ノルウェーのベンチャーキャピタルKatapultの投資先である、チリのインシュアテックスタートアップ企業BetterflyとEsusuが共にユニコーン企業として認定された。それにより、Katapultは、アクセラレータ発のインパクトユニコーン(*1)企業を1週間で2社誕生させたことになる。
Katapultは、2019年半ばにシードステージの初期であったBetterflyを見出して投資を行い、2020年半ば、後続ファンドによる追加投資を行った。Betterfly はすでにユニコーン企業の地位を獲得しており、投資後の評価額は 10 億ドルに達している。これは、Katapultが投資家に対して、世界をリードする未実現価値の提供を表している。
Tharald Nustad氏によって2017年に設立されたKatapultは、1週間のうちに2社のユニコーン企業を誕生させ、「社会が直面する最大の問題に取り組む企業へのアーリーステージからの投資は、最大の収益機会を得ることが出来る」という、Nustad氏が提唱する理論の妥当性を表している。
Betterflyの10億ドルという評価額について、Nustad氏はプレスリリースで次のように述べている。
「Betterflyのチーム全員に対して、大いに祝福を贈ります。彼らの成功は、創意工夫を物語るだけでなく、Katapultのやり方がリターンをもたらすことまでを証明しています。BetterflyはEsusuと並んで、純粋なインパクト投資によってもたらされるチャンスのケーススタディです。私たちはこれまで、グローバルなインパクト企業への投資に特化した初のノルウェー人投資家企業として、かなり懐疑的な見方をされてきたのです。今回、私たちのモデルが利益を生むことに疑う余地なくダブルで証明できました。これから、さらに何を達成してお見せできるかということに意欲を燃やしています。」
チリ人のEduardo氏とCristóbal della Maggiora氏によって2018年に設立されたBetterflyは、健康的な習慣に報酬を与えるというプラットフォームを構築した。(*2) それは、身体的、精神的、経済的な健康を促進するライフスタイルの選択に基き、慈善寄付や生命保険の保障額が無償で増加するというシステムになっている。
Betterflyの成功は、Katapultの別の投資先企業であるEsusuの評価額が10億ドルに達してすぐに実現した。Samir Goel氏とAbbey Wemimo氏によって設立されたEsusuは、従来の米国の信用格付けシステムを打破する必要性から誕生した。Samir氏とAbbey氏が米国に移住した際、銀行サービスの利用資格を得るために苦労した。
Esusuは、ユーザーが従来の方法以外で利用資格を得られるプラットフォームを提供することにより、このプロセスに革命をもたらした。それは、人種間に生じる貧富の差をなくす有力なツールとして機能している。
社会課題解決スタートアップ向け戦略
EsusuのGoel氏は、Katapultの投資とアクセラレータプログラムの品質の双方が、Esusuの急成長に必要不可欠な要素であると語った。「Katapultは、私たちスタートアップの道のりにおける変革の役割を果たしました。この経験は、販売プロセスの改善、新市場への参入、製品ロードマップの批判的考察に役立ちました。Katapultがいなければ、Esusuは今日の地位を得ることはなかったでしょう。」
2つのユニコーン企業が相次いで誕生したことにより、Nustad氏はKatapultの将来に自信をのぞかせる。
「社会の喫緊の課題に取り組むことに強い関心を持つ多様な創業者を支援する中で、Katapultは、投資家へのリターンと社会的貢献を同時に実現するための戦略を開発したのです。このモデルの将来性をKatapult創業以来見てきましたが、それが実を結ぶことにたいへんやりがいを感じています。Katapultの既存も含め、将来の投資先企業から、さらなるユニコーン企業が誕生するかもしれないことが、楽しみでなりません。」
現在Katapultベンチャーキャピタルは、気候、海洋、フードテックに焦点を当て、次のシードおよび成長ファンドを計画している。
(*1) 10億ドル以上の価値があり、10億人以上の生活を改善する社会課題解決に取り組む企業
(*2) 企業の福利厚生として従業員用健康プログラムに関連するデジタルプラットフォームが利用でき、遠隔治療やメンタルヘルス、運動プログラム、栄養アドバイス、金融教育などのサービスをプログラム参加者に提供している。自身の健康増進活動が仮装通貨ベターコインズへ変換され、ユーザーは社会貢献活動に寄付することが出来る。