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昨年度、多額の資金を集めた注目産業は、金融テクノロジー(フィンテック)、ゲーム、教育、ヘルスケア、eコマースの分野であった。

Nextrans Vietnamが発表した2021年のスタートアップ市場に関するレポートによると、フィンテックは、デジタル決済、パーソナルファイナンス、POS、中小企業向け資金調達などの分野で、総取引量・額ともに26.6%とトップを占めた。

取引額について言えば、1億ドル以上の案件が2件あったことが挙げられる。Momoは、12月にMizuhoWard FerryGoodwater CapitalKora Managementから2億ドルを調達しており、その推定総額は20億ドルに上る。また、決済サービスVNPayを保有するVNLifeは、7月にシリーズB資金調達ラウンドで2億5,000万ドル以上の資金調達に成功したことを公表している。

ベトナムのスタートアップ市場における2021年のディール全体のうち、EdtechとEコマースが約17~20%を占める。調達額をみると、Eコマースが2番目に関心を集めた分野であったことがうかがえる。Tikiは、AIAが主導するシリーズE資金調達ラウンドで2億5,800万ドルを調達し、最大の成果を出した。その他目ぼしいディールには、Sky Mavisの1億5,200万ドル、Equestの1億ドルが含まれる。

これは、ベトナムのスタートアップ市場が、ベンチャーキャピタルファンドの投資先として注目されていることを意味する。

208のアクティブなベンチャーキャピタルファンドのうち、国内投資ファンドは40近くある。その中にはVSV Capital – NextransVietnam Silicon ValleyMekong Capital500 Start-up VietnamVietnam Investment GroupIDG Ventures VietnamDo VenturesGenesia Venturesなどの、大手のファンドも含まれる。

Googleの統計によると、2021年にベトナムで検索されたトップ10キーワードのうち、5つがオンライン教育・学習ツールに関連するものだった。Edtechは投資家の目には魅力的な「金脈」と映ったようだ。

2021年のベトナムのスタートアップ企業への投資の多くは、プレシードおよびシードラウンドで資金調達を受け、ディール全体の55.7%を占めた。スタートアップエコシステムでは、MomoTikiHomebaseなど、シリーズC、D、Eディールも全体の4.1%を占めた。

ベトナムには約3,800のスタートアップ企業があり、4社のユニコーン(VNGVNLifeMomoSky Mavis)と、TikiTopica Edtech など、1億ドル以上の価値を持つスタートアップ企業が11社存在する。

Nextrans Vietnamは、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)のパンデミック後に、投資活動の力強い回復を予測しており、スタートアップ企業が発展すると期待している。

ベトナムは近年、東南アジアのスタートアップ・ハブとして台頭し、インドネシアやシンガポールに次ぐ勢いを持つ。若い世代が多く、高いインターネット普及率とスマートフォンの利用率、そして政府の支援により、ベトナムは今後も投資家にとって魅力的な投資先であり続けるだろう。

スタートアップ企業のポテンシャル、マクロ要因のサポート、バリュエーションの高さにより、ベトナムは目がはなせない投資先であり、多くの外資系投資ファンドが参入している。実際、ベトナムのテクノロジー系スタートアップ企業への投資資金は、主に海外からもたらされているというのが現状だ。

ベトナムのスタートアップ企業候補の多くが、資金調達が容易で、投資家がリスク回避のために容易に売却を行えるシンガポールなどの海外に拠点を置いていることは明白である。このことからも、ベトナムはこの問題に対処する必要に迫られていると言える。国内投資ファンドを支援する政策やスタートアップ企業を管理する規制のサンドボックス制度(*1)以外にも、オープンで容易な行政手続きやスタートアップ企業への税制支援など、サポートメカニズムの改善が求められる。

(*1)規制のサンドボックス制度新たな技術の実用化や、新たなビジネスモデルの実施が、現行の規制との関係で困難である場合に、必要に応じて現行の規制の見直しや変更を行い、これらの新しい技術やビジネスモデルを社会的に実現していこうとする制度。