Vietnam Investment Review

2月25日、「ベトナム・シンガポール企業対話」が開催された。そこには、Nguyen Xuan Phucベトナム国家主席も姿を見せ、両国の企業間で総額110億ドル規模の協力文書に署名が行われた。

ベトナム・シンガポール企業対話の概要

両国のさまざまな業界から100社以上の企業が参加したこのイベントで、Phuc氏は、両国間交易の早期実現に期待を寄せた。そして、ベトナムとシンガポールにおける相互関係の成長に貢献するよう、具体的な行動に移すことを奨励した。とりわけ、2023年に両国の国交50周年、戦略的パートナーシップを結んで10周年という節目の年を迎えるにあたり、更なる関係強化を訴えた。

両国の協力戦略実施における企業の役割を強調するとともに、ベトナムは事業投資環境の改善、透明性の向上、物流・土地・人材などの課題に対処し、両国の企業がパートナーシップを発展させるために有利な条件を整えることをPhuc氏は誓った。

ベトナムは2022年に経済成長率7%、インフレ率5%以下という目標実現へ向けて、コロナショックからの経済回復促進の政策を進めている。更には、2025年までに年平均6.5〜7%のGDP成長率、デジタル経済のGDPシェア20%達成などの目標を掲げている。国家主席はそうした点を力説し、シンガポール企業がベトナムへの投資を増やす良いチャンスであることをアピールした。

現在、ハイテク技術を利用したFDIプロジェクトを優先課題としているベトナムは、それにより、ベトナム企業がバリューチェーンにより深く浸透し、デジタル経済の推進と持続可能な成長実現を促すことになる。

さらに、Phuc氏は、両国企業に対し、ハイテク技術、DX、イノベーションなどの分野で協力強化するとともに、ASEAN地域の経済的なつながりを深め、「包括的かつ先進的TPP協定」(CPTPP)と地域包括経済連携協定(RCEP)を最大限に活用するようアドバイスした。

Phuc氏のシンガポール訪問中に、両国省庁や管轄機関同士の協定が調印されたことは、デジタル・プラットフォームを通じて両国の経済的結びつきを促進したことが反映されものだという。

Phuc氏は、ベトナム全土にベトナム・シンガポール工業団地(VISIP)が建設されることにも期待を寄せている。

シンガポールの資源大臣、Tan See Leng氏は、HanoiとHo Chi Minhで着実に成長したシンガポール企業が、Vinh Phuc、Quang Ninh、Binh Duongなど、他地方でもビジネスを拡大していると、両国の経済的な結びつきの成果に自信をのぞかせた。

また、ベトナム工商省大臣Nguyen Hong Dien氏が、デジタル経済、エネルギー、食品製造におけるデジタル認証、農業など、幅広い分野で協力する方針に合意したことをLeng氏は明らかにした。

同イベントでは、SOVICOグループとKeppelグループやその子会社であるKrippel LandKeppel Urban Solutionsとの間でエネルギーソリューション開発と、持続可能な都市化に関する、15億ドル相当の協力合意書が調印された。また、SOVICOとKeppel Energy Venturesも、グリーン経済への移行と二酸化炭素排出量削減のための包括的な持続可能エネルギーソリューション開発における15億ドル規模の取引文書を交わした。

さらに、SOVICOVietjet AirChangi Groupの3社は、ベトナムにおける航空サービスの提供について15億米ドルの契約を締結した他、Vietjet AirST Engineering(シンガポール)も、1億5千万ドルの技術サービスおよび航空機設備供給に関する契約に調印した。

このほかHo Chi Minh City Development Joint Stock Commercial Bank(HD Bank)とThought Machineは、ベトナムにオンライン銀行サービスの先端技術の提供に関する覚書を交わした。

T&T Groupは、YCH Group(シンガポール)と、Long An省Can Giuoc地区での物流プロジェクト開発に関して、TH Groupとシンガポール大手スーパーマーケットチェーンHAO Martは、シンガポールでのTH Groupのクリーンミルクと農産物の販売・促進の戦略的協力に関して、それぞれ基本合意書を締結した。