Nordic Startup News

ヨーロッパ最大級の民間AI研究所であるSilo AIは、北欧諸国における人工知能の活用に関する包括的なマーケットレビューを発表した。「The Nordic State of AI Report」は、毎年フィンランド人工知能センターをはじめとする北欧の人工知能組織とともに発行されているもので、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの人工知能市場や各ビジネスにおける人工知能の活用方法について包括的に解説している。

The Nordic State of AI Reportによると、北欧諸国は人工知能の活用においてパイオニア的存在であるという。このことは、The Nordic State of AI Reportの多くの統計や調査結果から明らかである。また、Oxford Insight Artificial Intelligence Readiness Indexによると、北欧の4カ国はすべて世界のトップ10に入っている。The Nordic State of AI Reportによると、世界の人工知能の専門家の約2%が北欧の国々にいる。人工知能を利用している北欧企業の70%が、今後6ヶ月の間に人工知能の専門家を採用する予定である。

この報告書では、公開されているデータだけでなく、多数の人工知能の専門家の見解も含まれている。インタビューに応じたのは、北欧諸国の大学研究者、企業家、官僚、投資家で、報告書によると、現在、24,000社以上の北欧企業が何らかの形で人工知能を利用している。このうち、4,500社が人工知能技術を自社のビジネスに取り入れている。フィンランドは、北欧諸国の中で人工知能をビジネスに活用している企業の数が最も多い国である。

北欧の人工知能の現状をまとめると、次のようになる。

  • 北欧諸国は、人々の幸福を向上させるために人工知能を持続的に利用するという共通のビジョンを持っている
  • デジタル化が急速に進み、高品質なデータが容易に入手できるようになった
  • 北欧では人工知能のエコシステムが確立されているので、各地の研究所が官民や大学間のコラボレーションは可能ではあるが、まだ研究に対する共通のビジョンが欠けている
  • どの国にもAIスタートアップ企業が多数ある。人工知能をビジネスに活用する企業が最も多いのはフィンランドで、スウェーデン、デンマークがそれに続く
  • 大企業ではすでに人工知能が広く使われており、中小企業でも利用が拡大中である
  • 人工知能への投資額は国によってかなり差があり、一般的にスウェーデンはICT投資の先頭をきっており、フィンランドは最下位である

北欧諸国では、さまざまな分野で人工知能が広く活用されている。スウェーデンでは、通信がAIの強力なユーザーであるのに対し、デンマークでは、ヘルスケアの分野がリードしている。ノルウェーではエネルギーセクターのAI活用が進んでおり、フィンランドでは森林産業や造船業などの輸出産業がAI活用の大多数を占めている。

「私たちのレポートは、より多くの北欧の組織が基幹業務で人工知能を使用していることを示しています。これは、企業が自社の製品やサービスに人工知能を組み込んでいることを意味します。」と Silo AIのCEOであるPeter Sarlin氏はコメントした。「このようにして、北欧の企業は自社製品の競争力を維持することができるのです。」

フィンランド企業は人工知能の積極的な利用者

北欧諸国で最も集中して人工知能を活用しているのは、フィンランドとスウェーデンである。フィンランドは小国ながら、この分野では比較的大きなエコシステムを有している。人工知能の研究分野では、フィンランドは長い間北欧をリードしてきたが、最近、フィンランドは人工知能ソリューションの商業化でも成功を収めている。人工知能を戦略に取り入れ、技術、労働力、ビジネスモデルの面で人工知能が企業のビジネスを強化できることに気づいたフィンランド企業が増えているのだ。しかし、近年、人工知能への投資は減少している。

Aalto Universityの教授で、Finnish Center for Artificial Intelligence (FCAI) の所長であるSamuel Kaski氏は、「ビジネスや社会全体における人工知能の活用が加速しており、フィンランドがパイオニアとして残る可能性は十分にあります。」と語る。「フィンランドでは過去、人工知能に多額の投資を行なってきましたが、ここ数年は、競合国に比べて大幅に投資が減少しています。フィンランドは現在、他国と同じレベルで人工知能の研究に投資を行っていないため、国として遅れをとらないかが一つの懸念材料となっています。」

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