VietnamNet

2月に開催されたベトナムビジネスフォーラム2022で、電力固定買取価格制度の優遇措置延長や原子力発電プロジェクトの再実施といった点について海外投資家から問題提起された。

在ベトナム海外ビジネス協会(シンガポール、オーストラリア、スイス、台湾、タイ、インド、香港、カナダ)とハノイヤングビジネス協会の面々がベトナムビジネスフォーラム(VBF)の準会員として名を連ねる。同フォーラムでは、ベトナム政府に対し再生可能エネルギーの開発、エネルギー効率の向上、バッテリーや水素エネルギーによる貯蔵技術の開発に継続して取り組むことが提案された。

ベトナムはCOP26の目標に取り組むとともに、他の多くの電力マスタープラン同様に第8次国家電力マスタープラン(Power Master Plan 8)(*1)を達成するべく今後の再生可能エネルギー技術開発のため、その動向やチャンスを見極める必要があると海外投資家は見ている。

環境ワーキンググループ(Environmental Working Group)代表のMichael R. Di Gregorio氏によると、EU議会に提出された炭素国境調整メカニズムの草案では、EUにおける輸入業者は30品目の製品カテゴリーの炭素排出量に応じた炭素排出権を購入しなければならないという。そして、その価格は製品がEUの炭素価格ルールに基づいて生産されたものと同様の週間平均価格となる。

今年から施行されたベトナムの排出権取引制度(ETS)と炭素市場の発展は、このEUの炭素国境調整メカニズムで重要な役割を果たすことになるだろう。

また、2022年には、電力・エネルギーワーキンググループは第8次国家電力マスタープランの実施のため民間部門の支援に焦点を当てたベトナムのエネルギー生産に関する第三次計画を策定することも明らかにしている。

新型コロナウイルスの影響で、電力の固定価格買取制度の優遇措置有効期限に操業開始できない建設途中の風力発電所については、海外の経済団体の多くからそれら計画修正の必要性が同フォーラムで声高に叫ばれた。

ベトナム商工省の発表では、現在計画に新たに盛り込まれた風力発電プロジェクトの電力量は11,921MWで、このうち、146プロジェクトが電力購入契約(PPA)を締結しており、その容量は8,171,475MWに上るという。

2011年から昨年の10月末までに商業化された84プロジェクトの総発電容量は3,980,265MWになる。このうち、一部も含めて商用された電力量が325.15MW、非商用運転のプロジェクトは15件で、その容量は1,031.1MWを占める。

新型コロナウイルスで遅延している建設プロジェクトの支援や同分野のさらなる発展のため、電力買取制度におけるオークションシステムの開発など、政府はこの分野を継続的に支援する政策を打ち出すべきとアメリカ商工会議所(AmCham)も提言している。

洋上風力発電は、固定式、浮体式合わせて約600GWの設備容量があると推定され、大きなポテンシャルを秘めている。さらに、AmChamは第8次国家電力マスタープランにおいて、洋上風力による発電量の増加を盛り込むことやカーボンフリーな未来への移行をサポートするグリーンな電力貯蔵設備ストレージユニットを発電設備とともに開発することを提唱した。

また、米国企業は、風力・太陽光発電の直接購入やオフグリッド電力供給を取り入れた第8次国家電力マスタープランや将来的な直接電力購入契約(DPPA)制度を支持することを明らかにした。それにより、民間企業がベトナムに投資する際に世界のゼロカーボン政策の条件を満たすことができる。

第8次国家電力マスタープランで新規石炭発電所の許可停止という提案と合わせて、天然ガスが重要な移行燃料としての役割を果たし、ベトナムが一刻も早く石炭を使用した火力発電から脱却できるようになると海外投資家は捉えていた。

他にも、電力市場の新たなトレンドの中で、バッテリーエネルギーや水素エネルギー貯蔵の役割を早急に検討する必要性についても言及された。

大韓商工会議所(KorCham)は原子力発電に関する提案を行った。

経済発展のためには安定した電力供給が不可欠であることから、韓国企業もベトナム政府の電力政策に賛同し、新たなエネルギープロジェクトの拡大を後押しする姿勢を見せた。

しかし、KorChamは再生可能エネルギーの拡大を支えるには送電網の拡充だけでなく、安定的かつ継続的に電力を供給するための基盤となる発電エネルギーが必要だと述べている。

「中長期ビジョンとして、これまで議論が中断されていたベトナムの原子力発電プロジェクトの必要性を今一度よく検討する必要があります。」とKotraは指摘する。

韓国は原子力発電や輸出分野で豊富な経験とノウハウがあるので、ベトナム政府と協力することで長期的に安定した電力供給を目指すことができるに違いない。

(*1) 第8次国家電力マスタープラン

ベトナム商工省が2021年9月に公表した第8次国家電力マスタープラン(PDP8)草案では、新たな石炭火力発電所の開発計画に制限を設け、国内の電源構成に占める石炭火力の割合を減らしていく方針が示されていた。風力や太陽光を中心とする再生可能エネルギーの発電容量で電力需要を賄う計画を立てている。

【Growtheater登録関連企業】

ベトナムの事業投資コングロマリット会社(農業、エネルギー、不動産)