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ベトナム製品でグローバル市場を掌中にするべく、特産物を活かした多くの製品を投入することで、ベトナム企業がグローバルサプライ・流通チェーンに深く浸透してきている。

そうした企業経営者の多くは、グローバル市場をモノにするための道筋を着実に歩んでおり、スタート段階は順調に進んだという手ごたえをつかんでいる。

Duy Anh Companyの例を見てみよう。同社のCEOであるLe Duy Toan氏は、米国へ留学していた当初から、そこでいくつものベトナム特産品を見かけたという。ライスペーパー、フォーヌードル、春雨など、ベトナムならではの伝統的な製品を度々目にすることがあった。しかし、米国のスーパーマーケットにあるそうした製品の原産国は、ベトナムではなく、タイや中国なのであった。その時以来、ベトナムの製品を、ベトナムのブランドで、米国のスーパーマーケットへもちこめないものかという強い思いを心のうちに温めてきた。しかし、規格や品質、消費者の好みなどを知らずに製品作りをしても、ビジネスパートナーに受け入れてはもらえない。そこでToan氏が選んだ解決策は、日本の企業に製品委託するという選択肢であった。このことが、マーケットに適した製品の品質基準やパッケージと迅速なアプローチ、そして、ベトナムブランド製品開発のための各市場の消費者嗜好の把握を可能にする土台となったのだ。

現在、Duy Anh Companyの工場では1日あたり約800トンに上る製品を生産しており、スイカ/ドラゴンフルーツ春雨、ホワイト/ブラウンライスペーパー、フォー、各種麺類など、ラインナップは多岐に渡っている。Toan氏によると、同社が生産する製品はすべて国産の原材料が使われているという。製品の主な輸出先は、日本、米国、ヨーロッパであり、中でも米国市場は、月にコンテナ20個分の製品を出荷するほどの主要マーケットである。また、今年初めからは、中東や北欧など新たな市場へも進出している。

昨今、世界中のあらゆる市場にベトナムブランドを広めるベトナムの大企業も多数現れており、Nafood社のパッションフルーツジュースはその代表例である。パッションフルーツは、ベトナムの中央高原、なかでもギアライではごく一般的な植物である。生鮮輸出に頼るとなると、価格帯はkgあたり2,000ドン前後で推移し、時に500ドン/kgまで下落する程不安定なので、この農産物の栽培は農家にとっては旨味がない。ところが、これがひとたび、欧米市場でもポピュラーな特産品ジュースとして製品化されてからというもの、潮目が変わった、と同社のCEOであるNguyen Manh Hung氏は述べている。現在、Nafood社は農家と提携してパッションフルーツの栽培地を設け、同時に、そこに加工プラントを建設するために投資を行っている。

更に大規模なところでは、Vinamilk社が、韓国市場に120万米ドル相当の大豆、クルミ、小豆の乳製品の輸出契約を結ぶなど、ベトナムの牛乳・乳製品を世界各国50市場以上に提供している。それらはすべて、国内産の農産物を原料とする「メイド・イン・ベトナム」製品である。Vinamilk社の担当者によると、食品加工業は韓国の主要産業であり、とりわけ、栄養ドリンクにおいてはその筆頭と言われている。外国企業がこの市場に参入できない理由は、現地企業との熾烈な競争にある。今回のVinamilk社の輸出成功は、ベトナム産農産物の優れた点と価値の高さが認められた証となり、近い将来、着実に市場が開かれることへの一助となったと言えるだろう。

ベトナム製品の国際ブランド化

農業国であるベトナムの農産物は、多様かつ豊富であるものの、生鮮食品の輸出というしばりが、長い間、ベトナムの農産物の価値を下げてきた。また、海外の消費者に至っては、何が真のベトナム製品なのかよく理解できていない。そこで、2017年にMinistry of Industry and Tradeが海外市場でのベトナムブランドの構築と開発という戦略を打ち出し、それが功を奏している。ベトナムブランドによるベトナム製品は、グローバル市場において認知度がますます向上してきており、その結果、サプライチェーンにおけるベトナム製品の位置づけが確立されつつある。

しかし、ベトナムの農産物がより持続可能な方向に向かうためには、政府は投資資金の支援政策のほかに、原料栽培地計画を再度立てなおす必要がある、とNguyen Manh Hung氏は見ている。生産に必要な原料の安定的な確保のため、適した土壌、各省の強み、大規模栽培などの基準を満たすことが、その計画には求められる。

市場管理については、製品の原産地コントロールを強化し、ベトナムブランドを冠した低品質な製品や偽造品、ベトナムブランドの知的財産権を侵害する外国企業、原産地表示で保護された農産物などに厳しく対処することが重要となる。同時に、当局が、知的財産権、商標、ブランドの登録について正しくかつ十分な理解の普及促進を企業へ向けて図るべきである。これは、国内外の市場でベトナム製品の売買を競い合うことで、純ベトナム企業が大きな損害を被りかねない事態を防ぐためには効果的な規範となる。

「また、同じ製品であっても、各市場の消費者の嗜好は異なるため、企業は積極的にこの要因を把握して、製品開発準備、加工を適した形で行う必要があります。さらに言えば、新製品を生み出すための研究に投資することも求められます。ベトナムの農産物は非常に多様で豊富です。新製品を開発することは、ベトナム企業が市場開拓の機会を増やすことへもつながるのです。」とToan氏は強調する。

General Statistics Officeによる輸出額の分析によると、今年の1~6月の輸出売上高は、前年同期比28.4%増の1,576億3,000万ドルと推定される。農林製品だけで115.8億ドル(15.8%増)、水産製品で40.5億ドル(12.4%増)とされ、ベトナムの最大の輸出市場は引き続き米国であり、次いで中国、欧州、ASEAN、韓国、日本と続く。