Vietnam Investment Review
ベトナムとドイツの二国間戦略的パートナーシップは、貿易と投資の両面で活況である。ドイツの投資家はベトナムに大きな関心を示しており、両国はより明るい協力関係の発展を期待している。
在ベトナムドイツ商工会議所(AHKベトナム)は現在、ビンディン省当局と協力して、ドイツから南中部地方への投資を誘致するカンファレンスの開催を計画している。
AHKベトナムは現在、この会議に招待するドイツの企業および投資家を選定している。
「ビンディン省はドイツの投資家にとって潜在的な可能性を秘めており、同省でのプロジェクトを育成するための機会を見出せるように願っている。」とAHKベトナム主席代表のMarko Walde氏は述べている。
ドイツの薄膜技術企業Leonhard Kurzは最近、ビンディン省と協力し、同省でのハイテクフィルム製品の製造に第1ステージとして約3000万〜4000万ドルを投資することを約束した。10ヘクタールをカバーする第2ステージのプロジェクトでは、総資本は1億ドルに引き上げられる予定である。
ビンディン省は、このプロジェクトおいて製造設備が建設され、できるだけ早く稼働させるための最高の条件を整えることを約束した。
その他、ビンディン省においてPNE AGが洋上風力発電を建設中であり、東南アジア地域においてベトナムを風力発電供給大国に押し上げることを目指している。同社は4大陸13カ国で事業を展開しており、このプロジェクトに約48億ドルを投資する予定である。計画では、50基以上、最大165基の風力タービンを建設し、総発電量は最大で2,000MWに達する見込みである。
「このプロジェクトは実現可能性が高く、ビンディン省と国営電力システムに年間66億から70億kWhの相当量の電力を供給することになる。」とAHKベトナムのWalde氏は述べた。
取り組みの強化
Vu Quang Minh氏は、駐独ベトナム大使に就任して以来、ドイツ当局や地元企業と積極的に協力し、ベトナムでの貿易・投資活動への誘致を行ってきた。
先月、Minh氏はザクセン州のThomas Kralinski経済労働大臣と会談し、ドイツ企業、特にザクセン州の企業がベトナムへの投資拡大に関心を持っていることを伝えられた。
「ドイツ企業は再生可能エネルギーやグリーンエネルギーの研究開発の経験があり、この分野での協力を促進するためにベトナムの研究機関や大学と提携することを望んでいる」とKralinski氏は述べた。また、Minh氏は次のように述べている。
両国の経済界が国内市場とEU・ベトナム自由貿易協定でメリットを得られるように、大使館は、経済・貿易・投資に関するネットワーク活動を継続的にかつ組織的に強化していく
ベトナムへの初めてのドイツからの投資は、ベトナムが外国人に門戸を開いた直後であった。1992年、キャメルアクティブなどのファッションブランドを生産していたBültel,は、南部のビンズオン省に進出した。同年、アウトドアブランドのTatonkaがホーチミン市にバックパックの生産ラインを開設した。
ドイツからの投資が本格化したのは、ベトナムが2007年に世界貿易機関に加盟してからであり、2015年の企業・投資法改正でさらに弾みがついた。
ベトナム計画投資省によると、今日では、430社以上のドイツ企業がベトナムで23億1000万ドルの資本を登録し、約5万人の雇用を創出している。2022年の最初の8ヶ月において、ドイツからなされた新たな登録資本金、株式取得、出資の合計は4940万ドルとなり、これには19件の新規プロジェクトが含まれている。
ドイツの電気スペア部品メーカー、Magnetecは7月、北部ハイフォン市のNam Dinh Vu工業団地への投資登録手続きを完了した。また、清掃機器メーカーのKärcher社は最近、新たな海外生産拠点としてベトナムを選んだ。
さらに多くのドイツの投資家がベトナムでの投資機会を探していると、AHKベトナムは述べている。
最も重要な投資先はホーチミン市で、在ベトナムドイツ企業の半数以上がここに設立されている。営業・サービス部門のみに着目すると、4分の3がホーチミン市にある。2位のハノイは大きく引き離されており、ビンズオン省とドンナイ省は製造業にとって何よりも魅力的な場所である。
ドイツには16の州があるが、ベトナムへの投資の半分以上はバーデン・ヴュルテンベルク州、ノルトライン・ウェストファリア州、バイエルン州のわずか3州に本社を置く企業によるものである。
ドイツからの投資の多くは、Bosch (自動車電装部品) 、Stada-Pymepharco (医療機器) 、Messer Gases (化学) によって行われている。Boschはドンナイ省でCVT(変速機)プッシュベルトの大規模な製造工場を設置し、一方、ホーチミン市で研究開発センターを運営している。Stada-Pymeparcoは、中南部のフーイエン省の工場で医療機器を製造している。Messerは主要生産拠点である北部のハイズオン州と中南部のクアンガイ州からHoa Phatなどの地元顧客にガスを供給している。
明るい展望
Guido Hildner駐ベトナムドイツ大使はかつて、Vietnam Investment Reviewの記者に対し、より多くのドイツ企業がベトナムに投資し、貿易を行い、高いレベルの生産拠点を構築していると語っていた。
「ドイツ企業にとって、ベトナム市場はアジアにおける重要な市場です。この市場の特徴は、人口が多く平均年齢が若いこと、消費力のある中間層が急成長していること、インド太平洋地域の地理的な中心に位置し投資に適していることです」とHildner氏は述べた。
