効果ガスなどの排出量を削減するために大きく貢献していることは明らかです。」とDung氏は付け加えた。
近年、BOT方式による電力プロジェクトへの外国投資が大幅に増加していることで、政府の予算負担が軽減されている。重要なインフラプロジェクト、特に巨額の資金と複雑な技術を要するプロジェクトにおいては、それが顕著であり、それゆえ、ベトナムは投資家を惹きつけるためのメカニズム開発に注力していると、同氏は強調した。
国有企業が電力プロジェクトのための投資資金を調達することが困難な状況下では、この方式を用いることが、国の電力供給システムに大きく役立つことになる。
MOITによると、2021~2030年の間に電力開発プログラムを実施するために要する投資資本総額は約993億2,000万ドルに上るという。それを高負荷計画で開発した場合、年間約15億8,000万ドルの投資資金が必要となり、そのうち約101億6,000万ドルが電源投資、約14億2,000万ドルが送電系統投資に充てられる。
しかし、一部の投資家にとっては、仕組みや政策の不備が障壁となっているともDung氏は指摘する。
エネルギー開発に積極参加できる条件を備えた経済分野を誘致するためには、エネルギーインフラのボトルネックを解消しなければならない。そこで同省は、送電という事業が社会基盤となる電力法の検討・改正を行っている。
同時に、電力売買への牽引や投資家の入札メカニズムなど、再生可能エネルギーへの民間投資を促進する仕組みや政策も検討している。
このメカニズムを実行に移すまでには時間を要するが、再生可能エネルギープロジェクトの開発と電力系統がうまくつながりバランスがとれるようになれば、投資家にとってはより公平で透明性の高い投資対象となる、とDung氏は期待を語った。
一方、エネルギーの専門家は、電力プロジェクトは国内外の投資家や官民にとって十分に魅力的なものになるとの見込みを示している。電力プロジェクトに民間投資家を呼び込むためには、やはり価格政策が主な解決策であるとし、電力価格政策が適切であれば、電力業界の投資家は適正な利益を確保することができるからだ。
10月14日、Pham Minh Chinh首相は、モスクワで開催された第4回国際フォーラム「ロシア・エネルギー・ウィーク」において、ベトナムが再生可能エネルギーの開発に非常に意欲的であることを明示した。
ベトナムはASEANで最も高い経済成長率を誇る一方で、気候変動の影響を強く受けているため、経済的で効率的、かつ持続可能なエネルギー利用には、再生可能エネルギーのシェア拡大が重要課題であることを十分に認めている。
そして、2045年へ向けたビジョンを掲げ、2021~2030年に渡る国家電力開発計画では、3つの大きな方向性を策定している。
クリーンで再生可能なエネルギー源の開発に注力するベトナムは、今後、多様化推進への取組みを目指していく。この目標を達成するためにも、風力発電、バイオマス発電、固形廃棄物からの電力、太陽光発電の開発を奨励する多くのメカニズムを取り入れてゆくことになるのだ。
出典: VSN
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