新型コロナウイルスは多くの企業に負の影響を与えた一方で、コロナ禍でも高収益をあげている企業も存在する。
PetroVietnam Fertilizer and Chemicals Corporation Phu My Fertilizer Plantは、目標売上高を3.7兆ドン(約1.62億ドル)から12兆ドン(約5.28億ドル)、目標利益を3650億ドン(約1600万ドル)から1兆8900億ドン(約8300万ドル)へと当初予定の5倍もの大幅な上方修正を行った。
2021年、Phu Myの利益は、前年比2.7倍となり、過去10年間で過去最高水準を記録した。
収益が急増した要因の一つに、新型コロナウイルスという不確実性により、肥料価格が断続的に上昇したことがあげられている。
化学メーカーでもあるDuc Giang Chemicalsも同様、2021年に2.4~2.5兆ドン(約1億ドルから1.1億ドル)の巨額利益を見込んでおり、そのうち1兆ドン(約4400万ドル)は10月と11月、2か月間分の利益である。
ベトナムの大手人造石メーカーのVicostone(以下、VCS)は、前年比150%の成長率を誇るカナダ市場などが輸出を後押しし、2021年に2.1兆ドン(約9200万ドル)の税引き前利益を計上した。
好業績を背景に、VCSの株価は2021年に40%高騰し、VN指数の上昇率30%を上回った。
VN Direct Securitiesは2021年、2.8兆ドン(約1.2億ドル)の税引き前利益を計上し、2020年の8600億ドン(約3780万ドル)、2019度の4800億ドン(約2100万ドル)を大きく上回った。また、同社の総資産は2倍の28.6兆ドン(約12.5億ドル)にまで増加した。
FPTは2021年の利益をまだ公表していないが、1月から11月期の業績が好調だったことから、売上高31.8兆ドン(約14億ドル)、税引き前利益5.9兆ドン(約2.5億ドル)を記録した。2021年の数値は、ベトナム最大のIT企業である同社にとって豊かな年だと専門家も分析する。
PVGas(PetroVietnam Gas Joint Stock Corporation)は、2021年の売上高を80兆ドン(約35億ドル)、税引き後利益を8.38兆ドン(約3.7億ドル)になると予測する。同じく、石油・ガス業界の企業であるPV Powerも25.2兆ドン(約11億ドル)の売上高、1.9兆ドン(約8400万ドル)の利益を計上した。
他にも、PJICO(Petrolimex Insurance Corporation)が前年比1.6倍の3500億ドン(約1500万ドル)、PV Oilが8840億ドン(約3800万ドル)など、高い収益をあげる企業が多かった。
明るい展望
新型コロナウイルスの動向は依然予断を許さないものの、専門家は、2022年状況が好転すると予測する。
Viet Capital Securities Company(以下、VCSC)は、燃料価格の上昇、新型コロナウイルスによる供給網の途絶、輸送費の上昇、アフターコロナにおける工業の力強い需要により、2021-2022年の尿素価格は2007-2008年の上昇よりもさらに30%ほど高くなると予測している。
VCSC は、Phu My が 2022 年の尿素の急激な値上りにより、更なる収益を上げることを予測している。一方、中期的には同社の窒素、リン、カリウムの生産が牽引役となる見通しだ。
一方、VCSは、生産に必要な主要資材を外部に依存していないため、低い調達リスクやドン/ドルの為替変動による影響が少なく、好調な1年となった。
さらに、カナダを中心とした新市場での急成長により、今後数年間、好調に推移すると予想されている。
他にも今年は、証券会社、銀行、小売業、基幹メーカーなども躍進すると考えられている。
商業銀行は、良好な財務報告や潤沢なキャッシュフロー、サービス収入の急増により、成長が続きそうだ。多くの銀行が規模を拡大し、与信枠利益を増加させている。
証券会社は、毎取引数十億ドルの流動性を持つ成長著しい株式市場と新たに参入する数百万人の新規投資家により、2022年は更なる成長が見込まれている。
一方、新型コロナウイルスにより苦境に立たされている貿易・投資・観光のうち、消費財メーカーは、引き続き目覚ましい成長を遂げると予想されており、小売業はロックダウン後の需要回復の恩恵を受けると専門家は分析する。そして、豊富なランドバンクを持つ不動産会社は、投資家にとって魅力的な投資先になるだろう。
Mirae Assetによると、大規模な構造改革によるアフターコロナからの変革に加え、金融・財政政策の緩和がマクロ経済環境の改善を後押しすると分析する。急速なワクチン接種増加と「コロナとの共生」アプローチにより、2022年は経済が力強く回復すると予想する。
政府決議128号により、ベトナムは「新型コロナウイルスの感染拡大防止」という方針から「安全性と柔軟性を確保した感染症への適応 」という段階へと移行し始めた。
ベトナムのグローバルバリューチェーンは、二国間貿易協定や多国間貿易協定により存在感を増し、2022年、輸出企業は高い利益を上げると予想される。*()内のUSドルは2021年1月14日時点のベトナムドンレートで計算
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Magentoによるeコマースプラットフォーム開発をメインとしたベトナムのIT受託開発企業