伝統的に、ドイツにとって重要な分野は、機械、電子機器、金属部品、設備、化学製品、その他さまざまな産業分野の工業製品、そして繊維製品である。Hildner氏によると、「最近の傾向として、エネルギー分野への投資が大きく伸びており、特に再生可能エネルギーやその他の環境関連、より環境に優しく資源効率の高い技術、IT分野の構築が進んでいあます」と付け加えた。
近年の有望な発展として、Siemens、SAP、BMWなどのドイツの大手企業と、FPTやVinFastなどのベトナムの主要企業による、ハイテク分野での協力関係構築が上げられる。
「ドイツの対ベトナム投資の全体的な見通しは明るい。しかし、気候変動などの世界的な脅威、デジタル化やエネルギー移行などの課題により、政府だけでなく企業も産業・インフラにおける環境保護の姿勢を問われるだろう」 と大使は述べた。
これは、2国の中で最も創造的で革新的かつ資源効率の高い企業が勝利することを意味しています。また、再生可能エネルギー分野、スマートでグリーンな農業、環境に優しい鉄鋼やセメント生産などにおいて、新たな雇用を創出し、革新的なソリューションを生み出す大きな可能性があります。つまり、両国の企業の生産拠点や貿易関係の多様化がより進むのです
ベトナムの産業貿易省によると、2010年から2021年にかけて、双方向貿易の取引額は41億1000万ドルから111億3000万ドルに増加した。ベトナムからドイツへの輸出高は、実に23.7億ドルから72.8億ドルと急増している。2022年の最初の7ヶ月で、ベトナムはドイツへの輸出で51億ドルを稼ぎ、前年比23.2%増であった。
現在、ドイツの首相がベトナムを公式訪問する準備を両国で進めている。この訪問により、2010年に構築された戦略的パートナーシップがさらに強化されると期待されている。また、貿易と投資だけでなく、持続可能な開発とクリーンエネルギーの更なる強化が議題に上ると切望されている。
3月3日、ベトナムのNguyen Phu Trong党書記長がドイツのOlaf Scholz.首相と電話会談を行った。その中で、党書記長は首相に対してベトナムに招待すると伝え、首相は訪問を約束した。
Trong党書記はまた、ベトナムは多国間化と多様化を進める外交政策の一環として、ドイツとの戦略的パートナーシップを重視しているとも発言した。さらに、友人であり、信頼できるパートナーであり、国際社会において積極的かつ責任ある一員として重視しているとも表明している。
また、党書記長は、投資、貿易、エネルギー、科学、技術、教育、国防、安全保障における二国間協力を戦略的パートナーシップに合った新たなレベルへと拡大することを提案した。
Scholz首相は、ドイツが戦略的パートナーシップを非常に重視していることを再確認し、この戦略的パートナーシップは堅固に発展しており、さらなる成長の可能性が大いにあると述べた。
相互協力の原則を支持
ベトナムとドイツの戦略的パートナーシップは11年目を迎えた。駐ベトナムドイツ大使Guido Hildner氏は、二国間関係は非常に良い状態を維持しており、両国が将来にわたってこの関係を推進し継続していくことを象徴していると述べた。このことは、1月にドイツ軍艦が初めてベトナムを訪問した事実にも裏付けられている。
Hildner氏は、 「重要な事実の一つは、双方が法の支配に基づく国際秩序を支持することに同意していることだ」 とフリゲート艦バイエルンの訪問の意義を述べた。
「今回の訪問は、1982年の国連海洋法条約に基づく航行の自由と秩序に関する原則をドイツが支持していることを示している」 とHildner氏は付け加えた。
今回の訪問を通じて、ドイツは、同条約が海と海洋におけるすべての活動のための包括的で国際的に有効な枠組みであると主張しているのだ。
さらに、安全保障政策におけるベトナムとの協力強化に加え、経済協力、投資、気候変動対策、教育訓練が両国間の協力分野として有望であることを再確認する機会となった。
「ベトナムとドイツの関係は今後も順調に発展していくと考えている。我々には強い成長の可能性があり、互いに補完することができる」 とHildner氏は述べた。Hildner氏はまた、あらゆる分野で着実に増加している二国間関係の進展について楽観的な見方を示している。
Siemensの現地法人が1993年に設立されて以来、Siemensとベトナムほぼ30年にわたり、平等かつ相互利益に基づく非常に良好な協力関係を保ち続けてきました。Siemensはベトナムの数多くのインフラプロジェクトに参加して成功を収めており、今日では産業、インフラ、交通、医療などの国家経済の多くの重要な部門で強い存在感を示しています。
Siemensはまた、ベトナムがデジタルトランスフォーメーションの発展をリードし、インダストリー4.0の様々な機会を取り込むことを積極的に支援しています。
現在は2022会計年度の最終四半期を迎えており、Siemens ASEAN and Vietnamにとってはまた成功の年になることを公表できます。私が特にチームを誇りに思うのは、素晴らしい業績と事業成果に加え、彼らが強い成長志向を示し、部門やビジネスユニットを越えた効率的な協業を実施していることです。ベトナム経済は、2021年のパンデミックの発生により大きな影響を受けました。しかし、ベトナム政府は社会経済の回復と発展を促進するための多大な努力を行ってきました。そのため、最も困難な時期を克服し、良好な成長の勢いを維持できるように思います。私は、ベトナムが2022年はプラス成長を達成できると確信しています。
Thai Lai Pham-Siemens ASEAN and Vietnam社長兼CEO