25年の時を経た今、ベトナムにおける商業銀行システムの資金調達という大事な役割は、株式市場にとって代わられようとしている。

先ごろ、Bao Dau Tu (Investment Review)主催によるセミナー「株式市場-ビジネス、高収益投資チャネルと資産のためのリソース公開」が開催された。そこで、Nguyen Duc Chi財務副大臣から、ベトナム政府と首相に報告するため、2030年までの国内株式市場の発展戦略立案に取り組んでいるとの言及があった。2045年を見据え、他省庁と協力して進めることになるという。
戦略立案には、国の社会経済的発展、党の方向性と決議及び指針と政策が基本要素として盛り込まれる。
本戦略の目的は、株式市場を経済の要となる中長期的な資本チャネルとして構築、発展させることであるとChi氏は今後の目標を語った。過去25年間、経済発展が進む中、株式市場が、企業の資金調達という商業銀行システムが果たしてきた重要な役割を担う度合いが増えつつある。
かつて、株式市場がまだ存在しなかった頃は、短期、中・長期いずれも主な資金調達先と言えば、銀行の役割であったが、今では、株式市場が銀行に取って代わり、その割合を大きく占めている。
株式市場開拓の展望は、成長モデル、経済構造、グローバル経済およびマーケットへのつながり等におけるイノベーションとともに金融市場の発展と照らし合わせるべきである。更には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の技術レベルに合わせて開発は進められなければならない。
また、Chi氏は「ベトナムの株式市場を発展させるためには、各株式市場が連携し、国際的な統合を図り、国外の慣習や基準を適用する必要があります。」とも付け加えた。
今後、ベトナムの株式市場は、その層の厚さ、市場の質、流動性を発展させ、GDPに占める割合を、2025年には85%以上(調整後)、2030年には110%以上に拡大させることを目標としている。
債券でも、株式、社債、国債といった要素からなる適切な構成を目指し、2025年にはGDPの47%、2030年には58%を占めることを目指す。
デリバティブ市場については、年率20~30%の成長率と、投資家数を2025年に人口の5%、2030年には8%増やすなど、具体的な目標を明示した。
効果的な市場を形成するため、親会社と子会社のビジネスモデルを再構築し、ベトナム証券取引所を設立する。また、首相と財務省は、ベトナム証券取引所のオンライン化を早急に進める方針についても既に合意に達している。
決済技術を証券取引に活用し、2025年までにMSCI(Morgan Stanley Capital International )やFTSEの基準を満たす市場とするため、Vietnam Securities Depository Centerが再編成され、Securities Depository and Clearing Corporation(保管振替機構)へ変更されることも発表されている。