ベトナム国家銀行(SBV)は、フィンテック・バンキングのサンドボックス制度案を作成し、この分野を規制する草案への意見を集めている。
ハノイ発―ベトナム国家銀行(SBV)は、フィンテック・バンキングのサンドボックス制度(*1)案を作成し、この分野を規制する草案について意見を集めている。
SBVは、フィンテックの急速な発展は、世界の金融当局に多くの課題をもたらし、新たな局面で違法な金融活動に立ち向かわなければならないと述べた。
特に、peer to peer lending(*2)やAPI(*3)経由のデータ共有など、数多くの分野が適切な法的枠組みが確立されないまま発展拡大し、ステークホルダーをリスクにさらしている。
SBVは、「この分野の大部分はまったく規制されておらず、健全な競争、金融の安定性、データの安全性、顧客の利益に対して新たなリスクをもたらしています」と述べている。
したがって、SBVは、この分野の統制について実地経験を積み重ねるために、管理されたテスト方法を開発し、フィンテック企業が規制の整った環境で画期的な新たな製品をテストできるようにしなければならない。
注目すべきは、SBVがサンドボックス制度で一部のリスクを許容することで危険性への理解を深め、イノベーションを奨励し、金融リスクを防止し、金融の安定性を促すための本格的な法的枠組みを構築することである。
さらに、フィンテック企業はリスクを抑制するために、限定的な規模でSBVの監督のもと、製品をテストすることが求められている。
SBVによると、2016年からベトナムのフィンテック企業の数は4倍に増加した。
約76%の企業が銀行と協力し、残りの14%が自社で独自に商品を開発し、銀行の競合相手である。
ベトナム投資開発銀行(BIDV)は24社のフィンテック企業、756社のサービスプロバイダーと提携し、1,500以上の金融サービスを顧客に提供できるようにしている。
MBとBoomerang Technologyは協力してeMBeeファンページを立ち上げ、顧客はFacebook、MessengerでeMBeeとチャットしながら銀行残高確認、送金、保険購入、ローン借入などができるようになった。
現在、ベトナムのほぼすべての銀行がMoMo(*4)の協力のもと、e-ウオレットを展開している。
Sandbox_サンドボックス(*1)
ドローンや自動走行などの革新的技術・サービスを事業化する目的で、地域限定や期間限定で現行法の規制を一時的に停止する制度。サンドボックスsandboxは英語で砂場を意味し、子供が小さな失敗をものともせずに自由に砂遊びするように、企業が制約にとらわれずに革新的技術の事業化に向けて試行錯誤できるところから命名された。ドローン、自動走行、フィンテック、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)、ロボットなど既存の法律では想定していない革新的技術が相次いで誕生しているが、その実用化には既存の法律や規制が足かせになるケースが多いことから、安全な実証環境を提供して技術革新の加速を促すねらいがある。
peer to peer lending(*2)
ソーシャルレンディングともいう『ネット上でお金を借りたい人、企業』(borrower:ボロワー)と『ネット上でお金を貸したい人、企業』(lender:レンダー)を結びつける融資仲介サービスである。類似のサービスに、投資型クラウドファンディングがある。貸金業法の金銭消費貸借契約を伴うものや株式投資型などの形態がある。
API(*3)
アプリケーションプログラミングインタフェース(API、英: Application Programming Interface)とは、広義ではソフトウェアコンポーネント同士が互いに情報をやりとりするのに使用するインタフェースの仕様である。ソフトウェア同士がプログラムを共有するための接点。
MoMo(*4)
ベトナムの大手電子決済アプリ
【Growtheater登録関連企業】
銀行サービスとライフスタイルサービスを1つのアプリに統合したデジタル・バンキングプラットフォームのプロバイダー