Nordic Startup News

Digital Hub Denmarkの最新調査によると、2020年春以降、デンマークでは、デジタル人材の需要が、企業の間で大幅に高まっていることが分かった。2021年第2四半期時点で、パンデミック前と比較すると、デンマークのデジタル人材の需要は22%増加しているという。 コロナ禍でも多くの企業が事業を継続する中、持続的な事業成長に必要な人材確保に苦労しており、この問題が、デンマークのスタートアップエコシステムに悪影響を与えている。

新型コロナウイルス感染症が社会にとってもはや重大な脅威ではなくなったとして、デンマーク政府がすべての規制を解除したことに伴い、デジタル人材採用の必要性について検討が行われた。パンデミックから1年半が経過し、企業は多くの制約を受け、新たな環境下でビジネス展開することを強いられているが、最近の調査でデジタル人材の需要はコロナ前よりも高まったことが判明した。

パンデミック発生前から2021年第2四半期までの期間、デジタルインテグレーターに対する求人数は最も増加(求人広告22%増)した。その反面、デジタルスペシャリストの求人数の増加率は低く、3%にとどまる。新型コロナウイルス感染症パンデミック発生直後は、デジタル人材の需要が大幅に減少し2020年第2四半期に最低値を記録したものの、同年同期以降、デジタル人材の需要は徐々に回復を示した。コロナ前と比較すると、デジタルインテグレーターの需要は2倍、デジタルスペシャリストは70%の増加となった。

Digital Hub DenmarkのCEO、Camilla Rygaard, Hjalsted氏は以下のコメントを残した。

新型コロナウイルス感染症は企業にとって衝撃的な出来事となり、不確実な状況下でビジネス展開を強いられました。しかし、今回の調査では、デンマークの企業がビジネス環境の変化を受け入れ、迅速に適応する能力を発揮したことが明らかになりました。海外からの直接投資や国の支援によって、多くの資金が流入することになった今、人材不足が成長の最大の障壁となっています。今日、デンマーク企業がパンデミック前よりも積極的に採用活動を展開している状況には目を瞠るものがあります。

急成長した企業の筆頭がデンマークのContractbook。この会社は、コロナ禍でも、投資ラウンドのシリーズA、Bの両方で、海外投資家から資金調達を受けた。今後1年以内に、デンマーク国内で60名の雇用予定があるという。

「ハイレベルのデジタル人材を求める競争が激化したことは、デンマークのIT系スタートアップが桁違いに成長していることを示しています。これは、大成功例と言えるでしょう。今後、IT・デジタル業界に職を求める人が更に増える筈です。IT、テクノロジー業界は花形産業であり、デンマークのイノベーションを牽引する存在でもあります。したがって、今こそ、デンマークの有望な業界で働く絶好のチャンスなのです。」と、Contractbook CEO兼共同設立者であるNiels Martin Brøchner氏は強く語る。

より多くの人材を必要とするデンマーク企業

本調査では、デンマークのデジタル人材が、4年間で16%増加していることがわかった。しかし、デンマークのヘルステック・スタートアップ「Nøie」の人事部責任者であるFrederik Lysgaard Vind氏は、国内の人材確保が十分ではないことに懸念を示す。「デンマークは、住むにも、ビジネスを行うにも素晴らしい国ですが、現在、IT、デジタル人材の確保はこの国にとっての課題です。2021年の初めにシリーズAで資金を調達して以来、当社の規模は2倍に拡大しましたが、まだ、成長の途上にあると認識しています。当社のどの事業も成長過程にありますが、目下抱える大きな課題は人材が不足していることです。そのため、海外から優秀な人材を獲得することが、Nøieの戦略上の最優先事項になっています。」とコメントした。

海外のデジタル人材を採用

Frederik Lysgaard Vind氏はグローバル人材採用の取り組みについて、次のように語った。

グローバル人材の採用は、重要な戦略的優先事項の一つです。当社の取り組みは、社内に多様かつインクルージョンが存在する環境を創造することから始まり、Digital Hub Denmarkのキャンペーンへの参加やポテンシャルの高い人材への直接的な働きかけなど、幅広い採用活動を行っています。当然、採用した人材がスムーズにデンマークに転居できるように最大限の配慮とサポートに務めます。

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